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423. ホモフォビア(同性愛嫌悪)とは何ですか?

ホモフォビア (homophobia)とは、(広義の意味で)同性愛者やLGBTQ+(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、クィアなど)のコミュニティに対する不合理な恐怖や偏見、差別のことを指します。

性的マイノリティに否定的な考え方や態度は、個人の信念、文化、宗教などに基づいて形成されることが多いです。

ホモフォビアには以下のような特徴や現れ方があります:

言葉の暴力:「ゲイ」や「レズビアン」と言わずに「オカマ」「ホモ」「おとこおんな」など、差別的な言葉を使用すること。SNS上での誹謗・中傷など。(注:当事者が冗談を交えてお互いに「オカマ」などと言う場合があります。(記事No.33をご覧ください)

拒絶や排除:同性愛者やLGBTQ+の人々を社会の中心から疎外すること。「キモイ」と言ってからかう・遠ざける。当事者が何を訴えても社会の中で権力を持っている側が聞く耳を持たないなど。

身体的暴力:LGBTQ+の人々に対する暴力行為や脅迫。

否定や無視:同性愛やLGBTQ+の存在や彼らの権利を否定すること。「同性婚を認めたら人類が滅びる」というような極端な意見など。

制度的差別:法律や方針において、LGBTQ+の人々に対して不平等な取り扱いをすること。これはもうみなさんご存じのように、同性同士が現在(2023年9月)婚姻という制度を利用できないことがあります。

また極端な形として国が同性愛を禁止し、処罰の対象とする場合があります。アフリカ東部のウガンダでは同性愛者が同性愛と自認しただけで犯罪者となり、同性と性交渉をした場合には死刑になる可能性のある法律が今年3月に成立しました。

歴史上、同性愛嫌悪はさまざまな形で存在してきました。このウガンダの法律だけではありません。中国の18世紀の清王朝では次のような法(律令)がありました。

男色に同意した男は、100日間の足かせを着用させられ、100回棒で打たれて処罰される。

「大清律令」『<同性愛嫌悪>を知る事典』p.30

また、最近日本で人気のある心理学者・精神医学者のアルフレッド・アドラーは次のように述べています。

同性愛は、最も敏感な点の1つにおいて、人間意志を否定するものである。なぜなら人間意志は、自らのうちに生気ある永続の理想を含んでいるからである。この事実だけで、異性愛を規範として課し、自慰を含めたあらゆる倒錯を、過ちの罪あるいは宗教上の罪に含めるのに十分である。

アルフレッド・アドラー「同性愛の問題」『<同性愛嫌悪>を知る事典』p.30

アドラーご本人はもう亡くなられていますが、彼が同性愛についてこのような見解を持っていたこと、それが彼の心理学のアプローチの基礎の一部になっていることを考えると、私は個人的にアドラーの見方・考え方を手放しで受け入れることはできません。

ホモフォビアを克服するためには、教育や啓発活動が非常に効果的です。理解や受容の精神を育むことで、多様性を尊重する社会を築くことができます。

多様な同性愛嫌悪についてご興味のある方は『<同性愛嫌悪>を知る事典』をご覧ください。

参考資料