411. Queer(クィア)ってなんですか?
【記事番号36に同じ「クィアってなんですか?」の記事がありますが、それは『となりのLGBT』に入れて、現在はウェブ閲覧できないようになっています。今回を含めて連続3回、「クィア」「クィア理論」「クィアスタディーズ」を取り上げるので、改めて書き直しました】
LGBTQ+の「Q」の部分ですね。このQはクエスチョニング(Questioning)のQでもあります。
以下、『セクシュアリティ基本用語事典』を参照しながら説明します。
辞書の定義を見てみましょう
19世紀後半から病理学が発達すると、通常の(世の中の大多数を占める)異性愛ではない人々は「(性的)倒錯」や「異常で不道徳」とされました。特に男性の同性愛者は女性的な特徴が見られるとして、この queerという言葉が用いられるようになりました。
やがて、アメリカでのストーンウォール事件をきっかけにレズビアンやゲイが自らの権利を主張し、そしてコミュニティが形成されるようになると、非異性愛をまとめて表す言葉として使われるようになりました。
また、それと同時に異性愛が優位であり、それ以外は劣ったもの、倒錯、異常、不道徳とされてきた価値を修正し、異性愛以外でも何ら劣ったものではなく、異常でも不道徳でもないという意味で ”Queer and Proud" (クィアでありそれに対して誇りをもつ)というフレーズが用いられるようになりました。
現在では、上で見たようにアメリカの俗語として(相手を卑下する言葉として)用いられる用法があるのですが、当事者の使い方はそうではありません。
もっと積極的に、自分がクィアであることを喜ぶこと、世の中の主流である異性愛とは違う存在であることを誇りに思うことという意味づけがなされています。
また、最初は男性同性愛を指す用法から始まったのですが、やがて世の中の異性愛+シスジェンダーという固定された価値観にそぐわない人々をまとめて表す用法も出てきました。つまり、ゲイやレズビアンといった同性愛者だけでなく、バイセクシュアル、アセクシュアル、ノンバイナリー、トランスジェンダーなどの人々を広く指し示す言葉としても用いられるようになってきました。
参考資料
ジョー・イーディー(2007)『セクシュアリティ基本用語事典』明石書店
画像:UnsplashのRob Maxwellが撮影した写真