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木を燃やして燃料にすると、石炭より39%多くCO2を排出する

https://www.igsd.org/burning-trees-for-energy-is-not-a-climate-solution/#:~:text=Burning%20trees%20for%20energy%20is%20not%20a%20climate,climate%20mitigation%2C%20biodiversity%20protection%2C%20and%20environmental%20justice%20goals.

バイオマスについて、IGSD=Institute of Governance & Sustainable Developmentが作成した論文を見つけた。

要約すると、エネルギーのために木やその他の森林バイオマスを燃やすことは、気候緩和、生物多様性保護、環境正義の目標に反するという
 
また、「政府は、気候に悪影響を与える森林バイオエネルギーの推進をやめるべきだ」とも述べている。

論文では、森林バイオエネルギーがいかに相当な温室効果ガス(GHG)排出量を持ち、数十年にわたり温暖化を加速させるかを説明している。
 
実際、木質バイオマスを燃やすと、単位エネルギーあたり化石燃料よりも多くのCO2が排出される。その排出量を木の再成長で相殺するには何十年もかかる。さらに、木の再生に頼ることは、伐採による自然林へのダメージ(森林の炭素吸収能力や生物多様性への影響)を無視することになる。
 
この論文は、EUの再エネ指令が、木材燃焼による正味のCO2排出をゼロと想定していることを批判している。EUの再生エネのうち、バイオエネルギーは約60%を占めている。著者らは、各国が森林バイオエネルギーへの補助金を廃止し、森林バイオエネルギーからの脱却を図るべきだと主張している。
 
カーボンニュートラルは、木材の燃焼が、木の成長のためのCO2の捕獲によって補われることを前提としている。これは、実際には満たされない静的な条件下でのみ成立する。
 
論文では、「2015年、森林バイオマスの燃焼は、330~380百万トン(平均値:355百万トン)のCO2を排出した。これは、バイオエネルギーが代替した化石燃料が排出したであろう量(255百万トン)よりも約100百万トン多い」と研究者は推定している。これは、木材の燃焼が、化石燃料よりも39%[355/255=1.39]多くのCO2を放出していることを意味する。

【蛇足】バイオマスについて

現在、バイオマス(木材、木質チップ、廃材、生ごみなど)は、空気中のCO2が植物に吸収され、成長し、製品として出荷、その後、利用段階で燃やされCO2を大気に排出する。この循環の中で、CO2は循環ループ内に留まっており、この境界の外には出ないという前提で、温暖化とバイオマスの話は進んでいる。

オーストラリアやモンゴルの炭鉱(露天掘り)を訪問して、現地の褐炭を見てきた印象です。道端に、褐炭にまでは行きついていない古い木材を見ることがありました。これは、長い年月が経過すれば、正しく褐炭に変化することを実感した。個人的な結論ですが、化石燃料は、結局はバイオマスだということです。非常に時間軸の短い範囲で木材をバイオマスと言っているだけであって、長い歴史を踏まえた判断からは、両者に差異はないという事です。

現在、バイオマスはFITの対象、化石燃料は対象外でダイベストメントの対象となっていますが、欧米の一部のエリートたちが、無理やり導いて来た屁理屈と考えられなくもありません。アジアやアフリカでは、石炭などがなければ国の成長もなく、それを原資とする教育や社会制度の発展などないのですから。

SDGsの目標 7、手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保することがなければ、貧困や飢餓の撲滅、健康や教育といった基本的な生存権の確保もないのです。SDGsで謳っている、目標1から4は実現し得ないのですから。

目標1 あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ

目標2 飢餓をゼロに

目標3 あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する

目標4 すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する


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