嫌われた監督

こんにちは、よさそう®です。

今週の読書感想は「嫌われた監督」です。中日で8年間監督を勤めた落合博満さんを追った番記者のかたが書かれた書籍です。

要旨

落合監督が中日の監督を勤められた8年間で関わった選手、コーチ、スカウト、球団関係者、家族の視点で時系列を追って番記者の目線と、インタビューした内容に基づいて書かれた一冊です。

落合さんの言葉はもちろんのこと、直接指導を受けた選手の言葉や考え、私たち普段見られないベンチ裏での出来事などなど500ページ以上に渡る分厚い内容です。でも興味深すぎて、あっという間に読めます。

こんな人におすすめ

  • 落合博満さんが好きな人

  • 落合博満さんに興味がある人

  • 部下育成に興味がある人

  • 経営層に嫌われて、部下にポータブルスキルを身につけて欲しい人

  • 孤独に耐える力をつけたい人

この本にたどり着くまで

この本を読むきっかけとなったのは、かなり前に落合さんが中日の監督を辞めた直後にとある講演でお話を聞いたことでした。
その時に落合さんがおっしゃっていたことで印象に残っていたフレーズがいくつかあります。

つい最近までプロ野球の監督をやっていて、野球しかわからない。ビジネスパーソンの皆さんの前で話せと言われてもどんなお役に立つかはわからない。だけどオファーがくるということは何かできるんだろうと思う。それで準備はまったくしてきていない。だけど与えられた1時間、みなさんを飽きさせずに話し切る自信はある。

落合博満さんの講演から、筆者の記憶を元に

かなり衝撃的な皮切りで始まった講演。
でも本当に1時間ぴったり組織の作り方、競合の観察などについて、聴衆は飽きることなく聞き、最後は万雷の拍手で終わるというビジネスパーソン向けの講演ではとても興味深い状況でした。

そこから落合さんに興味を持ち、この本を知って読んでみました。

印象を受けたこと

プロ野球監督としての落合さんの言葉、よく読み込むと、働く立場として読み替えるとハッとすることがたくさんありました。

若い選手を重用しない理由

「なんで、みんな若い奴を使え、使えって言うんだろうな?与えられた選手ってのは弱いんだよ。何かにぶつかれば、すぐ潰れる。ポジションってのは自分でつかみとるもんだ」
落合は白いものを白いと言っているだけだよというような表情をした。
「不公平じゃないか。若いってだけで使ってもらえるのか?今、うちにファームで三割打っている奴がいるか?ベテランにだって生活権はあるんだぜ」

嫌われた監督 第6章より

武田信玄も名将言行録で類似することを言っています。
いわく取り立てたばかりの武士には、土地を与えるのではなく金銭で評価することを重視していたのだそうです。
理由は土地を与えられるとそれだけで安心してしまうから、金銭だともっと頑張ろうとするし、そこからその武士の真価がみえてくるから。

簡単に与えすぎる危険性を分析していらっしゃると感じました。

そしてベテラン選手の見方も興味深いです。
打率とビジネスの成功率は比較にならないかもしれませんが、実績を重視してチームとしての成功率を高めようとする姿勢を感じました。

相手に合わせた指導

 中日には甲子園で名を馳せた平田良介や堂上直倫という若くて期待値の高い選手たちがいた。落合は彼らがバッティング練習をしていると、和田を呼んでこう言った。
「あれを見てみろ。あんなことをしていたら、打てるわけがないんだというのがよくわかるだろ?でも、今のあいつらにそれを言ったところで理解できないんだ。物事には言えばわかる段階と、言ってもわからない段階があるんだ」

嫌われた監督 第8章より

「言えばわかる段階と、言ってもわからない段階」、この言葉はとても重くそして記憶をたぐると「そういうことあるよなあ」と思い当たる節がありました。

カープの菊地選手も、2021年に一軍デビューした若手には1年間何もいわなかったけど、2022年は1年一軍を経験したから、いろいろと伝えていくといった趣旨のことを先日話していました。

つい指導や教育をしたくなるものですが、ぐっとこらえて、相手が「言ってわかる段階」になるのを待つことも大切なのだと感じました。

シンプルな方向づけと安心できる場づくり

「球団のため、監督のため、そんなことのために野球をやるな。自分のために野球をやれって、そう言ったんだ。勝敗の責任は俺が取る。お前らは自分の仕事に責任を取れってな」

嫌われた監督 第12章より

自分の仕事に責任を持つ、すなわちプレーで結果を出すことのみを重視している姿勢、さらにその責任をマネジメントが保証する。言うは易し、でも行うは難しですよね。

会社やマネジメントの考えではなく、自分の役割の遂行だけを求められている。だから選手はシンプルに目標に向かって100%の力を発揮できたんだなあと感じました。


今回は「嫌われた監督」をご紹介しました。落合さんの言動の背景に触れる機会であり、そして組織運営を考える上で、とても学びの多い一冊でした。

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最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。

それでは、また。

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