読書感想 Humankind 希望の歴史
こんにちは、よさそう®です。
今回の読書感想「Humankind 希望の歴史」です。上下巻の長い構成ですが、非常に面白く人間観に変化を与えてくれる内容でした。
要旨
西洋的な視点では、人間は性悪説で見るものだけど、本当にそうなのだろうか?そんなに悪い人間ばかりならば、世の中もっとひどくなっていてもおかしくない。貧困も戦争による死者も100年前と比べれば減っているのに、なぜこんなにも人間の歴史はひどいと感じているんだろう?という著者の疑問からスタートし、「本当にヒトはひどいことしかしでかさない種族なのだろうか?」という考察が綴られている本です。
さまざまな歴史上の事象や、心理学実験の嘘を暴き、そしてなぜ国家が現在のような形になったのか?政治家や権力者がなぜ信頼できなくなるのかなどを科学的な視点も交えて仮説を展開していて興味深いです。
こんな人におすすめ
サピエンス全史を読んだけどしっくりこない人
銃・病原菌・鉄を読んだけどしっくりこない人
政治家を信用できないんだけど、明確な理由づけができない人
「本当は人間ってそんなに悪意存在じゃないんじゃないか?」と思う人
印象に残ったこと
この本、印象に残ることが多すぎて、読みながらもひたすら本の耳折りが続く毎日でした。そのなかでも、私が「ああ、そういうことか?」と腹落ちした3点ほどを書いてみます。
政治家や権力者は”恥ずかしさ”がない
なんで政治家とか悪徳経営者って、普通に暮らしていると周りにいるひとたちとなんだか違うなあと感じていました、ずっと。それを明確に説明できなかったんですが、この本にこのようなくだりがありました。
人は恥ずかしいと思ったときに赤面したり、顔がカーっとなる感覚があるものです。引用の前後で実験の結果が記されているのですが、科学的にも権力者は赤面しない、つまり恥ずかしいと思う気持ちがないのだそうです。
”厚顔無恥”とはよくいったもので、ニュースで政治家の言動をみると「なんでこうなんだろう?」とか「この人また同じようなことやっているよ」とかおもい、普通の人なら繰り返さないだろうといったこともやり続ける。その原動力が「赤面しない」にあることに驚きでした。
ノセボ効果と温暖化
目下の地球規模の課題は温暖化。地球環境が維持できなくなるまでの残り時間を測る時計が設置されていました。非常に悲観的な見方が、世界中に広がっていると思います。
この悲観的な見方を続けていると、いつかそれが現実になってしまう、それをノセボ効果と呼ぶのだそうです。
そのノセボ効果と温暖化について、こんなくだりがありました。
この「無気力にし、温暖化をいっそう加速」というフレーズがそうだなあと思いました。人間、自分ひとりの努力で地球規模の変化に対抗できないとおもってしまいがちです。
それで誰かが協力しないなら、自分ひとりが協力しなくなったところで影響は少ないだろうと思い、結果として悪い方向にいってしまう。
それよりもなにか解決できる方法があるんじゃないかというアプローチで楽観的とはいわないけれども、人類には乗り越えられるという方向で考えること、大切だと思いました。
旅の大切さ
私自身の経験から旅、とくに一人で海外や普段訪れない国内の地方に旅すると、日常との違いに触れられて、「ああ、そういう世界もあるんだ」と気付かされることが多々あります。
だから旅することはとても大切だと思っています。
この本でもトム・ソーヤーの冒険の著者、マーク・トゥエインのこの言葉が紹介されていました。
訪れる先々で見聞きし、体験を積み重ねると、”自分”と思っていた存在の形が変わっていくことを感じます。その変容はもしかしたら形がなくなっていき、溶け合っていく、境界線がなくなっていく感覚に近いのかもしれません。そのうえで、境界線が薄くなっていくんだけど、自分という存在はさらに確立されていく、旅はそんな不思議な経験を積み上げられると思います。
今回は「Humankind 希望の歴史」をご紹介しました。ゴールデンウィークにじっくり読むのによいと思います。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
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それでは、また!
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