「20代の4割がデート経験なし」は本当か?

こんにちは、よさそう®です。

先日この話題がメディアで流れました。

こういうデータをみると、データ分析に携わる者として、まず「本当か?」と疑います。
そして公が作る情報は30分もあれば裏取りできるものです。

メディアリテラシーやデータリテラシーをつける練習としてもよい題材なので、「本当か?」を検討してみます。

ニュースソースをみる

まず大事なことは、ニュースソースを読みに行きます。
今回は「男女共同参画白書」ということなのでこちらのページとなります。

そして報告書はこちらのPDFファイルです。

https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r04/zentai/pdf/r04_print.pdf

PDFファイルをみてP.51に調査結果がありました。

男女共同参画白書 p.51より引用

右側が男性の調査結果ですね。そして上のグラフが恋人の人数、下のグラフがデータした人数。

ここで1つ気づきます。
デートした人数が0人は「男性20代独身」であることに。
つまり「男性20代既婚」はそうではないのです。

ニュースで「男性20代の4割がデート経験なし」とタイトルに書かれると婚姻状況にかかわらず、という刷り込みがされますが、まずここに騙されてはいけないですね。
不思議なことに紹介されている数値は「20代独身男性 39.8%」とあるので、あえてミスリードさせようとしているとしか思えなくなりますが。。。

さて、この白書ではグラフしかのっておらず、正確な値がわかりませんでした。ということで出典を確認すると、「令和3年度 人生100年時代における結婚・仕事・収入に関する調査報告書」だとのことで、今度はそちらで調査結果を確認します。

データの出典元をみる

こちらのWebサイトにあります。

調査結果のPDFファイルはこちらです。

https://www.gender.go.jp/research/kenkyu/pdf/hyakunen_r03/10.pdf

株式会社マーケティング・コミュニケーションズと言う会社が請け負って行った調査なのですね。

報告書を観る上で大切なことは主に「誰に、何を、どんなふうに聞き、その結果がどうだった?」です。

ということで、「誰」をみてみます。

令和3年度 人生100年時代における結婚・仕事・収入に関する調査報告書より

全国2万人に聞いていて、20代男性では未婚者1,304人、既婚者242人ですね。

そして「何をどんなふうに」は、質問内容となります。

令和3年度 人生100年時代における結婚・仕事・収入に関する調査報告書より

③のところですね。「中学卒業から最初の結婚まで、「デート」した人数(結婚相手含む、恋人でない人含む」という聞き方をしています。

さて、ではその結果はどうだったのでしょうか?

出典元には「デート人数」の結果が載っていない

この報告書を隅々まで確認し、そして”デート”で検索してみたのですが、デート人数が載っていません。

一方で②で聞いている「交際した人数」は掲載されています。

令和3年度 人生100年時代における結婚・仕事・収入に関する調査報告書より

ここにも不思議な点があり20代と独立して記載されておらず、20代と30代がまとまった数値なんですよねぇ。。。

20代男性全体でみると

数値結果の根拠が明確ではありませんが、報道発表を元にすると「20代独身男性」は39.8%がデート経験ゼロ。白書の20代既婚男性のデート経験人数ゼロをグラフから読み解くと8%くらいでしょうか。

20代男性の回答者、未婚者1,304人、既婚者242人にこの割合を当てはめると、20代男性全体では34.8%がデート経験ゼロとなります。
こうなると四捨五入しても4割とはいえません。

むしろ「3人に1人はデート経験がない」という温度感になります。

20代には学校に通っている人もいれば、仕事をしている人もいます。ライフステージがとても大きく変化する時期でもあります。

そう考えると3人に1人というのは、あながち大きな数字とも言い難く、メディアで騒ぎ立てるほどのことなのか?と疑問に思います。

この情報で誰が得をするのか?

さて、このように正しくない情報が独り歩きしているのに、政府はなぜ訂正したり、メディアに訂正をもとめないのでしょうか?

こういうときに考えることは「この情報が流布することで誰が得をするのか?」です。
ニュースソースが訂正しないということは、ニュースソースにとって都合がいいからでしょう。

と考えると、こんなニュースを見つけました。

こども家庭庁、成立なのですね。この省庁では「少子化対策」も対象となるのだ荘です。
もし男女共同参画白書の調査で結婚や交際にまったく問題なし、という結果だったら無駄な税金を使う必要がなくなりますものね。


最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
よろしければいいね!やフォローをいただけたら、激しく嬉しいです。続けていく励みになります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?