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おやすみライカ、さよならスプートニクをより楽しむ為に

おはようございます、夜さりにささめくと申します。
猛暑ですね、そしてボカコレ2023夏が始まりましたね。
僕は「おやすみライカ、さよならスプートニク feat.初音ミク」と云う曲でルーキー部門に参加しています。

本ノートではいくつかの項目に切り分けて「おやすみライカ、さよならスプートニク feat.初音ミク」をより楽しんでもらう為に、歌詞の言葉の意味合いや物語の補完や説明を少し添えられたらと思っています。
聴き手の感じ方を最優先にして聴いてほしいのが僕の希望なので断定ではなく、あくまでも補足という形で書いていきます。
世界観を、物語を残したいので、何卒。



歌詞について

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おやすみライカ、さよならスプートニク feat.初音ミク

夜のほどろに僕は旅立つ
君の声は杳遠で
闇を涵泳、光を手繰る
アルクトゥルスはまだ先…? ねぇ…?

心震える玲瓏みたく
終点まで後少し
星は摑める? 模る翠に
繊やかに揺蕩っては眠る

幾星霜の時間を過ごして 失くした事、忘れた事も
大切にしてた祈りと言葉と 感情の類は切離して
ライカを乗せた船は宙の彼方 適した像、新しい躰
軌道上、意向、試行 エラー繰り返す、振り返る 無に帰る度に

何処にいる?壊して戻して
此処にいる?替わりを嵌めたら
届かない?聴こえない?観えない?
僕の中から零れ堕ちた

思い出せない、君の事 何の為だっけ…?軌道外
夜を越えるその度に 寂しさは捨ててしまった
覚束ない感覚に 呑まれては少し怖くなる
綻ぶ闇を解く時は 命ある事を確かめてよ

思い出せない
僕の事も君の事も忘れてしまった

言葉の意味と選び方

曲をリリースする度に言葉選びを褒めてもらう事と同時に難解なワードセンスだと言われる事があります。
歌詞に込めた意味合いは聴き手の想像で最後のピースを嵌めて欲しいんだけれど突っ込まれそうな言葉だけ説明をしておこうかなと、国語の授業します。
ライカとスプートニクに関しては少し知名度のある話なので知っている人は知っていると思うのですが、良ければ調べてみてください。
もう一つ、スプートニクの語源に同伴者って意味がある事を理解しているとより深まる理解があるかも知れません。

夜のほどろ→夜明け
杳遠→遥か遠い、奥深く暗い
涵泳→潜って泳ぐ事
手繰る→記憶や話の筋などをもう一度少しずつ思い出しながらたどる
アルクトゥルス→牛飼座のα星、直径が太陽の24倍の赤色巨星
玲瓏→美しく照り輝く様
繊やか→すらりとした様
揺蕩って→漂う、心理的物理的に定まらない様
幾星霜→苦労を経た上での長い時間の経過

この辺りが馴染みのない言葉でしょうか。
音と映像と同じ温度感で歌詞から読み取れるストーリーに耳を目を傾けて欲しいので色々考える上での参考になれると嬉しいです。

歌詞を書く際の言葉選びとして、音の響きや文字数ももちろんなんですが、文字に起こして羅列させた際の美しさも選定基準にしています。
幼い頃、CDを買って一番最初に聴く時は必ず歌詞カードを見て歌詞を追いながら聴いてたんだけどその時の癖というか、歌詞(ポエム的な要素)と曲の2軸で捉える感覚が残っているのかも。
最近はめっきりCDを買う機会って減ってしまったけど、いつになっても歌詞カードっていいよね。

難しい言葉をよく使っていると言われる事があるんだけど基本的には曲調や物語、背景にあって言葉を選んでいます。
その上で表現が限りなく読み取りにくい比喩で塗れさせているのでそこは性格が捻くれているからかなと。
ただおやすみライカにおいてはコンセプトが「聴く絵本」なので出来るだけわかりやすい表現にしようと意識しました。
なのでいつもと比べて曲の情景は浮かべやすいはず。
そんな事なかったらごめんなさい。

補填文章について

おやすみライカでは歌詞以外に3箇所、ストーリーの補填をする為の文章を挿しています。
物語調にしようと作ったけど歌詞だけじゃどうしても足りないので感想部分い入れるやつ、普段からよくやっているやつです。

宇宙の最果てに到着
擦り減らした時間
熱も光もどこにもなくて
暗闇の中に問いかける
君の声はどんな声?
君の顔はどんな顔?
君の愛はどんな愛?
君の嘘はどんな嘘?

何度となく夜を越えて
幾重もの朝を迎えて
壊れた躰は付け替えて
廃れた心は新しくして
なのにどうして
君の事がどんどん掠れて
僕がわからなくなる
誰か教えてよ

応答願う、どうか応答願う
時間も距離も遥か彼方
スプートニクの救難信号
ムトニクの船は煙の渦に
ずっと遠くにいけたよ
誰も知らない場所まで
最果てについて話そうよ
僕の記憶が消える前に

こうしてみるとここはストレートな言葉を使ってますね。
唯一、聞かれそうなのってムトニクくらい?
ムトニクはライカの別表現、これも少し有名なやつなので知ってる人は知ってそうです。

曲の生立ち

この曲、前回のボカコレくらいから着手した記憶があります。
着手といってもふわっとイメージする程度。
普段、歌詞→曲の順番で制作する事が多く、歌詞に関しては気になった言葉や題材をメモに書き留めているのでその中から組み合わせたり広げたりして作っています。
そこでの組み立て作業を始めて、なんとなくコードをつける程度でした。
ちなみに初期構想では早いパートのまま2番があり、7分超えてました。

5月下旬ごろに本格的に着手しないとまずいなとLogicに書き上げる作業を始めました。
その中、ボカロック投稿祭でアヒルの天ぷら氏と出会ったのがこの曲の分岐点になりました。はっきり言って投稿されてた「アネモネ」と云う曲が良過ぎた。

この曲に関しては、以前にVOCALOID Timesでインタビューを受けた時にも好きすぎて語りました。
楽曲の背景に自分のバックボーンに近い音楽があると核心してそこからイメージが急加速しました。
知り合って2週間後とかには気づいたら一緒に曲を作りましょう、ギターを弾いてくださいと依頼をしていました。
そこからが本当に早かった、早いというよりどんどんイメージが浮かび上がってそれに従って曲ができていくような形です。

今回、本当に媚びる事なく自分の好きな音楽を作れたなって思う。
好きなジャンルで好きな音で好きなクリエイターさんと最高の環境で作品を作って挑めた感覚があります。
曲作りの際の考え方については以前、インタビューに回答しているのでお暇な時によければ読んでくださいね。

物語の補填、あらすじ

最果てについて話そうよ
僕の記憶が消える前に
今回のイメージです、ふわっとだけ補足というか、歌詞や補填文章を少しだけ肉付けしました。
正解のストーリーはあるんだけど、最後のピースは聴き手が埋めて曲を完成させて欲しいのでこれくらいの解像度でご勘弁を。

少女は大切な人に会いたくて旅に出る
遠く離れた大切な人に会う為に
君は遠くにいる、遥か遠くに
夜が明けて明日になったら会いに行きたいな
どこにいるのか分からないから空高くから見渡せるように
どこにいてもいいように宇宙の隅まで探せるように
船を拵える、継ぎ接いで泳げるように準備もして
今日は早く眠ろう、明日の朝は早いから

どこまでも拡い宇宙の果てまで行けば気にみ会えるかな
泳ぐ泳ぐ夜を、抜ける抜ける闇を、目指す目指す光を
宇宙に辿り着いた、でもまだまだ先はある
泳ぐ泳ぐ夜を、抜ける抜ける闇を、目指す目指す光を

幾星霜の時間が経った
失くしたものや捨てたものもたくさんあるよ
君に会うために必要なものだけは持っているから
それで大丈夫なんだよ
壊れたら取り替えて、古くなったら新しくして
それでまだまだ進めるはずだから
泳ぐ泳ぐ夜を、抜ける抜ける闇を、目指す目指す光を

何もないな、暗闇だ
熱も光もない現在地点に少し肌寒さを感じている
でも君に会えるならと泳ぐ事を辞めない
あれ…でも…なんだっけ?
君に会いたい、その気持ちは変わらないんだけど
君の事が少し薄れていている気がする、なんだか靄が掛かった感覚だ
大切なんだけどな
君に会いたい、それだけ行動する理由になって
もっと大切なものをどこかに置いてきてしまったのかな
どうしたらいいかな…誰か教えてよ…

なんだっけ…
君の事も、僕の事も分からないな
なんでここまで来たのかさえも曖昧だな
でも、でもさ、生きているよ
それをどうか分かって欲しいよ
声を上げる、光る、存在証明を鳴らす
虚しく響いてそして消える

君は星になったのかな
僕は星になれるかな
ねぇ、聴いてよ、僕の話を
たくさんたくさん旅をしたよ
いろんな場所に行っていろんな景色を見たよ
たくさんたくさん聴いて欲しいな
それから感想を貰えたら嬉しいな
ねぇ
最果てについて話そうよ
僕の記憶が消える前に

最後に

文字に起こしたい事をさらさらと書いたつもりですが、これはあくまでほんの一部分だし、一解釈に過ぎない事をどうか忘れないで欲しい。
作り手が考えた事だけが正解ではないと思っているからです。
それは聴き手が感じて解釈したストーリーと楽曲が合わさって完成するから。
ライカについて、スプートニク2号について本当に好きなテーマで曲を作れたなって思います。
思入れとこだわりと大好きなソウルメイトと色々詰め込んだ結果の結晶です。
それ以上の話はまたどこかで機会があればしましょう。
(定期的にスペースとかやっているのでその時にでも)

またどこかで少女の記憶譚を聴いて、「おやすみライカ、さよならスプートニク」という曲を聴いて夏の夜空に想いを馳せてみてください。
そしてどうかあなたは大切な事を忘れないようにしてください。
よしなに、


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