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15歳のころ、どんなあなたでしたか?-『十五歳の残像』江國香織(1998年)

 買ったまま読んでないシリーズ②:400円(メルカリ)

大人と子どもの間で揺れる、どっちつかずの少年時代。格好いい大人たちはどんな15歳を過ごしてきたのか。甲斐よしひろ、安西水丸、嵐山光三郎、長塚京三、大沢在昌ら22人の青春期を鮮やかに甦らせるインタビュー集。

Amazonより

 この本を買ったのは、宣伝会議「編集・ライター講座」の受講生のときで、“インタビューして文に起こす”ことの参考になると思ったから。
 読むのをやめたのは、絶版だと思ってメルカリで買ったらボロボロで、悲しくなったから。
 今回選んだのは、自分を甘やかそうと思ったから。
 このごろ読書の幅を広げるために、男性作家の作品を読んでいた。元の読書対象である女性作家に帰りたかった。積読が減るもので、かつ無理せず読める江國香織さんの本を選んだ。

 俳優、タレント、元プロ野球選手、音楽家、落語家、映画監督…あらゆるジャンルの男性22人にインタビューしている。
 ひとり5〜6ページにまとめられている。谷川俊太郎さんの冒頭はこうだ。

 谷川さんの口調はしずかだけれど率直で、どこにもまったく過不足がない。質問にぴったりあったこたえがすいすいとでてくるし、それはたとえば「気さく」といってもかまわないくらいのなめらかさなのだけれど、谷川さんに「気さく」はどうしたってそぐわない。声が、遠くできこえている音楽のようなのだ。谷川さんはとてもわかりやすい言葉を選ぶ。ゆっくりと、穏やかに話す。そうしてそれにもかかわらず、なんとなく外国語を話しているようにきこえる。

『十五歳の残像』「物語のようなひとー谷川俊太郎さん」P.107

 私も簡潔に、唯一の文章で人を描写したい。こんなふうに書けたら楽しいだろうな。そして、江國さんはここに出てくる人たちの利点を見つけ、好意的に思うから書けるのだろう、と考えた。

 一人目は甲斐よしひろさん。江國さんは甲斐さんのファンなので、緊張したのではと予想する。
 私が好きな男性有名人にインタビューするとどうなるだろう。TKさん(「凛として時雨」ギター・ボーカル)ならと考えてみたが、ファン歴が浅いため想像もできない。(そもそもTKさんは実在するのか?)

 TKさんに質問ができるなら。
 なぜテレキャスターなんですか?
(歌詞に入れるのはテレキャスをよほど愛してると思うのですが)
 レスポールをどう思いますか?
 身長何センチですか?
(「待って、当てます!」)
 どうしてそんなに細いんですか?
(男性に「細い」というとは失礼なんだろうか?)
 前髪払いのけて、髪の毛に邪魔されず世界を見たいと思うことはありますか?
 (これがいちばん訊きたいが、絶対に無理だ)
 15歳のときのTKさんと、今のTKさんの共通点はどれくらいありますか?
 15歳のときのTKさんが、今のTKさんを見たら、どう思うと思いますか?
 その逆は?15のご自身をどう思いますか?

 この本で、江國さんは以下のような質問をしていた。これを読んでいる人も自分に訊いてみてほしい。

ー十五歳のときといまとで何が変わったと思いますか。
ーいまいちばん怖いことは?
ー十五の頃、いちばん恥ずかしいと思っていたことはなんですか。
ーでは、いまいちばん恥ずかしいことは。
ーいま、もし好きなだけお金が使えたらもう使いますか。
ー十五の頃、将来こうはなりたくないと思っていたイメージはありますか?

 私は質問するのが好きだ。その人自身も気付いていない特性を見つけるとにやけてしまう。その人の特別さを暴きたいと思う。
 そうすることで、私自身の持て余した個性をそのままでいいのだと思える。
 だから私はインタビュアーになりたい。

 この本は1998年発行だが、雑誌での連載は1994〜95年と、今から30年も前だ。昔の言葉たちを読んでいくうちに、インターネットもスマホもなく、今よりゆっくりした、テレビに力があったその時代に飲み込まれそうになり、慌ててYouTube(現代の文明機器!)をつけて、かろうじて「今」を取り戻した。

本に出てくる人一覧


購入 2022/7/19
読む 5/8〜5/12
note 5/8~5/13
完成 5/14


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