新規開業者向けインボイス制度のFAQ公表
国税庁は12月2日、新規開業者向け特設ページを開設し、FAQを公表しました。このFAQでは、インボイス制度や「新たに事業を開始した」ことの意義、開業時の登録方法などを詳しく解説しています。
1. 新規開業者向けインボイス登録方法
新規開業者がインボイス発行事業者に登録する方法は次の3つです:
課税期間の初日(個人事業者は1月1日、法人は設立日)に遡って登録する方法
登録申請書をその課税期間中に提出することで適用されます。登録希望日から登録する方法
提出日から15日後以降の日を指定できます。新設法人で課税事業者となる場合
事業開始時点で課税事業者となり、その日から登録が可能です。
2. 「新たに事業を開始した」とは
意義:「課税資産の譲渡等を行うために必要な準備行為」も事業開始に含まれます。
例:事務所の賃貸契約や資材の仕入れ。注意点:事業の業態変更(例:コンサルタント業から動画配信業)だけでは「新たに事業を開始した」とは見なされません。
3. 事業再開や内容変更時の対応
事業再開:2年以上課税取引がない場合、再開時に「新たに事業を開始した」と扱われます。
課税取引の追加:非課税取引(例:居住用不動産の貸付け)を行っていた事業者が課税取引(例:事業所用不動産の貸付け)を始めた場合、その課税期間は「新たに事業を開始した課税期間」に該当します。
4. 事業開始前の設備投資
事業開始前に行った設備投資も、準備行為として「事業を開始した」と見なされます。そのため、事業開始日を初日とする課税期間で設備投資に関する仕入税額控除が適用されます。
5. 相続や法人成りの登録対応
相続:インボイス発行事業者が死亡した場合、相続人は「適格請求書発行事業者の死亡届出書」を提出する必要があります。
法人成り:個人事業者が法人を設立した場合、事業用資産のインボイス交付後に「事業廃止届出書」を提出することで問題ありません。
6. 適用事例
法人設立の遅延:設立初年度に事業活動がなかった場合でも、2期目から「新たに事業を開始した」として登録可能。
非課税事業からの移行:非課税事業(居住用不動産貸付け)から課税事業(事業所用不動産貸付け)への移行も、新たに事業を開始したと見なされます。
まとめ
今回のFAQは、新規開業者にインボイス制度の登録方法や事業開始の定義を詳しく説明しています。特に、事業開始前の準備行為が「事業開始」に該当する点や、登録のタイミングに関する注意点が明確に示されています。事業開始を予定している場合は、このFAQを是非参考にしてください。