7月17日の日記「ビーバー」

もう当たり前に休んでいる。
このまま退職する気がする。
昨日は面談があって、そのことを日記に書くつもりが書けなかった。
低気圧なのかストレスなのか全く体が動かなかった。

久しぶりの出社は面談室直行だった。
総務のおじさんが会議のため10分くらい遅刻して部屋に到着した。
最近体調はどうですかという質問に対して、曖昧な回答をした。
「起伏は激しくて、でも今日は大丈夫です。ここまでくる間はずっと心拍数が高かったんですけど…」
確かこんな感じで答えた。

会社の中で僕が出来そうな、やりたい事があればそれを尊重すると言ってくれていたので、ある程度やりたいことについて答える準備はしていた。今何ができて、どういう事がしたいか、どの部署で働きたいか。
丁寧すぎるくらいに話を聞いてくれた。
1時間くらい話していた気がする。

正直なことを言うと、僕がやりたいことというのが叶う場所が無い事を確認する作業のようになっていた。
多分あからさまに僕の顔は曇っていた気がする。申し訳ない。
こんな奴のために時間を使わせてしまって。
たくさん気を遣わせてしまって。

本当にやりたいことなんてここには無いと段々気づいてきた。頭の中にさっきまで聴いていた曲が流れる。

「僕は創作がしたい」
絞り出すようにそう言ってしまった。
でも心の声だったと思う。

思い返すと中学に入ったくらいのタイミングでそれまで続けていたサッカーが出来ない足になってしまい、大きな挫折を経験して以降、僕をつき動かしてきたのは音楽と漫画だった。
その他も上げていけば結構ある。
ラジオもそうだし、アニメもそうだ。

高校生になるタイミングで思い切って軽音部に入って全てが変わった。
あの瞬間のキラメキみたいなものを、一生追い続けて生きている気がする。
そして、その周辺の出来事に今もずっと囚われ続けている気がする。

音楽を作り始めて自分がその時のキラメキを与える側になれたらいいなと思うようになった。
怒りとか苦しみとかそういうものを音に変えた瞬間に悲鳴は作品になって、ファンアートやら感想やらを貰えた時に僕も救われたような気がした。画面の向こう側だったはずの人間が自分の言葉と音楽のためにLIVEに足を運んでくれたり、CDを買ってくれたりした。嬉しかった。

どんなに金にならなくても、裕福な生活が出来なくても、そういう喜びを追求したいという気持ちだけがあって、それ以外の贅沢にはあまり関心がない。
競走も蹴落としあいもあまり性にあわない。
ずっとそれに気づいていた気がするけど、親に心配をかけたくなくて大学進学も就職もした。
心のどこかで「もういいだろ」という風に思っていた。いわゆる普通の道を歩む事はできるけど、本心とは全然違う安定だ。
家賃が間違いなく払える。
それ以外の安心は無い。
時間を無駄しているような感覚。若さを失うような感覚。自分の人生がなんだか分からなくなるような感覚。
ずっとそれがあった。

続き。

翌日の昼に書いてる。

羽村駅。
始めて降りた。
もうド田舎そのものだった。
雰囲気は東林間とかそんな感じ?

駅前の適度な文明感が心地よくて、ファミマでおにぎりをふたつ買ってしまった。動物園までは彼女の案内で行った。
本当にあるのか?と2回聞いてしまうほどに道中はただの道で、ゲオがあったり道の駅的なスーパーがあるだけだった。
ずっと進んでいると「動物園まで400m」の看板があった。
ソレを見てもなお存在を疑ってしまうほどに普通の道が続いた。

やっと現れた!
動物園らしい入口のあの感じ。
チケットを発券機で購入(大人500円、安い)
入場すると受付のおばさんが「楽しんでねぇ」みたいなことを言ってくれた。マニュアルって言うより本当に言ってくれた感じがして良かった。
平日の動物園は本当にがらんとしていて、動物もほとんど寝ていた。
プレリードッグとミーヤキャットは辺りを監視していて偉いと思った。

少し進むと普通にキリンが居た。
しかも2匹。
あまりにも前触れもなく現れたもんだから実感がしばらくわかなかった。
キリン2匹が身を寄せ合って立っている。なんか近くに知らないでかい鳥もいた。

エミューの喉はエンジンみたいに鳴っていた。
リクガメかわいい。
猿山うるさい。
ワライカワセミちょう面白い声。

色々抜けてやっとビーバーの展示のところに来たけど、居ない。
どうやら夜行性だから昼は寝ているみたい。
まじかーと思ってしばらく待ったが、やっぱり寝てる。

ダメ元で再入場をお願いしたら出来た。
おばちゃん、ありがとう。

再入場券を持ってまた羽村駅の方を目指した。
途中さっき素通りしたスーパーやら道の駅に寄って時間を潰した。
それでも余っていたので駅前のマクドナルドに入った。
ひさしぶりに来た。
子供の遊具があるタイプのでかいマクドナルド。
最近の都内のマックは壁がおしゃれになっていて、キツイが、ここは違った。古い!
古いのにモバイルオーダーが出来たのでモバイルオーダーで頼んだ。
なんかこういう日がずっと続く気がしている。
けど、これは本当に奇跡で出来上がってる休日であって、日常ではない。
僕は今働いていない。
そんな不安定な今を全力で楽しむしか無い。
生きているからね。

マクドナルドを出るタイミングで、自分が服に盛大にバーベキューソースをぶちまけていたことに気がつく。
オーマイガー。
びっしょびしょにして洗って事なきを得た。
外に出ると蒸し暑い。
書き忘れたけど、今日は雨が降ったり日が照りつけたりで忙しい日だった。
傘をさしたり、今は傘ささなくてもいいかと言いながら小雨の中そのまま歩いたり、そういうのがちょっと楽しい。

動物園に戻る。
相変わらず静かな園内だったけど、少し違った。
ビーバーの展示の周りに人だかりが!
すこし小走りで近寄ると、赤ちゃんビーバーがちょうど起きてきたらしく、親子揃ってご飯タイムの真っ最中だった。
ああああああああ!!!!!!かわいいいい!!!!!
小さいねぇ、なにその手!!!!!!!!
かわいいいいいいいいいいい!!!!!!!!
語り尽くせないほどのかわいいの応酬。

泳ぎが上手な赤ちゃんビーバーがお母さんとかお父さんの後をついて泳いでいて可愛かった。身体が小さいので、段差で転んでひっくり返ったりしてて、その時はその場に居た全員が声を漏らして見守ったりしていた。

しばらく見ているとパラパラと降ってきて、そのままそこそこの土砂降りになった。ビーバー親子は特に気にする様子もなくにんじんを食べ続けていた。
赤ちゃんビーバーがお母さんビーバーに抱えられ、巣の方へ運ばれていったので、ちょうどいいってことで動物園をあとにした。

帰り道、女子小学生の全力の会話を聴きながら歩いた。
死ぬほどうるさかった。小学生のこのくらいの子は女の子のほうが大人っぽくてー とか無い!まあああじでうるさかった。
ほとんどトム・ブラウンのネタみたいな勢いで叫んでた。
いやぁすごいわ、パワーが。

なんだかんだ羽村駅について、電車に乗った。
帰りの電車でさっき撮影したビーバーを彼女と見た。

家につく頃にはふたりとも疲れ切っていたので、家につくなりシャワーを浴びて寝た。目が覚めてお腹が空いたので2人でバチェロレッテを見ながらつけ麺を食べてまた寝た。

こんな日が続くといいな。


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