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秘密や誰にも言ったことないことって、仲が良いから打ち明けるものでもないよね。

“And that’s ok I promise myself one day Hey! 
I’mma tell ‘em all that you could either hate me or love me,
But that’s just the way I am”
(でもそれでいい 自分に約束したんだ いつかみんなに言うんだ 君が俺を好きでも嫌いでも、これがありのままの俺なんだ)

上記はCharlie Puthの「The Way I Am」という曲の歌詞だ。みんなが自分を好きでも嫌いでもこれが俺なんだよ、俺なんだ。というフレーズが繰り返し出てきて力をもらえる。

誰かになにかを言われて落ち込んだ時にこの曲を聴くと何だか心が楽になるので、むしゃくしゃしたり投げやりな気分になったらとりあえず聴くようにしている。
他の人に言われたことを自分の言葉や解釈に変更しないまま受け取って、自分を否定してしまうことが一番悲しいことだと思うので。

『Fantastic Beast2』吹き替え版でグリンデルバルドが「ここだけが自由を得られる場所 ここだけが自分でいられる場所だ」と話すシーンがあるが、こんな感じで私たちはできることなら自分が自分でいられる場所が欲しいと願っているんだよね。長時間偽りの自分を演じたり「これは自分じゃない」って思いながら生きるのはしんどい。

話がズレるんだが、私は仲がいい人だけでなくたいして親しくない人からも秘密を打ち明けられることが多い。

でもそれは私が信頼できる人間だからというわけではなくて、周りから「変わってるね」「独特だね」と言われがちな人間だからというのもある気がしている。

私自身が普通や常識から少しずれているから、多少おかしなことを言っても大丈夫なんじゃないかなって思われているのかもしれない。もちろんそれだけが理由じゃないんだろうけどね。

てかさ、秘密自体は重大だけど、話す相手への信頼度は重要じゃないこともあるよね。会ったばかりの親しくない人や、芸能人・インフルエンサーに誰にも相談できないようなことを相談するのも、その人自身を信頼している、というか秘密の匿名性が保証される相手を無意識に選んでいるのかも。

だってさ、悩んでて誰かに相談したくても、それを打ち明けて傷つくのは嫌だもんね。なるべく傷つかない相手を選びたい。


高校時代、私の友人Yは既婚の部活コーチと不倫をしていた。

「相手は結婚して子供もいるのに未成年の女の子に手を出してるただの気持ち悪いおっさんだよ?」「自分からキモい人間の仲間になりに行くな」というようなことはその都度伝えてはいたが、彼女のことは好きだし友達だったのでいつも好き勝手なリアクションはしつつそのコーチとの不倫話は聞いていたんだが。

いつだったか、ファミレスでご飯を食べてるときにYが言った。

「こんな話聞いて友達でいてくれるのはヨルだけだよ」と。

なんか、びっくりした。

Yはもう少し自分とコーチの関係が悪いものだという意識が薄いのかと思っていた。いつも「これは不倫じゃない」と言っていたし、コーチの話をする時のYはいつも楽しそうで嬉しそうだったし、相手の嫁に申し訳ないなんて話題も出たことがなかったからだ。

いつもは全然気にしない風で軽口ばかり叩いていたけど、自分が悪いことしてる自覚みたいなものはずっとあったんだ、とそこで気づいた。

この行為によって自分が周りから悪く言われたり、友達がいなくなってしまうんじゃないかと思っていることだって、その時初めて言葉で聞いた。なんかそれまで不倫や浮気をする人の気持ちが全く分からなかったが、悪いことだと分かっていてもやめられないこともあるんだなということをこの時学んだ気がした。

私は残念ながらYの不倫を応援できる味方にはなれないし、かといって友達を辞めることもできない。でも、友人として彼女のための『王様の耳はロバの耳の穴』でいようと思った。

誰かに秘密を打ち明けられたとしても、私がその人にとって耳触りのいい言葉をかけてあげられるとは限らないし、かと言ってその人の行いや考えを全否定して敵に回るわけでもない。

でもいつも大事にしたいなと思うのは、私が話を聞く相手が、チャーリーが歌っているような、グリンデルバルドが言っているような「自分が自分でいられること」を実現できる話の聞き方をしようということだ。

友人たちが困った時、彼女たちにとっての私が、すぐそこにある自分が自分でいられる場所でありたいと願っている。


余談だが、『ハイキュー!!』の影山と日向の関係性なんかはまじでめちゃくちゃ「自分が自分でいられる場所」なので機会があれば是非読んでみてほしい。

影山がまずった時、日向はあくまで自分の思ったことを言うだけで否定も肯定もしない。完全に味方してあげるわけじゃないけど敵にも回らない。日向がそこに存在してくれるだけで、もう影山には救いになっている。影山にとっていちばん怖いのは、ボールを繋いだ先に誰もいないことなので。

特別仲が良いわけでも、ずっとべったり一緒にいるわけでもないが、日向と影山はお互いがいるだけで、たぶんもう精神的には1人じゃないんだと思う。そういう意味で彼らはお互いが最強の味方。

素敵な関係だ。

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