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5月の短歌

パレットの鮮やかな色ぐちゃぐちゃに僕の心と同じく濁る


まだすこし肌寒いから半袖でタオルケットにくるまって寝る


帰り道きみと別れる十字路で互いの影は交差したまま


悪い癖と自覚してても煙草吸ってるきみの横顔がすき


屋上でひとりっきりでシャボン玉飛ばすあなたは神様ですか


4月から放課後きみのクラスまで迎えにいくのはわたしの番ね


君のことわたしのなかで永遠に生かし続けるとか言わないで


シャトルラン二人同時に終わろうね 呪いをかける友達未満


いつまでも優しいきみでいてねって眩しい笑顔で呪いをかける


サイダーのしゅわしゅわはじける泡みたいに爽やかに消えてしまいたい


水筒に麦茶を注ぐカラカラと氷が元気に泳いでいる


薄まったアイスティーをストローでかき混ぜ過ごす外は真夏日


普通よりだいぶ薄めのカルピスを夏の味だと笑顔で君は


耳元で蚊がとんでいるまだ夏が本番じゃないから逃がしてやる


ヒーローは敵がいないとだめだから僕が悪役になってあげる


給食の人型ニンジン幸せより呪いのほうがしっくりくる


クッキーの型抜きをするそのたびに僕の心も切り離されて


逆光で見えないけれど知ってるよすべての罪を許したいきみ


夕焼けに照らされたきみの横顔はすべての罪を背負ったようで


雨の日に会いたくなる人がいるきっと誰より愛しているよ


あまりにも君の近くにいたからか君のことがわからなくなった


アポロチョコ一粒ずつ食べるきみいつまでも無垢でいてください


駅前で僕を待ってるきみの影踏まないように後ろにまわる


雨の日はビニール傘ですこしだけ世界を拒絶した気になれる


バス停で待つ君の肩ふれるほど傍に並べる雨の日がすき


ひとりきり乗車するバス降車ボタン一斉に光って怖くなる


スーパーに花火セットがならんでる今年の夏と出会う6月


すこしだけ物足りないカルピスをつくるあなたで夏を感じた


夢でみたあなたの顔がぼやけてた教室まで廊下を走る


横断歩道の向こうに犬がいる青になるまで見つめあってる


うっかり死んだとき用にお願いとデートのたびに遺影候補を


空ってさ手が届きそうで届かないから憧れると思うんだ


メイクのり良い日に限り退勤後予定ないからとりまスタバへ

五月病に出会う暇もないままあっという間に五月がおわってしまう、暑かったり寒かったり自然に振り回される人間はかわいい、思い通りにならないとわかっていても1時間おきの天気予報をチェックしてる、スイカバーがコンビニにならびはじめて夏を感じました、本屋から流れでてくる冷房と紙の匂いがすきです、梅雨のじめじめは苦手ですがなにもせずぼーーっと眺める雨は嫌いじゃないよ、雨音が心地よくてうっかり部屋が真っ暗になってもそのままでいる夕方、夏がそこまできている匂いと共に六月を生きる準備をします

作品をまとめて本にしたいです。よろしくお願いします。