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【短歌】〜6/29蟲たちの季節


水を引く田から逃げ出す蟲たちの甲を光らせ燦け初夏

喜んで欲しい夏が来ること僕たちが季節そのものであること

鳥が鳴き見上げた空の眩しさを毎日忘れている東京は

将来をどうしていくか悩む道野良猫真っ直ぐ歩いていく

左右見て一時停止の白線にわかることなど一つとなくて

きっと嘘を本当と思っていたいだけ豆腐を崩す匙の先っぽ

君のことばっかり詠うメモ帳にくる悲しみにバツを重ねる

七日前笑って話した君なのに「元気?」と送ることしかできない

約束は消えてくれない不意に夜僕を冷やして一緒に眠る

東京がなくなってしまう前の晩撫でれなかった髪の感触

雨煙る電車が電車を追い越すと晴れた街まで先に行けるよ


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