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静物画ってなに?

ゴッホの話に入る前に、今回の展覧会のメインテーマとなっている「静物画」についてお話しましょう。

前記事はこちら▼
https://note.com/yoru_hosino/n/ndfee4fa8e808

☞静物画って?
西洋画のジャンルの一つ。
静止した自然物(花、頭蓋骨、狩りの獲物、貝殻、野菜、果物、台所の魚など)
人工物 (ガラス盃、陶磁器、パン、料理、楽器、パイプ、本など)が対象。
静物画のカテゴリー▼
コレクション画、花束、ヴァニタス、朝食画・晩餐画、台所画 etc…

※コレクション画:高価なもの珍しいものを並べた絵
※ヴァニタス:ラテン語で「空虚」「虚栄」を意味する。
人生の儚さや死を連想させるモチーフを寓意的に書き込み、虚栄を戒めるメッセージを込める。
火の消えた蝋燭、枯れかけの花、髑髏などなど
これは、星野の作品を好んでくださっている皆さんにはきっとたまらない題材でしょう。
別記事でじっくりと綴りますのでお楽しみに。(というか私が語りたい←)


プリムローズ、洋梨、ザクロのある静物 アンリ・ファンタン=ラトゥール
過去他の展覧会で初めて出会ってとても感動し、今回ゴッホと静物画展で再会できて嬉しかった作品。
原画は、絵の具の盛りによって果物がとてもみずみずしく、
柘榴の種なんかは今にもキャンバスからこぼれ落ちてきそう。
個人的に驚いたのが、ナイフの反射。
柄元の銀にほとんど色が混ざっていない白がのせてあるのだけれど、
作品をいろんな方向から見た時にそれがキラキラと光っていて、とても美しいのだ。


☞静物画の歴史
当時のヨーロッパ諸国で絵画を購入する者の多くが王侯貴族や教会でした。
ちなみに、王侯貴族の間での絵画ヒエラルキーは
1位 歴史画
2位 肖像画
3位 風俗・風景・静物画

そんな中、市民社会が進んでいたオランダやベルギーでは、市民たちが主な受け皿となっていたのです。
ここで流行したのが「静物画」。


「物」は歴史画や宗教画の中で教えや背景の物語、描かれているのが誰なのかを暗示するものとして、添えられることはあったものの、単体で描いたものはそうでないものに比べて評価はあまり高くなかったようです。
(聖母マリアのシンボルである百合の花などはそれだけで描かれることもあったらしい。)

それまで静物画が全然評価されてこなかったかというとそういうわけでもないようですが、一つのジャンルとして、その地位を確立し始めたのは17世紀ごろから。

これは、16世紀中頃のヨーロッパは戦乱の最中で宮廷に庇護を求めた芸術家たちが、彼らが好む洗練された作品を多く描いていたことや、アカデミック美術(正規の美術教育を受けた人による正統派美術)が幅を利かせ初めていたことなんかも影響ありそうですが、この辺がまだまだ勉強不足なので、詳しい方がいたらぜひ教えてください。


静物画に限ったことではないですが、このアカデミーの中でも誰を手本とするかの派閥争いがあったり、アカデミーが作り上げた厳しいルールや序列なんかに対抗して誕生する印象派とのバトルがあったり、印象派はさらにその次に出てきた新しい表現とぶつかったり。
絵画一つとるだけで、歴史の変遷、すなわち人々の動きを垣間見ることができて大変興味深いです。


次回から2回にわたって、静物画がオランダで発展した理由や、ジャンルの一つヴァニタスについてお話ししていきます。


1890年と割と新しいですがアカデミック絵画ってこんな感じ。
宗教モチーフとか寓意的なものが好きな者にはたまらないのです。
次の手帳の表紙、これにしようかな…

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