料亭花月でテレワークを
県境を越える事が制限され、だんだんと増す空気の重さに耐えかねていた5月末ごろ、こんな記事を見つけた。
記事を読んでみると、あの老舗料亭花月がテレワークプランを始めたという。
料亭でテレワーク。やってみたいにきまっている。
フリーランス仲間に声をかけ早速予約を入れた。
当日、重い荷物を抱えカメラを片手に場違いな2人組で恐る恐る門をくぐった。出て来た方に「テレワークで予約した」と告げると、すぐに部屋へ案内される。
1階の「山陽の間」では、ひんやりと冷えた空気と、小振りな朱塗りの円卓が迎えてくれた。窓の外には盛りを過ぎてもまだ鮮やかな色のさつき、川の流れる音、鳥のさえずり。と、時々庭園を散歩する他のお客様の声。
『幕末の志士、文人たちが過ごした空間』
快適過ぎて仕事が手に付かない。何をしに来たのか。
しばらく部屋を撮影したり、午前中に片付けておくべきものだけ仕事を進め、そうこうしているうちに念願の昼食。
料亭のお弁当。すごい。
二人ともに、美味しい以外の言葉が出てこなかった。
その後、食事も喫茶も済んでから、二階にある「竜の間」へ。
国賓の晩餐会にも使われる「竜の間」の床柱には、坂本龍馬がつけたであろう、と言われている刀傷。
竜の間からさらに先へ進むと、坂本竜馬直筆の書などが展示してある資料館「集古館」。展示物をぐるりと見てから、いざ庭園。
長崎三大庭園の一つに数えられる花月の庭園は、緑深く、歩けど歩けど庭が広がっているという印象。今調べた所八百坪あると。
それなら翌日筋肉痛になったのも仕方ない。
充分に庭園を楽しんでから、またお部屋へ。
今度こそ仕事の目処をつけて、後ろ髪を引かれつつ料亭という非日常から帰ってきた。
機会があればまた行きたいと思いつつも、今までは全体の7割りを占めていたという県外客が戻ってきて、「料亭でテレワークなんて贅沢ができたのはこの時だけだったな」と振り返ることができたら、それが一番なのかもしれない。
次は卓袱でも食べに、寄れたら嬉しい。