安心は眼鏡を変える(2人目のAさん)

病棟の看護師から連絡を受けました。
Aさんがお金のことで困っているらしい。
早速面談しました。

Aさんは67歳女性、一人暮らしで収入は年金のみ。
大分前に借りた借金の返済が残っていて、毎月払ってきたものの大変になってきたということ。
金額だけ聞くと何とか生活できない額ではないのですが、医療費もかさんできたため不安になってきたようです。
「病院にかかるとお金もかかって・・・」
「あんたに言っても仕方ないけど・・・」
と会うや否や愚痴愚痴モードのAさん。

最初に借りたのは10年くらい前、それからは返しては借り、借りては返しを繰り返してきたらしいです。
働いている頃はあまり大変とは思わなかったようですが、年金暮らしになりやりくりが大変になってきました。

すぐに無料法律相談に行こうと思いましたが、返済についての交渉か過払い金請求になると思ったので、まず取引履歴を取り寄せることにしました。
Aさんにローン会社に連絡してもらい、履歴を送ってもらいました。
電話する前は、いろいろ聞かれたらどうしよう、怒鳴られないだろうか・・・等不安なAさんでしたが、あらかじめネットで調べると、Aさんの借りていたローン会社はあまり何も言わず送ってくれる会社でした。
もし理由について聞かれたら今までの返済状況を見たいので、と言えばいいですよと伝えました。
実際の電話のやりとりは数分で、しかも事務的に終わり緊張していたAさんも糸が切れたような感じ。

履歴は3日後に送付されました。
見せてもらうと10年間にわたる取引がA4用紙3枚裏表に印字されていました。
残金はまだ30万円。
Aさんに履歴を借りてネットで調べて引き直しをしてみました。
引き直しとは利息制限法で定められた利率で再計算することです。
もともと消費者金融は利息制限法を超えた貸付(グレーゾーン金利)を行っていたので、法定利率で再計算すると、債務軽減や過払い金発生ということがあります。
すべて入力してみると残金が減るどころか50万円くらい返ってくるではないですか。

手続きについては法テラスに連絡し、民事法律扶助を受けることにしました。
民事法律扶助とは経済的に大変な相談者に、弁護士等に依頼した費用を立て替えてくれる制度。
費用も安く、分割支払いも可能です。

数日後、法テラスから連絡を受けた弁護士事務所から、一度来てくださいと連絡があったので一緒に行きました。
ローン会社も1社ですでに取引履歴も取り寄せていたし、引き直し計算表を見せると、弁護士の先生もまず過払いで返ってきますと言ってくれました。

それからのAさんは急に明るくなり、愚痴愚痴モードが切り替わった様でした。
病棟の看護師にも「男前の先生(私のことらしい)がうまいことしてくれた」とうれしそうに言っていたとのこと。
退院してからはデイサービスを利用するようになったようですが、そこでも「病院で男前の先生が・・・」とみんなに話していたといいます。

人間、お金の心配がなくなると眼鏡も変わるものなんですね。

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