【第三の人生】44の章:流れはその時必要な人間と会うようになっている
*登場人物*
萬里→主婦でお役目持ち。数年前まで、毎日のように一緒にいた先輩と久しぶりの再会。
みっちゃん(男)→萬里が高校生の時の先輩。萬里1年生の時に3年生だったけど、当時なぜか彼は成人していた(笑)
萬里がこんな人間(祈祷師)になったことを知らない友人はたくさんいる。
萬里を昔から知っている友人に『実は萬里、祈祷師なのよ。』とか言ってしまえばきっと、
『こいつ、おかしな宗教にでも入ったか!?』と思われても仕方ない。
それは、生まれた時から一緒に居た家族もおそらく同じ反応になるはず。
ずっと、何事もなく普通の人間として生きてきた萬里が、突然祈祷師になったなんて正気ではないと思うだろうな。
今までの良好な関係が壊れてしまうかもしれない不安もあった。
話をするには相手を見極め、タイミングを見計らってからでないと、みんな萬里から離れていくのではないか?!
それは、信じる派、信じない派、聞く側がどちらに当たるかの賭けのようなもの。
役目を受け入れ、祈祷師として活動を始め、思い悩むことや考える事が多く頭がパンク状態で、しばらくの間会っていない友人もたくさんいた。
そんなある日、娘が生まれる前から、何かにつけて行動を共にしていた先輩男「みっちゃん」から不意に連絡があり会うことになった。
みっちゃんは、会社社長の息子として生まれたんだけど、その会社が倒産し家族みんなが大変な状態に陥った。
抱えた借金も莫大で普通なら笑顔も出ない状態であっただろう、そんな環境に居たけど先輩は前向きな楽天家で、おしゃれで目立ちたがりで、歌も上手くモノマネもできる、女にはモテて明るくて面白くて毎日が楽しそう。
苦しい家庭環境だということなんか微塵も感じさせなかった。皆の憧れだったみっちゃんと最初に出会ったのは、萬里が高校1年生の時。
その時、みっちゃんは20歳の高校3年生。
今風の言い方をすると『チャラ男』で、いつもたくさんの人に囲まれていた。
萬里はそんな派手な先輩方とお近付きにはなりたくない方だったけど、最初に結婚した旦那と仲が良かったこともあり、友達になってしまった。
色々と事情があり、みっちゃんと最初の旦那の関係が途切れ、それから余計に個人的友達付き合いをするようになった。
そんなみっちゃんとは大人になって兄妹のように、さらに仲良くなった。
みっちゃんは手当たり次第の女好きだけど、もちろん萬里とはそういう関係ではない。
現在のダーリンにも紹介して友人になり、チャラい男だったが萬里が先輩と2人で出かけても何も問題を感じてない程、信用もある人だった。
萬里が妊娠してた頃から会うことも減っていたけど、なんのきっかけだったか数年たって久々の再会。
ファミレスで向かい合って座り、それぞれ環境に変化もあり、これまでのいきさつや今の萬里はこんな人間だということなど、みっちゃんの近況も合わせ色々な情報を交換した。
今思えばこれも意味のある引き合わせだったような気がする・・・。