みんなの「笑顔」を作るために【代表よもやま話①】
いらっしゃいませ!
養老乃瀧株式会社代表・矢満田敏之(やまだ・としゆき)のコラムがスタートしました。第1回目の今回は「居酒屋の価値」について。
ぜひ、最後まで読んでみて下さい!
■居酒屋の価値とは何?
はじめまして。養老乃瀧株式会社代表の矢満田敏之と申します。
弊社は、長野県松本市で創業した総合居酒屋チェーンです。1938年(昭和13年)のスタートですので、今年で83年目になります。
居酒屋業界の中では、比較的業歴が長い会社です。それだけに、今日に至るまでには大小さまざまな危機があり、その都度、どうにか乗り切ってきました。
しかしこの1年半は、本当に厳しい日々が続いています。
そう。理由はコロナ禍です。
これまでと比較しても、比べものにならないぐらいの大きなピンチでした。まさか、酒類を販売することができないどころか、営業すらストップさせなければいけない状況になるとは…思いもよらぬことでした。
そして、この状況がいつ終わるのかすらわからない。終わりが見えない苦難が心身に与えるダメージを、まさに身をもって痛感しました。
でも、沈んでばかりはいられません。
今回のコロナ禍は「居酒屋の価値とは何か」について、あらためて考える機会になりました。
1年半もの間、自分たちができることを必死に行うことで、少しづつではありますが、居酒屋企業の新しい可能性が見えてきたように思います。
そもそも居酒屋という名称は、江戸時代に生まれたものだそうです。酒屋で酒を飲むという習慣が当時の庶民の中で「居酒(いざけ)」と呼ばれるようになったことが起源、といわれています(『居酒屋の誕生』飯野亮一/筑摩書房)。
もともと酒屋さんだった居酒屋が、世の中の変化に応じて形を変えて現在の姿になった。そう考えるなら、居酒屋の「形」は、コロナ禍でさらに多様なものとなっていくでしょう。
でもその反面、居酒屋の本質的な価値は、何も変わっていないと思います。
それは「人々を笑顔にする力」。
そう考える原点は、僕の個人的な体験にあります。
■家庭でも職場でもない「サードプレイス」。
今から30年ほど前、僕が学生だったころ。友人とある小田急沿線の駅にある、十坪ほどの赤提灯の店にふらり訪れた時のこと。
老夫婦二人で切り盛りされていたそのお店。名前は忘れてしまいましたが価格も安く、学生にはとてもありがたい店でした。
店内は常連さんがいっぱい。少々入りづらい雰囲気でしたが、少し勇気を出してカウンターの端っこに座りました。
奥にある四畳半の小上がりはぎゅうぎゅう詰め。常連さんと思しき皆さんが盛り上がっています。メンバーを見ると作業服やスーツの人がいて、年齢も性別もバラバラ。少なくとも、同じ職場の仲間ではないことは、すぐにわかりました。
若い客が珍しかったのか、その中の一人のおじさんから不意に声をかけられました。
聞けばこの常連さん達は、このお店でたまたま知り合い、意気投合した仲間同士とのこと。そして「この間、このメンバーで温泉旅行に行ってきたんだよ」と言って、うれしそうに写真を見せてくれました。
笑顔が絶えない彼らの様子が何より印象的でした。そのお店は彼らにとって、家庭でも職場でもないサードプレイス。年齢も立場も関係ないフラットなつながりが、明日への活力になっているのでしょう。
今も忘れることができない思い出です。
■笑顔が集う場所へ。
弊社は、創業80周年を迎えた2019年に「企業理念」とそれに基づく「行動指針」を刷新。創業者が遺した言葉をあらためて読み返し、その遺志を引き継ぎながら、100周年に向けてのあるべき姿を記しました。
それと同時に、僕らのやるべきこととして「笑顔が集う場所へ」というスローガンを掲げました。
スローガンには、そんな想いを込めています。
居酒屋とは街のコミュニティそのもの。居合わせた人々をつなぎ、皆を笑顔にする場。それが居酒屋の大切な価値だと、僕らは考えています。
学生時代の思い出から30年近くが経ち、世の中は大きく様変わりしました。
コロナ禍において「居酒屋=不要不急の場所」という見方がありました。果たして、それは本当でしょうか。
百歩譲って「不急」であったとしても、決して「不要」ではないはずです。人と人をつなげる居酒屋は、世の中のあらゆるコミュニティの交流の場として、昔も今も、そして未来も、社会に必要な場であり続ける。
そう信じています。
一番上の写真のように、何も気にせず大きな声で乾杯できる日が、早く来てほしいと思います。そしてこれからも、笑顔が集う場所を作っていきます。
引き続き、今後もよろしくお願いします!
(終わり)
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