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書道家のイタリア留学

橋を渡る時に見えるアルノ川の景色。

語学学校の初日。
そう、私はこの美しい景色を日常にしたかったのだという想いを噛みしめながら、サンタ・トリニタ橋で足を止め、景色を眺めた。

秋の朝の頬を撫でる冷たい空気がより一層、語学学校の初日にふさわしい空気感で、年相応という言葉からは程遠く、柄にもなく、転校生のような、ある種の緊張感が私の背中を押してくれていた。

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正直、今まで旅行でしか来たことのなかったイタリアに住む日が来るとは思ってもいなかったのです。

「旅行で訪れた場所に住んでみたい」


こういった夢の一つや二つは、歳を重ねると、諦めてしまうことも多く、歳を重ねるごとに、自分の周りでは、病気を患う人や仕事や家族関係に思い悩む人などが多く、まさに人生の折り返し地点を辿っているのでした。


孔子曰く、「四十にして惑わず、五十にして天命を知る」とありますが、実際のところ、三十代でも惑いまくりです。


子供の頃の夢と現実世界の乖離。
自分の無力さと、ただ過ぎ去る日常。


これを変えるのは、ある程度の勇気が入ります。
頭で考えると、今まで培ってきた仕事や経済的基盤を失う恐れにさいなまれ、心を建てれば、なんとも言えないもどかしさに日々、苛まれるのでした。


私といえば、そもそも歴女で、吉田松陰先生の「不安と生きるか。理想に死ぬか。」という言葉に影響され、「理想に死ぬ」ことを選びました。


そして、数年前に旅行した際にご縁があったフィレンツェに行くことにしたのです。


ここからが、私の理想に死ぬ人生のはじまりになると確信したのが冒頭の写真の景色なのでした。

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