映画「カメラを止めるな!」考(ストレスからの開放考)

今回は内容に少し踏み込んで書こうと思いますので、観てない人は読まない方がいいです。

この映画の大ヒット聞いた時に、思い出した映画がある。初めて単館ロードショーで大ヒットとなった映画「ベルリン天使の歌」この映画、当時、ホントに都内一か所でしかやっていなかったが、異例のロングランを続けて、当時の単館ロードショーの記録を打ち立てた。SNSなんて全くない中で、本当に口コミで話題となり、さらに当時の映画解説者などがラジオなどで絶賛された。それでも上映館は増えずに、だった。今回の「カメラを止めるな!」はシネコンでの上映で一気に上映館が増えたが、そんなこともなく延々と同じ劇場で半年以上にわたってやっていた。

映画の構成という観点からもこの2作品が共通すると思った。まずベルリン天使の歌はモノクロのシーンから始まる。電車や図書館、いろんな場所で、いろんな人たちのつぶやきがつづられる。やがて、フォーカスされるのがサーカス一座。このモノクロのシーンが延々続く。この人々のつぶやき(?)というか「ぼやき」がなんであるのかが良くわからないまま、延々続く。変なところに立っているおっさんがいるが意味が分からない。面白いと聞いていたが、全く面白くない。カメ止めも、同じだ。いきなりの撮影シーンから、よくわからない、ゾンビシーン。しかも出来が悪い。そして永い。延々続く。見ている人たちにとっては、なんか面白いらしい、という淡い期待がどこで爆発するのか?待つ時間。状況の設定説明が欠けているので、それを補おうと、必死に理解しようとする時間。それでも違和感が残る。共に低予算映画だから、予算が掛けられずに出てしまった荒さというか設定のいい加減さにも感じられる。この時間が2つに共通する「観客にストレスを与える時間。」そして、これは後で分かるのだが、これは少しずつエンディングに向かって設定を理解させる伏線の時間。

それが、ある瞬間に、一変する。最初にみんながモヤモヤしながら、半ば寝そうになりながらの退屈な時間を取り返す面白さが始まる。その退屈な時間を過ごした人たちだけが得られる喜びの時間。すべての謎が解けていく。答え合わせのような時間。みんなが腑に落ちなかったところが逆に面白さに変わっていく。そして、大団円!みたいな構成が一緒なのではないか!と。

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