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あの世の辞典

先日、「水木しげるの あの世の辞典」を読んだ。

色々な地域、民族の”あの世”を、独特なイラストと文章で教えてくれる一冊である。さすが上手いなあーと感心しながら読む。

感心はするのだが、なかなか楽しい気分になれない一冊である。
なぜなら、怖めの”あの世”、つまり地獄の描写が多いのだ。
地獄まで行かなくとも、何だか大変そうなのである。

そんな中、水木しげる氏の言葉が面白い。

地獄はバカに迫力があるが、極楽の方はそれほどでもない。
すなわち、あまり楽しそうでないのはどうしたことだろう。

水木しげる あの世の辞典より

本当にそうだなーと。
地獄の描写はすごいのだ。想像力を駆使し、民族それぞれに、多種多様な地獄が展開されてゆく。楽しくはないが、読みごたえはある。

それに比べて極楽はというと・・・
どうにも想像力が乏しい感じなのだ。
美味しい食べ物ときれいな水、美女に、永遠の命・・・。
雪がすさまじい所なんかでは、それに雪が降らない事、海が荒れない事、などが付け足される。

ご馳走だって、食べ続けたら有難みが無くなってしまうし、美女に囲まれたって嬉しくない。
そんな状態で永遠の命なんてもらった日にゃ、途方に暮れてしまいそうだ。

そもそも体が無かったら、食べ物要らないんじゃ?という疑問も湧いてくる。
ということは、
体が無かったら、地獄の苦しみも無いのでは?という希望も生まれてくるのである。

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