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寒くなったら粕汁(かすじる)

そこまで好きじゃなかったはずなのに、気がつけば……。なんてことがある。いや、色っぽい話ではなく食べ物のことなんですが。

先週、夫が粕汁(かすじる)をつくった。彼にとってこの汁物は子どもの頃から親しんだ冬の定番料理。寒くなってきたなぁと感じたら決まって食べたくなるという。こたつ感覚。

一方、私がそれを知ったのは夫と暮らしはじめてから。帰省先の義理実家で、当たり前のように食卓へ登場した白っぽい味噌汁に目が釘付けとなった。なんだ、このお酒の匂いが汁物は。はてなマークが脳内を飛び交う私の横で、「お!かすじる!」と喜ぶ夫。

ん?いまなんと??かす…じる……!?!?

何の「かす」なんだろうと訝しがる私に、夫は「いいからいいから美味しいから食べてみて」とむだに期待値をあげておススメしてくる。おそるおそる、その温かい汁をひとくち口にする。

……うーん、力説するほどうまいかぁ?(ごめんなさいごめんなさいごめんなさい)

美味しさよりも食べなれなさがはるかに上回ってしまい、以来、私のなかで粕汁は不思議な料理として認定されてしまったのだった。


夫のソウルフードである「粕汁」は、一言でいうと味噌汁に酒粕を溶かした料理である。汁の具材は何でもよいのだか、彼いわく、豚肉に油揚げ、もしくは鱈や鮭など油がでる食材がよく合うとのこと。また、冬の料理なのでネギや根菜も一緒に煮込む。私の乱暴なイメージは豚汁に酒粕がはいったら「粕汁」。

ぐんと寒くなった先週、今季はじめての粕汁(夫作)を食べた。

約1年ぶりのその味はふんわりと優しくクリーミー。とろみのある汁は体の芯まで温まる。

あれ?と不思議に思う。今年の粕汁からは「どーも、はじめまして」のよそよそしさがすっかりと消えていた。どちらかというと「ああ、おひさしぶりです、また今年も会いましたね」のなつかしさ。10年間、何だかんだと毎年食べつづけたその味はじんわりと美味しい。

「こんど、粕汁の作りかた教えてよ」

一緒に暮らすようになってはじめて、夫に粕汁のレシピを聞いた。好物は、自分でつくって、いつでも食べられるようにしておきたいから。


時間をかけてゆっくりと、でも、どんどん好きが大きくなっていくものだってある。人も、食べ物も。

私にとっては粕汁がそう。あ、もちろん夫もね。


おまけ|粕汁(かすじる)を作ってみた

夫から聞いたレシピは「味噌汁の味噌分量に対して酒粕を半分くらいいれたらOK」とのこと。この情報だけを頼りに「粕汁(かすじる)」をつくってみました。

■ 豚小間1パック(200~300グラム)をざっと茹でる。火が通ったら、ざるにあける。

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■ 豚肉を茹でた鍋を軽く水で流して、たっぷりのお湯で出汁をとる。

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■ 豚肉以外の材料を切る。今回は、厚揚げ、筍、椎茸。

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■ すべての材料を鍋に入れて茹でる。火が通ったら味噌を溶く。味噌の分量は、きもち薄めの味噌汁で。

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■ 最後に酒粕(約100グラム)を投入。

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■ できた!!かんたんでした!!

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■ もろもろ適当な作りかただと自覚していますので、参考までにこちらを貼っておきます。これからの季節にぜひ!温まりますよ~


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