「何者かになりたい」ってどういう意味？

今から書くことは、人間とはどういったものなのかを理解しようと奮闘するトマトが書いていると思って読んでほしい。
なので「お前今までそんなこともわかんないで生きてきたの？」とか呆れないで。
なんせトマトだからさ、大目に見てよ。

「何者かになりたい。」
この言葉をSNSで、というか私は主にXに生育しているのでXで見かけるのだけど、見かける度にいつも思う。
その「何者」って何なのさ。
「夢を叶えたい」とか「理想像に近づきたい」とかなら目標に向かって頑張って近づきたいんだなって私でも理解できる。
何をみんなそんなに焦って「何者」ってやつになりたがってんのさ。

そこで一度考えてみた。
「自分が何者かなんて自分で決めたらいいじゃん」という考えがまず私の中にあって。
例えば、会社員やりながらでもバンドでプロを目指している人たちがバンドマンを名乗ったって全くおかしな話だとは思わない。
しかし本業が会社員でバンドも全く売れていなくて大して活動もできていないという状況だと、他人から見た時には「それってあなた、バンドマンと言えるの？」と思われてしまうかもしれない。

だからみんな「何者かになりたい」と言いながら、その実、他者からの承認が欲しいのかなとか思った。
他人から「どう見てもあなたはバンドマンだね」って言われたいのかなって。
だって誰だって人から認められたいものだろうから。

でも欲求の根源が「人から評価、承認されたい」だったらこんな曖昧な言い方するかな。
何となくだけど感覚的にしっくりこない。
他者評価だって当たらずも遠からずだと思うんだけど、認められたいだけじゃない気がする。

似たような「ビッグになりたい」とか「何かを成し遂げたい」とかともちょっと違う気がするし。
そもそも、さっき例で挙げた状況で他人から「あなたって何者なの？」と聞かれて「会社員してます」って答えれたら、それってあなたの「何者」は「会社員」で決まっちゃってるじゃんね。

そこでもう一度考えてみる。
まず、何者かになりたい何者志願者は現時点で自分が納得できる何者かになれていないから「何者かになりたい」わけだよね。
ということは、その人たちは自分の現状に満足できていないということ。

そして次に、この何者志願者たちは、いつも「何か」でなく「何者か」になりたいと言っている。
ということは、もしかしたら何になりたいかはまだ決まり切っていないということ？

最後に、他人から「あなたは○○（何者）です」と評価された後、本人は何ができるようになるのか。
人から受けた何者判定を受けて、ようやく自他共に認める「何か」で自分を名乗ることができるようになる。

つまり、みんなが言ってる「何者かになりたい」って、自他共に納得できる肩書が欲しいってこと？
肩書というと堅苦しかったり、どこか威張って聞こえるけど、要するに自分が自分に満足できるようなアイデンティティーやステータスが欲しいのかもしれない。

クォーターライフクライシスという言葉がある。
20代後半～30代前半の人間が漠然と自分の人生に不安を覚える時期らしい。
社会に出て数年働いてみて、思ったより自分の人生が上手く行ってる感じがしない。
自分ってこのままで大丈夫かな？
別に今の職場も生き方も、どうしても嫌！ってほどではないけど、でもやりたいことでもない。
周りの同年代を見ると、夢を追って一生懸命だったり、家族を作って幸せそうだったり、着実にキャリアを積んでバリバリ働いてたりする。
でも今の私には何もない。
私、このまま生きていって大丈夫なのかな？
自分が思っていたより自分が子供なままだし、このままおじさんおばさんになってくなんて絶望的すぎる。
何か自分を変えなきゃいけないけど、でもじゃあどう変わるのって言われるとどう変わったらいいかがよくわかんない。
このままの自分でいるのは不安で、何かしなきゃと思うのに、その決定的な「何か」がわかんない。

こんな気持ちかな。
というかそんな気持ちなんだけど私は。
この「このままでいいのかな？」という焦りや不安から、何か成し遂げなきゃという気持ちが生まれて、でもその何かがわからないままだから「何者かになりたい」という漠然とした形で発露されているのかな。

そう考えれば、なるほどね、理解できる。
自分がこのままで大丈夫かなって不安だよね。
新卒でよーいドンでスタートしたマラソンなのに、周りは軽快に前の方走ってて自分だけ遅れを取って、でも追い付けない気持ち。
自分には何にもないという無力感。
だからこそ、自分が安心できるアイデンティティーが欲しい。

わからないって不安だ。
その上それが「生き方」だなんて大きな問題だったらなおさら不安になる。
自分に自信が持てなくてこのままの自分じゃダメなんじゃないかという焦りだけ感じて生きる。

それが「何者かになりたい」という気持ちの正体なのかもしれない。

考察してみましたが、いかがでしょうか。
合ってるか合ってないかもわからないけど、こういう気持ちならわかるよ、寄り添えるよ、と思って書いてみました。
夢が決まってたって本当にそれで合ってんのかとか進み方はこれでいいのかとか、わかんないことだらけだよね。
私たちこれでいいのかね。