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桃太郎~鬼の侵略者~

鬼視点の物語

昔々、人目に触れることのない孤島に、鬼たちの社会がありました。彼らは人間の世界から遠く離れたこの場所で、互いを支え合い、静かながらも満ち足りた生活を営んでいました。鬼たちにとって、この島は彼らが安心して暮らせる唯一の安息の地でした。

しかし、平和な日々は突如として終わりを告げました。人間界の若者、桃太郎が、彼を慕う動物たちと共に島に上陸したのです。彼は鬼たちが人間界に脅威を与えているとの噂を耳にし、それを駆逐する使命を自らに課していました。だが、その噂は全くの誤解でした。鬼たちは人間に害を与えるどころか、ただ静かに、平和に暮らすことを望んでいるだけでした。

桃太郎とその仲間たちは島に足を踏み入れるやいなや、鬼たちへの攻撃を開始しました。その姿はまさに鬼神そのもので、その圧倒的な力の前に鬼たちはなすすべもなく倒れていきました。突然の侵略に鬼たちは混乱し、恐怖しましたが、大切な家と仲間を守るために、やむを得ず戦いを挑みました。激しい戦いが続く中、鬼たちは桃太郎に対して話し合いの場を設けることに成功します。彼らは自分たちの真意を伝え、人間界への害意がないことを訴えました。

この対話を通じて、桃太郎は徐々に鬼たちの立場を理解し始めます。そしてついに、彼は鬼たちと和解し、人間界に真実を伝えることを約束しました。
しかし、目の前で親が殺されるのを目撃する子供の鬼や戦えない仲間たちを逃がすために犠牲になる鬼たちもたくさん居たことは事実です。多くの勇気ある犠牲の上にわずかな鬼たちは島から脱出することができましたが、桃太郎たちの一方的な行いを許すことなどできるはずもなく、決意の炎を心の奥底で燃やすのでした。

その夜、和解の証として人間と鬼とで宴が催されました。
勝利の美酒に酔う人間たちと残った鬼たちとの宴の灯りは深夜まで消えることはありませんでした。
その灯りを放心状態で見つめていると、どこからか小さな声が、気を抜いたら聞き漏らしてしまいそうな小さな声がどこからか聞こえてきました。
「1年後…1年後だ…。」
もはや言葉ともとれないつぶやきは木々を揺らす風の音にかき消されたのでした。
誰にも気づかれることなく。

ワーク

Q1)桃太郎から島と仲間を守るのに有効な交渉の内容はどんなものがあるでしょうか。

Q2)この物語の1年後の状況としてどんなことが考えられるでしょうか。

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