プロアクションリプレイ
ぼくは子どもの頃、ゲームをする際、プロアクションリプレイというゲームを改造するソフトを使って、プレイヤーに有利な状態を作って遊んでいた。
例えば所持金99999999円とか、体力MAXとか、武器無限とか。
今の時代、オンライン上でゲームが出来るようになりそのような改造は厳しく罰せられるようになった。
そりゃそうだ。フェアじゃない。
ひとりっ子のぼくはひとつのゲームソフトを遊び尽くし、改造に手を染めてさらなる遊び方を構築していた。単なるひとり遊びである。
ゲームを改造して面白いことは敵を圧倒的な力で倒せること。現実ではありえない無敵感を得られることだったと思う。
しかし無敵感に恍惚とできる時間はそんなに長くない。せいぜい数日。飽きてくると違うゲームに移り、再び改造を施して無敵感を味わう。その無限ループである。
ふと思い立って、無敵状態を解除してみる。
するとプレイヤーはすぐに死んでしまう。無敵状態に慣れきったせいでプレイングテクニックは皆無となり、敵のコンピューターも「積年の恨み」と言わんばかりにボコボコにしてくる。
そして結局、ゲーム改造に再び手を染める。
味が濃くてたまらない。ファストフードのような味わいだ。
ふとぼくは思った。
もし現実のぼくに改造をしたら、どんな無敵感を味わおうとするのだろう。
まずは所持金99999999円だろう。
カメラのレンズがほしい。新しいマイクがほしい。稽古場がほしい。海外に行きたい。
あれ。無敵感を味わい切れてない感じがする。
体力MAXにしてみる。
体力MAXということは疲れないということだろうか。
イマイチだ。疲れなかったとしても夜は寝たい。24時間起きていたいとは思わない。
あと改造といえば容姿か。
ゲームの世界で容姿を改造することはほとんどない。なんの意味もなさないからだ。
ただ現実では容姿は大きな意味を持つ。
身長はあと10cm欲しかったかもしれない。あと体毛を薄くしたい。
顔は…。難しい問題だ。カッコよくしてくださいとは言えるが、具体的にどうなりたいかは全くない。
例えば「オダギリジョーを少し濃いめにしてください」的なオーダーになるのか?
失敗しそうだ。
ちなみに改造に失敗するとゲームの場合、データが消えたりする。
余計な改造をして、人生のデータが消されてしまうのはごめんだ。
改造したところで無敵感を存分に味わえそうにない。いやはや、改造しがいのない人間だと我ながら思う。
上には上がいる。その頂点に立とうとしたら、塩分糖分過多で即死してしまう気がする。改造はやめておこう。
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