見出し画像

ANGERSWING#2

朝の通勤電車。わたしが乗るのはせいぜい2駅。
それ以上乗っていたら心身ともに窒息してしまいそうなので、2駅乗ったら始発電車に乗り換えるようにしている。

その日その日によって通勤電車内の空気が違う。
豆腐のような心身で満員電車に乗ることができる日もあるし、どうしても角ばってしまう日もある。

今日は角ばらざるをえない日だった。

基本的には豆腐のような心持ちで乗っていたい。
吊り革とかを掴めるならもちろん掴んだ上で、揺れに身を任せるというか踏ん張らない。
そうすると他者との衝突がとても柔らかく収まる。

でも周囲に角ばっている人がいると自分の身を守るためにふっと心身ともに固めてしまう。

自分の身を固めることは自由から遠ざかることだとわたしは思う。
パーソナルスペースがどんどん狭まっていく。パーソナルスペースが狭いことは内向することにも繋がる。
通勤電車の中の誰もがひたすらに内向して、他者との物理的距離が圧倒的に近い中で、心理的距離を圧倒的に遠ざけているように。

パーソナルスペースの狭い人を演じることもあるだろうけど、パーソナルスペースが狭いだけの人、狭いまま終わる人は見ていて面白くない。
意図的にパーソナルスペースの狭い人を配置し続けるとかは面白いのかもしれないけど。その役自体が作品にとっての大きな障害になっていたりすれば、面白いかもしれないけど。

今の仕事を始めて1年が過ぎた。
ほぼ毎日、満員電車の中で自分のパーソナルスペースを狭めて、ひたすら内向して、なんとか保ってきた。

もちろんこの1年で色々なところに旅に出て、仕事でも人口密度の低い地方に行ったりして、定期的に羽を伸ばすみたいなことはやってきたけど、足りてないなあって強く思う。

俳優としてフラットに戻す。
まずはパーソナルスペースを掃除することと少しずつ広げていって、空間を受け入れていくこと。小さな気づきの喜びを、小さなウインクに気づいていくこと。

情報が溢れた世界で、そういう細かいことをやっていくんだヨ。

<日本劇団協議会主催>
日本の演劇人を育てるプロジェクト
新進劇団育成公演

劇団Q+
『ANGERSWING /
アンガーズウイング・アンガースウィング』
ー家族の庭、その香りは秘密をささやくー

脚本=弓月玲 原案・演出=柳本順也

◎日程
2024年7月3日(水)〜 7月7日(日)

◎劇場
下北沢 駅前劇場

⋱チケット発売⋰
2024 年 5月 1日(水)開始

https://www.gekidan-q.com/

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?