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【雑記】女として、でなく人として見てくれること

このあいだ、職場近くにある雑貨屋さんに立ち寄った。ときどき昼休みに職場近くを散歩しているのだけども、いつも妙に目につくお店で、「きっとここは私好みのお店だろう」と思っていた。(HSPあるあるだと思うのだけども、「このお店自分に合いそう」と直感が働きませんか?)

おそるおそるお店に入る。個人経営の雑貨屋さんって、店員さんがものすごく無愛想だったり怖い人が多い。だからいつも入店するたびに「失礼します」と心のなかでお辞儀をする。

お店に入ってみた。なんてかわいくって明るい雑貨でいっぱいなんだろう、と感動した。本業と副業で頭がいっぱいだった私の心が、子どもの頃の無邪気さを取り戻す。まるで初めて見た世界みたい。

商品の説明を見渡してみると、このお店は店主が世界中を旅しながら集めてきたコレクションを取り扱っているようだ。ファンシーで夢しかない。お洋服も、日本のそれとは違う。いわゆる「モテ服」なんてなかった。「これが私よ!」と主張してエネルギッシュに生きている人の着るそれだった。

ものすごく元気な気分になってちいさな店内をうろついていると、店主とおぼしき男の人が、「このお店は初めてですか?」と私にたずねてきた。「とてもかわいいし、元気をたくさんもらえました」と答えると、「それはよかったです。ゆっくり見てくださいね」と男の人は言った。

あまりにも居心地がよすぎて30分くらいお店の中を見ていた。そのあいだ、ずーっと私一人の状態。気持ちよかった。マリリン・モンローがでっかく描かれたTシャツを眺めながら、「こんな柄のTシャツ着ながら出勤したいなあ」とひとりごちていたら、店主と思しき人が「この下の靴、もしかしたら似合うかも」と声をかけてくれた。レジから立って、靴を取り出してくれて、私が履きやすいようにイスを用意してくれた。その靴の色は鮮やかな原色。いつもパステルカラーの服ばかり着ている私にとって、原色のファッションを取り入れるなんて思いもしなかった。「パステルカラーには、原色も合うんですよね」と店主と思しき人が言った。鏡にはいつもとは見慣れない私。でも、不思議とパステルカラーの服に原色の靴は似合っている。

そのときのフワッと心が軽くなった感じを忘れられない。世間の「こうあるべき」、ファッションの「こうあるべき」といった、いろいろな、勝手に思い込んでいた「◎◎すべき」といった固定観念が消えていった。

そしてもうひとつ、このお店の店主と思しき男の人が、いままで出会った男性とちがって、女として意識して上から目線な感じだとか、対等になろうと必死になっている感じだとか、逆に従おうとしてくる感じだとか、そういうものをまったく感じさせないところ。ものすごく、話していて居心地がよかった。自然体で、女として以前に人として見てくれるところがすごく安心できた。こういう男の人に出会うのはまれなので、このときの感覚を大切にしたい。

たまにチェーン店に入ると接客についてのアンケートがあるけれども、★なんてつけられないくらい、「素晴らしい」というお世辞にも受け取れるようなかんたんな言葉で称賛したくないくらい、Googleマップのお店のレビューにも書きたくないくらい、自分にとってお気に入りのお店になった。

以前、フェミニズムについて勉強している友人が私にはいた。正直、私にとってフェミニズムは過激なものとしか思えなかったし、フェミニストたちが言おうとしていることをなかなか理解できなかった。彼女に対して軽はずみに言い放った「いまの社会で生きてても、充分女の人としての得をもらってるじゃん…」という言葉を後悔した。フェミニズムは「女だから」「男だから」といった性別とは関係ないものだと、私は店主と思しき人との関わりをもって初めて体感した。友人が求めていたのはこういう関係だったのかもしれない。

本業も、副業も、プライベートも、すべてが充実していてせわしない日常を送るようになって、ふとしたタイミングで昔のトラウマや、今まで理解できなかったことや、以前の自分にとっては幼くてわからなかった他者の気持ちが、あれよあれよと紐がほどけるように「そうだったのか!」と体感する瞬間が増えた。おもしろい毎日だ。

雑貨屋さんで買ったネックレスをつけて、昨日会社に行った。なんだか守られている感じがして急に眠くなった。スピリチュアルとか引き寄せとかは信じない派だけども、お店のパワーがあるのかな、なんて思ってみたり。心強い存在がまたしても増えて嬉しいな。

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