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19歳宅建取引士が考える「宅建業法古過ぎ問題」

私は17歳で宅建士となり、これまで2年以上不動産業界に携わってきました。

主に賃貸の仲介業務を行ってきましたが、宅建業法が時代に追いついておらず、苦しんでいる宅建業者を多数見てきました。

今回は宅建業法古過ぎ問題、特に報酬に関するルールが古過ぎるということを述べました。
不動産業界関係者の方だけでなく、不動産業界未経験の方などでもわかりやすいように解説しておりますので、ぜひ最後までご覧ください。

前提知識

①宅建業法で定められた報酬額
②不動産屋が仲介手数料を受領できるタイミング
③不動産屋は仲介手数料以外で収益を上げているのか

宅建業法で定められた報酬額

家を借りたことがある方は、仲介手数料を支払ったことがある方が多いと思います。

賃貸の仲介手数料は、貸主と借主から合わせて賃料の1ヶ月(消費税別)以内でなければならないと定められています。(宅地建物取引業法第46条及び国土交通省の報酬に関する告示)

仲介手数料は1ヶ月以内でなければなりませんから、どんな理由があっても借主が1ヶ月分を超えて支払う必要はありません。
※借主が1ヶ月分を支払うことは例外で、本来は0.5ヶ月分であるという規定がございますが、今回の趣旨とは異なるためこちらの解説は割愛いたします。

それではこの仲介手数料を、不動産会社はいつ受領できるのでしょうか。

不動産屋が仲介手数料を受領できるタイミング

不動産屋は、仲介を行っていないのにも関わらず手数料を受領することができません。

仲介を行い、契約を成立させることで、初めて仲介手数料を受領することができます。いわゆる成功報酬です。

不動産屋は仲介手数料以外で収益を上げているのか

【結論】いくつかあります。

仲介手数料は貸主と借主から合わせて1ヶ月分以内と定められていますが、4万円の賃貸を仲介したときの報酬が4万円であれば、正直不動産屋はやっていけません。

一般的な不動産仲介業者の必要経費というのは、
・フランチャイズ加盟料(アパマンとかエイブルとかホームメイトとか)
・広告媒体掲載料(SUUMOとかホームズとか)
・店舗の家賃、駐車場代、案内用の車両費
ここまででだいたい100~150万円ぐらいかかっている不動産屋が多いです。

次に人件費。これが1番の経費なのですが、
営業スタッフ2名、サポート1名、経理1名の4人体制だとすれば、月間人件費は100万円以上になります。

あわせて必要経費は200~250万円程度ということです。

仮に1件の成約で4万円の報酬だとすれば、月間50件~の契約でようやく損益分岐点。
はっきりいって不可能です。だいたい1人の営業スタッフで抱えられる件数は15~20件程度がMAX。中には成約後のキャンセルもありますから、実際はそれ以下です。

となれば、不動産屋は賃料の1ヶ月分だけで経営していくことは不可能です。

ではどのような収益があるのか。
①貸主や管理会社からの業務委託料、広告料
②ライフラインサポートの斡旋
③契約締結時のエアコンクリーニングや殺虫消毒料
などなど。
特に①が大きいのですが、仲介手数料以外にも収益源は存在するのです。

不動産屋の仲介手数料などの報酬は、全て契約を成立させなければ受領できない問題

宅建業法や国交省の考え方によれば、仲介手数料などの媒介に関する報酬を、契約が成立する前に受領することは禁止されています。

不動産屋の「タダ働き」が多いのもこの理由です。

「資料1件1,000円」「案内1件5,000円」
みたいなやり方で経営したいと考えている不動産屋も多いのですが、成功報酬であるという法規制により、このようなやり方は違法となる可能性があるため、現時点ではあまり浸透していない報酬体系です。

なぜこのような報酬体系でやりたいと考えている不動産屋が多いのでしょうか。

他社で内覧してうちで申込したら仲介手数料0円ですよという会社が存在する。

まさにこいつらのせいです。
前提知識としてお話しましたが、仲介手数料0円でもほかの収益源がありますから、内覧などをしなければその分人件費を抑えることができ、タダ働きも無くすことができます。

ということで、他社で内覧してうちで申込したら仲介手数料0円ですよー。というのを謳っている会社がいくつも存在します。

まともに案内している不動産屋からすれば、お客様のために本気で物件を探し、内覧に同行し、気に入ってもらえたと思えば他社に取られる。

この時、物件を紹介し、内覧に同行した不動産屋の報酬は0円です。

しかし、仲介手数料0円で申込を受け付けた不動産屋は数万円から十数万円の売上になります。

おかしいと思いませんか?

不動産屋も対策をしている。

対策っていっても大したことはしていません。

「案内行ったその日に決めてもらうようにする」

その日に決めるのを勧めてくる不動産屋が多いのはこういうことです。他社で申込されたらタダ働きになるので。

数日考えさせてーよー。
と思うときは、「御社で契約するので数日考えさせてください。」みたいなことを言ってみると良いかもしれませんね。

宅建業法、こう改正すべきである(持論)

以上のことから、宅建業法は次のように改正、または解釈されるようにすべきである。
・案内や資料の提供で報酬を受け取ることができるように宅建業法を解釈すべきである。
・スマホ0円は違法のように、仲介手数料0円も違法とすべきである。

不動産業者としては、情報提供に関する念書たるものを作成し、資料を提供する前にこれに同意いただくようにするのもありなのではないかと思います。

内容としては、弊社から提供した資料を元に、弊社を通さずに賃貸借契約を締結した場合には、違約金として賃料の1ヶ月分を弊社に支払うものとする。というものですが…。

専属専任媒介契約約款に盛り込まれている内容を抜粋すればよいかと思いますが、これが完全に合法なのか(違約金発生が違法ではないか)という点、これもまた課題であると私は考えています。

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