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Podcasterとリスナーの関係性はどうあるべきか~Web3フォーム Air-chainの紹介~

問い:リスナーとの関係性はどうあるべき?

2年間Podcastを続けてきました。ちょっと自分を褒めたいと思います。(途中でちょっとサボりましたが…笑)とりあえず見切り発車で始めましたが、より良いコンテンツを届けるためにコンセプトを変更したり、フリーアナウンサーのみどりさん(@_emaognir_)に入ってもらったり、リサーチャーにも参加していただき、試行錯誤を積み重ねてきました。

そして、それはリスナーとの関係についても同じです。聴いてくれる方がいるから2年間も続けてこれたわけです。ことあるごとにPodcastの運営とリスナーは“どのような関係性が理想なのだろうか”ということを考えているのですが、普段からPodcastに触れている方々はどのように考えていますか?ぜひ参考にご意見も伺いたいです。

  • 話者×オーディエンスである

  • タレント×ファンである

  • クリエイター×スポンサーである

  • クリエイター×クリエイターである

とりあえずあげてみました。これ以外でも表現方法はあるでしょうし、どんなスタンスでも良いとは思うんですが、個人的には最後の「クリエイター×クリエイターである」が腹落ちしていますし、目指したいと思いました。そしてそこに少しでも近づけるために自分たちのPodcastチームが欲しいと思ったAir-Chainというサービスを公開しました。(※サービスの利用料は取っていません。技術的にもEASを使ったおもしろいものとなっていますので、最後に貼ってある記事を見てくれると嬉しいです。)

▼ 私がやっているPodcastの番組のフォームです。

このサービスは、ブロックチェーンを利用したフォームサービスで、リスナーとの関係性をブロックチェーンで残すことができます。これを使ってより良いPodcastのリスナーとの関係性を作れるようになるといいなぁと思っています。

そもそもなんで「クリエイター×クリエイター」なのでしょうか。Podcast、ラジオの“ハガキ職人”などを見るに音声媒体は、明らかにただのオーディエンスを超えた存在であり、ともすればコンテンツの共同制作者になり得ています。

大きなところでは“ハガキ”の内容をラジオで紹介するコーナーで、リスナーからの投稿をコンテンツにしたり、ネタを提供してもらったり。

小さいところでは、フィードバックを受けて内容を微調整したり。実際、“ハガキ職人”の中にはそのあとラジオの作家に転身した方もいて、クリエイター足る存在だというのがわかると思います。

とはいえ、当然「リスナーがクリエイター」なのは言い過ぎなんじゃないかという意見もあると思います。しかし、私は「社会彫刻(social sculpture、ソーシャル・スカルプチャー)」の概念に賛同して考えていきたいと思います。「社会彫刻」とはご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、ヨーゼフ・ボイスの提唱した「誰もが自らの創造力によって芸術家になりうる」という考えです。

ボイスは、「ジャガイモの皮を剥くといった行為でさえ、意識的に行われたのであれば芸術的な行為になる」と述べています。リスナーがリアクションとして何か意図的な行動をすることで、その活動は社会に刻まれていき一つの像へと変わっていく。

“ハガキ職人”の方々の活動を見たり、まだまだポテンシャルの高いPodcastを見ているとそんなこともあながち理想論ではないんじゃないかと考えさせてくれます。

さて、Podcastにおける運営とリスナーの関係性をより「クリエイター×クリエイター」にするためにはどのような問題があるのでしょうか?下記は自分がたどり着いた2つの問題です。自分だったらどう考えるかを念頭において読んでもらいたいです。

1. リスナーの“ハガキ職人”としてのアイデンティティが統一されず、残らない

SpotifyがPodcastに力を入れてくれたおかげで、コメントやQ&Aが簡単にできるようになりました。さまざまなPodcastを見ていると、リスナーからのコメントや質問を募る方法に、このSpotifyの機能を使っている方、きちんとしたウェブサイトを作りそのフォームで質問やコメントを募っている方、Googleフォームを使っている方、メールで管理している方など様々でした。同じようにリスナーが聞く媒体もSpotifyやApple純正のアプリなどさまざまで、質問やコメントの規格は揃っていない状態です。

それによっていくつものPodcastを聴いている人にとっては、違うフォーマットで送らないといけないことがあります。かつてはハガキというフォーマットが決まっていましたが、今はそうではありません。まぁそれは大した問題ではなく、コメントや質問、お題に応えた活動実績が一つにまとまっていないという点に注目したいと思います。

毎回ペンネームを名乗り投稿する必要があり、過去に自分がした投稿は一覧でまとまっておらず見返すのは一苦労で、反響があったのを探し出すのも大変です。

自分の活動実績をすぐに確認できるといい

リスナーとしての活動実績が自分で見返した時にポートフォリオやワークスのように見ることができれば、リスナーとクリエイターとしての関係性を強められるのではないかと思います。クリエイターにポートフォリオやワークスは欠かせない存在です。

Podcastの番組はたくさん生まれて、自然消滅をしていきます。新しく始まった番組が続くかリスナーはまったくわかりません。個人的には、続くわからないので応援するべきなのか様子見してしまいます。そんな初期の番組への応援やコメントもしっかりとリスナーのペンネームに紐づいて貢献として残れば、もっと応援しやすくなるのではないかと思います。

もし応援していた番組が跳ねて人気番組になれば、「あのPodcastを前から応援していた」とふんぞり返ることができるでしょう。「あのバンド、売れる前から知ってたよ」と同じように

2. マスとインタラクティブなコミュニケーションを取りにくい報酬の形

リスナーからコメントや質問をもらえることはとても嬉しいことです。嬉しいという感情的なものでだけでなく、Podcastの運営においてとても役に立ちます。しかし、なかなかお礼を伝える手段や、貢献してくれた方にリターンを送ることは難しいです。“ラジオ職人”のように優秀なハガキを送った人1人にグッズをプレゼントすることはできます。

しかし、それはほんの一部の人ですし、送る方も受け取る方もコスト(住所の提出、グッズの準備や送付)がかかります

もっと“ハガキ職人”の方々に手軽に満遍なく送れるリターンや感謝を伝える方法があれば、よりインタラクティブなコミュニケーションが生まれ、結びつきの強化、Podcastの健全かつ創造的なコンテンツ作りが可能になるのではないでしょうか。

実際、私がもしリスナーの方にコンテンツ作りを何らかの形でも協力してもらった場合、キャッシュでという形は難しいかもしれませんが、何らかの報酬を受け取って欲しいと思います。

例えば、私が運営しているPodcastはエンタメ業界×ブロックチェーンがテーマです。リスナーとの関係を「クリエイター×クリエイター」にしていきたいと考えれば、次の3つのコミュニケーションを用意したいと思います。

  1. Podcastで解説して欲しいNFTプロジェクト

  2. ラジオで取り扱った内容の追加・修正

  3. 内容に関する質問

これら3つのコミュニケーションをとってくれるユーザーは十分にコンテンツの共同制作者と言えると思います。ここで、50人のリスナーがフォーム経由(メールでも何でもいいですが)で回答してくれたとします。50人全員に頑張ってリターンを送るか、ある基準(クオリティや抽選)で限定された人に対して送るかの2択の方法があり、両方ともに現状では課題を残します。

こんなにいっぱい送れないぜ

50人全員にリターンを送るのはコストがかかりますし、選抜方式では「貢献したのに(大小あれど)リターンがもらえない」人が出てくることです。

この問題はPodcastのスケールの問題にも直結します。リスナーが増えればふえるほどコストがかさむ、もしくはリターンを得る期待値が低くなってコミュニケーションが減ります。これは由々しき時代ですし、多くのPodcastが成長とともにこの問題を抱えるのではないでしょうか。羨ましい悩みです。

以上、「1. リスナーのアイデンティティが統一されずに残らない」「2. マスとインタラクティブなコミュニケーションが起きにくい報酬の形」の2つの問題を取り扱いました。

Podcastを愛しているみなさんはどのようにお考えでしょうか?他の問題もあると思いますが私としてこの2つに注目してみました。

さて、これを解決するために自分が欲しいなと思ったのが今回公開したAir-chainというサービスです。


ペンネームに紐づいたアカウントで、番組が用意したフォームから投稿することで全ての貢献が可視化されます。また、番組はその投稿に対して"認証"を送ることができます。

このサービスの使い方はシンプルで、

  1.  ペンネームでアカウントを作り、Podcastの運営者が用意したフォームに入力し、送信する。

  2.  Podcastの運営者は送られてきた投稿を見れる他、ブロックチェーンを使ってさまざまな“認証”を送ることができる。

となっています。この“認証”がポイントで、いろいろな形を用意できるようにしていきます。「ベストコメント」だけでなく「グッドコメント」や、「情報検閲者」「ゲストとして参加」などの認証を送ることができます。

この認証はリターンになるだけでなく、リスナーを管理するタグのようにも使えて、「ベストコメント」を3回以上獲った人にさらなるリターンを送ることなども柔軟にしていく未来があります。

リスナーも一つのペンネームで活動ができ、これまでもらった認証を確認できるのでリスナーとしてのアイデンティティを活用することができます。

このツールを活用していただくことで、リスナーのアイデンティティを形成していくことも、不特定多数にリターンを送ってリスナーマネジメントをしていき関係性を深めていけることを願っています。

現在はβ版(テストネット)で公開していますので、ぜひ使ってみてください。Podcastの世界がより良くなることを願って。どうぞよろしくお願いします。

▼使い方はこちらから

▼使ってる技術について

▼Podcastでも話しています
Podcastでも話してみました。さっそくAir-chainのフォームを置いてみたので、ぜひ試してみてください。


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