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マイクル・コナリー(Michael Conneliy)の「トランク・ミュージック(Trunk Music)」を読む

新作とシリーズ初期の本を同時並行的に読破しカミさんが猛然と追い上げてきております。僕もお付き合いで再読してきましたが、初期の作品の内容をほぼ完全に忘れていて、まるで初めて読むかのようでとても面白い。この際なので行ける限り再読して行ってみようと思っております。

コナリーの本は1992年の「ナイトホークス」から最新作の「警告」まで34作が訳出されています。こちらのサイトは2003年に開設しており、「暗く聖なる夜」から紹介を始めています。途中読み飛ばしていたことがわかり、「夜より暗き闇」を追加したりしているけども。そして今回、「ナイトーホークス」から始めて今回「トランクミュージック」まで28冊。そしたらなんと「ブラックハート」を飛ばしてしまいました。タイトルがなー。紛らわしいんだよなー。

昔読んであんまり面白くないみたいな反応していた本を再読したらすごく面白かった・・・。多分僕のリテラシーの問題なんだろうと思う。であればこそ、今この時期に初期・中期の本を再読しコナリーの本を全部揃えるというのは悪いアイディアではないだろう。ちょっと頑張ってみましょうかね。

さてこの「トランクミュージック」は第6作。1997年の作品。マルホランド・ドライブを上った先の空き地はハリウッド・ボールを見下ろす断崖絶壁の上だった。当日LA交響楽団がレイバーデイ・ウィークエンド公演の演奏真っただ中。遠くから交響曲が聞こえるその空き地に一台のロールスロイスが止められていた。付近を警邏中のパトロール警官が不審な駐車車両を発見。匂いから死体があることに気づきトランクをこじ開けて男の死体を発見したのだった。頭部に22口径の銃弾が二発。ギャングの処刑の手口だった。男はハリウッドで映画製作会社を経営する男だった。アントニー・N・アリーソ、イタリア系の男だった。当日ラスヴェガスから飛行機でロスへ戻ってきたらしい。札入れには大金が入っており、高価な腕時計もそのままだった。しかし、荷物はなにもない。


この辺じゃないかと思うのだがどうだろうか

ボッシュは「ラストコヨーテ」の一件の後、強制ストレス休暇の後に降格され、盗犯課へ異動となったが、殺人事件の解決率が過去最低にまで下がり殺人課へ呼び戻されていた。キズミン・ライダーとジェリー・エドガーの三人のチームを組み三級刑事であるボッシュがリーダーだった。
事件を取り上げられるのが嫌なボッシュだが渋々組織犯罪捜査課(OCID)に照会をかけると、そんな男は知らない、事件にも興味がないと意外な回答を得る。ボッシュの手に事件は留まり三人で事件捜査を猛然と進めていく。

アリーソが住んでいた高級団地には残された妻ヴェロニカがいた。夫の死を伝えに向かうボッシュ。ヴェロニカは元映画女優で、といっても出演したのは一本だけで、その監督が夫であった。映画製作にはあまり才能がなかったが、若手の脚本などを投機的に買い取る商売には長けており、最近はもっぱらそんな取引で金を稼いでいたらしい。そして頻繁にラスヴェガスに通い賭けをしていた。夫は仕事で用事があって行っていると説明していたが彼女はまったく信用していない様子であった。

ボッシュらがアリーソの仕事をさらに調べていくと彼は制作費用を架空にでっちあげてギャングの金を資金洗浄する仕事が本業であるらしいことを突き止める。そして最近国税庁がその仕事ぶりに疑いの目を向け監査実施の通知を受け取ったばかりであったことが判明する。

また、ハリウッドにある賃貸の事務所は何者かによって侵入されていた。監視カメラには侵入したと思われる男の姿がとらえられており、侵入したのはアリーソが死んだあとであることがわかった。事務所内は物色された様子はなく、この男は事務所内に仕掛けていた盗聴器を回収しに侵入したのではないかという。

ボッシュはアリーソの足取りを追うためにラスヴェガスに向かう。アリーソはポーカーを好んでしていた。彼が勝負している監視カメラの映像に、エレノア・ウィッシュが同じテーブルにいることに気づく。またやがてアリーソの皮のスポーツジャケットに残された指紋からラスヴェガスにいるギャング団の幹部クラスの人物が捜査線上に浮かんでくるのだった。しかし事件は思いがけない形で急展開を迎え、二転三転と予測できない方向へと突き進んでいく。しかし、これこんなに面白くて重要な出来事が起こるのだけど、全く完全に忘れている自分が恐ろしい。



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