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殴れなかった

空手の稽古に自由組手というのがある。
まあ、試合だと思っていただければいい。

当然、殴る(空手では突きという)、蹴るをやる。
でも、私は、これができなかった。

全然できなかったわけではなく、思いっきりはできなかった。
つまり、全力で相手を倒しにかかることができなかった。


突いても、蹴っても相手にあまりダメージを与えないようにしていた。


なぜって?
だって、思いっきり殴ったり、蹴ったりしたら、相手は痛いじゃない。
人に痛い目を合わせるなんてのは、申し訳ない。と思ってた。


入門して、1年ほど経った時、ふと気づいた。
ん? 相手の突きや蹴りが入っても、痛くない。

1年稽古をした結果、体がある程度できてきて、筋肉なんかも厚くなってきていた。それで、体がちょうど筋肉の鎧を着ているような状態になってきていた。また、痛みにも慣れてきていたのかも知れない。

で、思った。
自分が痛くないということは、相手も痛くないということだと。

それからは、組手の時は、心置きなく、思いっきり突いたり蹴ったりするようになった。

でも、相手は倒れてくれなかった。


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