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イタリアの空にかかるレッド・オーロラ


https://apod.nasa.gov/apod/ap231106.html

画面の左下の谷間を明るく光るのは、イタリアのコメリコ・スペリオレ(Comelico Superiore)の街の灯り。

その街から、右斜め上の山際から広がる空が赤く染まっている。

これは何か。
山火事? それとも、夕焼けか朝焼けか。
違う、なんと、オーロラレッド・オーロラなのだ。

北極圏に近い、北欧やアイスランドならまだしも、南欧に属するイタリアでオーロラ!

この写真は、11月5日に撮影されたようだが、この写真を撮った天文写真家も、初めての経験だという。

オーロラは、太陽からの荷電粒子が地球の大気と衝突し、それによって大気の原子が発光する姿だ。

太陽からは、常に太陽風と言って荷電粒子が噴き出していて、地球にも飛んできている。

しかし、地球には磁場があり、その磁場がバリアーとなってこの太陽からの荷電粒子は、地球の大気圏に侵入することができない。

だから、我々は(日本にいると)普段オーロラを見ることはない。

地球の前面(昼の部分)に太陽風が衝突することで、地磁気が大きく歪むことになる(磁気嵐)。この歪んだ磁力線に沿って太陽風は、地球の裏側(夜の部分)流れ、そこで蓄積されることになる。

この蓄積されて荷電粒子が、極地方のわずかに開いた磁力線の隙間から、地球に流れ込んでくる。
これがオーロラを引き起こすことになる。
だから、極地方でオーロラが見られる。

そして、太陽の爆発的な粒子の放出、が起きると、この大量の荷電粒子による地磁気の歪みが大きくなり、また、地球の夜側に蓄積される荷電粒子の量も大きくなる。

この時に大量に地球の大気圏に荷電粒子が突入するので、オオロラができる地域も南下し、オーロラを普段見られない地域でもオーロラが見えることになる。


https://www.isas.jaxa.jp/feature/forefront/161226.html

とまあ、大まかにいうと、こんな仕組みのようだ。

ちなみに、オーロラがイタリアで見えるのは、かなり稀なことだろうけど、全く初めてのことではないようだ。
なぜなら、そもそもオーロラという名前をつけたのが、あのガリレオだからだ。

名前をつけたくらいだから、たまたま1回だけ見たということではないだろうと思う。
そうだとすると、ガリレオの時代、磁気嵐が頻繁に起きていた、つまり、太陽表面の活動が活発だったことになる。

ところで、オーロラというと、緑色のカーテン状のものを思い浮かべると思う。
実際、よく見るオーロラは、緑色を主体として紫色が混じったような色が多い。

しかし、このオーロラは、山際から上の部分が赤単色に染まるようなものだ。

これは、オーロラの発生する高度の関係だ。
オーロラは、地表から80km〜500km程度の高度で発生する。

そして、発生する高度によって、発光する色が違う。
200km〜500km:  赤色(酸素の発光)
100km〜200km:  緑色  (酸素の発光)
80km〜100km: ピンク、紫色 (窒素の発光)

同じ酸素で、赤色と緑色の違いが出てくるのは、酸素原子の電子が励起(電子がより高い軌道に移ること)する時に必要なエネルギーと、励起状態から基底状態(より低い安定した軌道)に戻る時に、かかる時間の差による。

簡単にいうと、電子が高い軌道に移るときは、少ないエネルギーで移るが、元に戻る時(この時発光する。励起した時に得たエネルギーを放出)にかかる時間が長い。

だから、高度の高い酸素の密度が低いところで、発光するものは、赤色(エネルギーが小さい)になる。

イタリアで見えた赤いオーロラは、高度が高いところで発生したオーロラなのだ。
なぜなら、地球は丸いので、高度の高いところの光でないと、遠くまで届かない。

つまり、緑色の低いところで発生しているオーロラは、地平線の下にあって見えないからだ。

まあ、ちょっとわかりにくいかもしれないが、水平線に見える船は、まず、高い部分(マストや煙突)から、見え始めるのと同じだ。

この説明でも、わかりにくいかもしれないが。
要望があれば、詳しい記事を書きますが。









Red Aurora over Italy
Image Credit & Copyright: Giorgia Hofer

Explanation: What was that red glow on the horizon last night? Aurora. Our unusually active Sun produced a surface explosion a few days ago that sent out a burst of electrons, protons, and more massive charged nuclei. This coronal mass ejection (CME) triggered auroras here on Earth that are being reported unusually far south in Earth's northern hemisphere. For example, this was the first time that the astrophotographer captured aurora from her home country of Italy. Additionally, many images from these auroras appear quite red in color. In the featured image, the town of Comelico Superiore in the Italian Alps is visible in the foreground, with the central band of our Milky Way galaxy seen rising from the lower left. What draws the eye the most, though, is the bright red aurora on the far right. The featured image is a composite with the foreground and background images taken consecutively with the same camera and from the same location.

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