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大阪弁と絵本と読書

読み聞かせは子ども達との楽しい思い出です。子ども達の小学校でも週1回読み聞かせの時間を持たせていただき、本を通して地域の子ども達と関われてとても楽しかったです。
読み聞かせした絵本の中で、印象深いものに大阪弁で書かれた絵本があります。
・『どこいったん』、『ちがうねん』ジョン・グラッセン(作)・長谷川義史(訳)(あと、私は未読ですが『みつけてん』も出版されています。)
・『ええところ』くすのきしげのり(作)・ふるしょうようこ(絵)
・『おかあちゃんがつくったる』長谷川義史(作)
・『おこだでませんように』くすのきしげのり(作)・石井聖岳(絵)
ほかにもいろいろ探してきては子ども達に読み聞かせていましたが、これらは特に印象に残っています。
感動したり面白かったりと、素敵な作品が多かった影響で、自宅ではときおり標準語の絵本も大阪弁で読んだりしました。ただ、子ども達は普段は絵本の文字通りに読んで欲しがりました。もしかすると、子ども達のほうがそれぞれの絵本の作家さんの思いに敏感だったのかもしれないなと思ったりします。
本当に素敵な作品なので、大阪弁に興味のある方や絵本好きの方にぜひオススメしたいです。

さて、先日『戦争は女の顔をしていない』漫画版を読みました。漫画を読み慣れないためか、端折ってあるためか、淡々と出来事を表現したためか分からないですが、話の流れは私には少し理解しにくかったです。それでも、学びがあったり考えさせられたりしました。
気持ちが沈んでしまった結果、またしてもロマンス本を読んでしまいました。なぜかというと、アメリカのロマンスの決まりの一つに、Happily Ever After(略してHEA)があり、最後はハッピーエンドなので心配なく読めるのです。

テッサ・ベイリー(Tessa Bailey)著『It Heppened One Summer』は、まさしく気分を上げるにのにピッタリでした。
主人公のパイパーが最初は深みがないキャラかと思いきや、実は思いやりがある愛らしい性格ですし、彼女が、特に前半で自分なりに良かれと思ってした行動によるハプニングは度を超して面白かったです。
それ以外のところでも全体的にコメディタッチで終始明るめのトーン。
吉〇新喜劇の映像が脳内をよぎることが度々ありました。
たとえば、パイパーがある事情から3ヶ月間住むことになった場所に、悪天候の中、到着した場面。場所の1階は地元の男たちの集まるバーになっていたのですが、パイパーの後をスーツケースを運びながらついてきた妹ハンナに、

”Sorry, Hanns.” She winced. ”I’ll go get the rest ---"
"I'll get them," at least nine men said at once, tripping over themselves to reach the door.
「ごめんね、ハンナ。」彼女は申し訳なさそうな表情をした。「あとは私が取ってく…。」
「俺が取ってくるよ。」少なくとも9人の男達が一斉に言い、躓き転がるようにドアに向かった。

まさしく吉〇新喜劇的状況だと思いませんか?
最初に大阪弁の絵本について書いたので、この状況を大阪弁に訳すと

「ハンナ、ごめんやで。」彼女は申し訳なさそうな表情をした。「あとはうちが取ってく…。」
「俺が取って来たるわ。」少なくとも9人の男達が一斉に言い、躓き転がるようにドアに向かった。

みたいな感じでしょうか。大阪弁はセリフのところだけになってしまいましたが。

ところで、この作品の中では「イケメン」とか「美しい」といった一般的に外見を表現する言葉は、使われていなかったように思います。その代わりに、前述のような状況描写によって表現していました。
また、主人公達とほかの登場人物の関わり方を描くことにより、主人公達をとても魅力的に表現していました。
なので、余計に主人公達の内面的な魅力がフォーカスされたように思います。ところどころのsmuttyなシーンに抵抗のない方には楽しめる本だと思います。

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