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漫画の世界に助けられて

会社員時代に、会社だけじゃなくて家の中でも、いろんなことがあって心が潰れそうになるのを必死に耐えていた頃があって、それを3年くらい耐えた後、ふっと漫画を読み始めました。少し楽になってから読み始めました。

本当に辛いときは何とかして耐えられるみたいで、「よく平気だね?」って平気じゃないのに言われました。いくら味方の位置にいるようでも「よく平気だね」って言う人に心の底から「平気じゃないです」って言えません。目を瞑り鼻を塞いで駆け抜けるような勢いしかないです。漫画の存在にも気づきませんでした。

だから、環境が変わっていき、少し楽になった頃。もう大丈夫かもしれないけれど、何かこう根元をやられたなっていう疲れがあって、いつものように耐えたり逃げたりどうしてもできなかったから、今まで経験したことのないことをいっぱい浴びてしまっていて、クタクタでした。

だから最初は逃避だと思っていました。漫画の世界に逃げ込んでるなぁと思っていました。

それまではゲームもしない、というか学生時代にあったのかな?ゲーム、知らないのです。漫画を読んだのは高校2年生くらいで終わっていて、受験の後は怒涛のアルバイト生活と仕事生活で、気づいたら30歳を軽く超えていました。

もう二度と会えないと思うほどの美形男子が「いま漫画よんでた」と呟くのを聞いて、スッと気持ちが引いたのを覚えているくらい、私にとって漫画は重要なものではありませんでした。どんなにそれがワンピースでも。そもそも存在を知らないと、あれもこれも一括りで「漫画」なのです。

ところが、あんなに本を読んでいたのに、全く字を読まない書かないと思えるような期間が5年以上続いて、それから急に漫画を読み始めて、一ヶ月、半年と時間が経つにつれて、その量が普通じゃなくなった頃に、ようやく気がつきました。これはリハビリだと。絵を見る、文字を追う、文字を読む、文字を書く。今ここです。

今日は、本棚を立て直そうと思っています。一度全部を解体し必要な分だけキッチンで使って、梅が入っている瓶がズラズラ並ぶ置き場所になってしまった本棚を、本棚に戻そうと思っています。本が増えてきたのです。ちょっと難しい本も、全くこれまで触れてこなかった分野の本も、床や机やいろんなところに転がり始めました。

漫画ってすごいなと思いました。

あの呆然とした表情筋がなくなっていく日々に、漫画様を、偏見とか罪悪感とかで手に取らなかったら、再び、こうやって文字で語ることはなかったでしょう。

どんな漫画を読んでいたかを作品名というよりも、カテゴリーで手をつけた順に並べてみると、

人気ランキング上位に上がってたもの
→評価が高いもの
→獣系もふもふファンタジー
→TL
→BL

千冊単位/1年、読んだと思います。無事にBLまで行き着き「腐女子」にもなりました。「推し」の意味も肌感覚でわかります。

韓流ドラマにハマる人の気持ちが初めて分かったのは、BLをごっそり読んだ後です。もともと、過激爆発アクション・スプラッター・ホラー・極悪非道系は映画もドラマも小説も苦手なので、それらが絡むとジャンルに関わらず漫画だからといって読めるわけではないです。衝撃が傷のように跡に残ってヤヤコシイ。「家」が取り巻く男女によくある出産を伴うような事情を省いた関係性は、逆に「純愛」に近くなる場合があったのか!というコペルニクス的転回に堕ちました。泣かせてくれます。

最初は絵の好みもなく、ストーリー展開も漫画は独特なので、馴染むだけでめいいっぱい。しだいに、絵の好みが抽出され、ある程度のストーリー性がないものは、どんなものも興味を失いました。良いとか悪いとか、優れているとかそういう基準じゃなくて、単純に眠くなりました。そういう漫画の好みがはっきりするのに、ずいぶん時間がかかりました。それも面白かったなと思ってます。昔の漫画と今の漫画を比較したりで、楽しんでいます。

姉から、姪のために

「古事記」と「日本書紀」、どっちがいいかな?

という質問があったので、即答で。

漫画がいいんじゃない?
同時に2つがいいよ
サクッと比較が大事だから

と答えました。

絵が描けて、かつ、あのコマ割りっていう技が本当に素晴らしいです。言葉で説明するより、頭にストンストンと入ってくるんですものね。


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