PMマネージャーとしてPMメンバーに何を期待しているか

この記事はプロダクトマネージャー Advent Calendar 2022 15日目の記事です。

プロダクトマネージャーカンファレンス 2022のキーノートセッションで、Niantic CPOの河合さんが「PMに求められる力は何か?」という問いに「会社のフェーズとか担当しているプロダクトの規模感で求められる力はあまり変わらないと思っていて、その人に何かを任せた時に自分が夜寝られるか?それだけ。その単位が小さいフィーチャー1つなのか、プロダクト1つなのか、プロダクト群なのか、会社1つなのかで、PMは段々と評価をされていく」といったことを答えていました。まさにそれ!と思いました。

現在僕は所属するChatworkで12名所属するプロダクトマネジメント部のマネージャーを担っていて、採用やカジュアル面談でも「PMとして何かできれば良いですか?」「どういう期待がありますか?」といった質問を投げかけられることもあり、やはりこの辺りで悩んでいるPMの方も多いのかなと思っています。
ということで、本稿は「PMマネージャーとしてPMメンバーにどういう期待を持っているか」という視点でまとめてみたいと思います。PMマネージャーのいち意見として、興味あればご一読ください。

PMの持つべきスキルとは

PMスキルに関してはPMの役割や育成評価についてセッションやまとめられた資料も色々とみられるようになってきました。下記のRettyの野口さんやエンジャパンの岡田さんの資料など、実践に基づいた知見の共有がされていて素晴らしく、自身がPM組織を考える中でも参考にさせてもらっています。

PMマネージャーとしてPMメンバーに何を期待しているか

上記で示されているようなPMのスキルは確かに重要です。当然高いに越したことはありません。ジュニアPMであれば、まずは基礎スキルとして獲得・向上を目的として能力評価するのも良さそうです。
ただ、独り立ちしたPMであれば、高いテクニカルスキルの追求が成果に結びつくとはいえず、実績を示すことのほうが重要になるはずです。
では、どう考えればよいのか?

個人的にはPMは極論、プロダクト開発における「WHY(なぜ作るのか)」「WHAT(何を作るのか)」「WHEN(いつ作るのか)」に説明責任を持ち、実践でその施策の仮説(価値)について、なるべく多くの関係者から理解を得られる状況を作ることができていれば良いと考えています。
理解はビジネスサイドであれば基本アウトカム、作る側の関係者はさらにプロダクトや施策への共感や納得感も含まれるかもしれません。

「WHY」「WHAT」「WHEN」の説明は、期待するアウトカム(成果)を示す力とも言い替えることができます。スキルは他者に補ってもらうこともできるので、総合力の高めることが必ずしもPMの評価になるとは言えません。
自分の中の基準として「PMとして事業で継続的にインパクトを与える力を持っているか」はひとつの重要な軸と捉えています。
施策を主導しているのであれば、「WHY」「WHAT」「WHEN」の説明は、ほぼそのまま自己評価の成果としても使えるはずです。成果がポジティブであればマネージャーとしても最高。失敗はネガティブなアウトカムと捉えられるかもしれないですが、個人的には自身の関わる組織は、これをチャレンジや学習として評価できるようにしたいと思っています。

ちなみにインパクトについて説明する際、下記2つを読むことをよく薦めています。

この観点でのPMの力量は、機能 - テーマ領域 - プロダクト - プロダクト群 と、対応を任せられる範囲や規模で一定判断することができます。プレイヤー(Indivisual Contributer)であれば、機能レベルからプロダクト横断まで意思決定やアウトカムの責任が担えること、マネージャーであれば、自身や更に広いスコープで領域の責任が持てるよう組織力を担保しスケールしていくこと(サポート・評価・育成・採用)が重要な責務です。

どちらも冒頭での河合さんの「マネージャーとして責任を任せて安心して夜寝ることができるか」という話に繋がります。(正直これはPMだけではなく事業における全てのマネジメントの役割で言えることかもしれません)

WHYやWHATを示すとはどういうことか

この点で一番強いのは、背景・アウトカムともに論理的かつ的確な定量価値を示して説明する力を持っていることです。
基本的に、プロダクト施策でビジネス指標へのインパクトを証明し続けることができるPMは、組織での評価や信頼はどんどん大きくなっていくはずです。(ならない場合は少し考えたほうがよいかもしれません…)
この話をすると「結局顧客よりビジネスの成長が重要ですか?」とか「数字では表せないけどUX改善とかも大事ですよね?」みたいに言われることがあるのですが、それは違います。

PMが論理的かつ的確な定量を踏まえて説明でき、その信頼を得られていれば、定量的に価値を示せない話でも「定量的に示せるはずの人が重要であることをだと捉えている」という認識をしてもらえます。
「数値には紐付かないが中期で大事なことなので今リソースを当てるべき」「改善価値を定量では示せないけど絶対やるべきUX/UI改善」といった方針を軽んじないようにするためにも重要なことです。

施策において定量分析できるものは、できる限りやる意識は持っておくと良いと思います。客観的に成功・失敗を判断するためには最も役立ちます。
プロダクトマネージャーカンファレンス 2022の別のセッションで、LinkedInの曽根原さんが「Fail Fast は組織として失敗から学びを活かせる状態でなければ気をつける必要がある。Fail Smartとして新しい失敗を続けて学ぶことが大事」と言っていましたが、まさに振り返って何が新しいチャレンジかを判断するためにも定量視点は重要です。

最後に

本稿での「PMマネージャーとしてPMメンバーに何を期待しているか」という問いに対する自分の答えは、

  • 少なくとも自身が役割として担っている領域で、プロダクト開発におけるWHY(なぜ作るのか)、WHAT(何を作るのか)、WHEN(いつ作るのか) に説明責任を持つこと

  • なるべく多くの関係者から施策の価値・仮説に理解を得られる状況を作れるようになること

と言えそうです。その先に成果が付いてくれば最高。
失敗でも組織がそこから学べる状態になっていれば、無駄なトライや試行錯誤は減るので、その後の施策の成功確率の向上に寄与するはずです。
"なるべく多くの関係者" という部分も重要で、全ての関係者の納得を得ることや合議が大事ということではありません。PMとして前提を拾っておく必要はありますが、ほとんどは不確実性の高い意思決定なので最後は詰めたWHYと自身の信念に頼りましょう。

PMの皆さまにはぜひこの辺りも意識しつつ、事業成長と新たなプロダクトの価値創造を示して、よりよいキャリアを積んでいってもらえると良いなぁと思います。

お読みいただき、ありがとうございました。


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