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メルカリ山田進太郎が語る現在・過去・未来〜グローバルへの挑戦 -BDASH CAMP2023 レポート-


Chapter 1  :起業家 山田進太郎のはじまり

時は遡ること1999年、山田氏はアルバイトをしながら自らのキャリアを模索していた。楽天から内定を得ていたものの、彼は別の道を選択する。インターネットのトレンドを感じ、それに遅れを取りたくないと考えたからだ。フリーランスという新たな道を選択し、自分の知識や経験に乏しい状況にもかかわらず新規事業を開始した。

わずか1年で山田氏は1000万円の資金を作り、2006年にはアメリカへ旅立った。アメリカで飲食店経営者と出会いビジネスのアイディアを模索する。この頃、彼は「映画生活」というウェブサイトを運営しており、100万人のPVを獲得。ローカルなコミュニティで行う飲食店経営とのコントラストは鮮明だった。その経験を通じてインターネットビジネスの可能性の確信に至ったのである。

Chapter2:ウノウ創業からシリコンバレーのZyngaへの売却

2005年、27歳の時に山田氏は「ウノウ」を創業。ウェブ制作の受託や「映画生活」の運用を続けていた。「ウノウ」は期待したような利益をあげることはできなかったが、そこに集まった同じ志を持つ仲間たちと共に新しい事業に挑戦する貴重な体験を得た。その中で、出会った國光宏尚氏とは特に深い絆を築き、共に行動するようになる。

そして、2009年、モバイルゲーム業界へ参入する。これは業界的に見ても、かなり早いタイミングでの挑戦だった。その後、わずか1年で、Zynga(ジンガ)というシリコンバレーを代表するゲーム会社に「ウノウ」を売却し、マージすることとなった。

Chapter3:新天地への旅立ちとそこで見た光景

 シリコンバレーのスタートアップ界ではFacebookかZyngaかと言われていた時代に達成したZynga との統合。インターネット業界で最大級のM&Aと注目もされた。自身もZyngaの中で、グローバル市場への挑戦を続けた。しかし、自分のゲームが採用されなくなるという不遇もあり、2012年に退職。新たな景色を求めて、世界一周の旅へと出発した。

1年後、旅から帰国した山田氏は、日本でガラケーからスマホへの移行が進んでいる光景を目の当たりにした。そして、新興国で個人がマーケットで物を売買している光景と重ね、スマホにフィットした CtoC ビジネスを作れるのではないかと思いついた。その頃、すでにフリルなどの競合も存在していたが、山田氏に迷いはなく、新たなステージでの挑戦が始まることになる。

Chapter4:メルカリの誕生とグローバル市場への再戦

その挑戦が生んだものが、現在のメルカリだ。インターネットを使ってCtoCビジネスを展開し、もちろんグローバル市場も見据えていた。メルカリは100名の社員を抱える企業へと成長した。山田氏は、日本での手応えをもとに、仲間を再編。日本の運営を任せて、グローバル市場に向かった。2017年、現地の John を迎えてアメリカ市場でのビジネスを加速させようとしていた。しかし、そこで待っていたのは予想外の困難だった。アメリカの市場はシリコンバレーのルールで動いており、それを理解し、適応することが求められたのである。

Chapter5:国内IPOとアメリカ市場へのアダプション

2018年にはメルカリは日本でIPOを果たした。この資金調達でアメリカ市場への進出をさらに推し進める計画だ。

それから数年、山田氏は現地の人々にプロダクトやマーケティングを任せることで、アメリカ市場への適応を図った。約200名の社員のほとんどが現地採用だ。そして、法律や免許制などの国ごとの違いにも対応するために、新たなシステムを構築し、デザインも変えた。

この改革を進行している最中、突如として新型コロナウイルスのパンデミックが訪れる。

売上は一時的に下降したが、緊急事態宣言の後には日本とアメリカともに成長を見せ、月間GMVが100Mを達成。この結果は当初の目標を超えるものだった。同時にまだ成長の余地があることも示していた。

例えば、アメリカでは、まだeBayが主要なプレイヤーとして存在しているため、メルカリにも更なるマーケットシェアの拡大の可能性がある。

山田氏はこれからの戦略について言及しながらも、具体的な内容については明かさなかったが、新たなテクノロジーと戦略を駆使し、メルカリの掲げる「Go Bold」を目指して挑戦し続けることを強調した。

Chapter6:打席に立ち続ける先に見えてくる景色

「やってみないと分からないことがたくさんある。だから一緒にやろう」。山田氏は最後にグローバルに挑戦する人々へ向けて、こう締めくくった。

自身も、ここまでの経験を振り返って、「打席に立ち続けて、CtoCのビジネスをグローバル市場でやりたいということが分かった」と語った。

彼の目標は明確だ。「まずUSを1兆円規模にする」というこの言葉は、メルカリの更なる成長とその彼自身の揺るぎない信念を示している。

編集後記 

動画撮影担当で参加し、撮影のため、数々のセッションを後ろ髪を引かれる思いで立ち去った。ただ、山田氏のセッションはどうしても聞きたかった。メルカリのスタートアップの物語からは、打席に立ち続ける、トレンドを捉える、市場と対話する、自分が何をしたいのかを知る、グローバル市場とローカライゼーションの重要性など、事業領域を超えて大切なエッセンスを教えてくれる。この貴重な体験を少しでも多くの方にお伝えしたく、ここに残します。

2023/5/29
Skyland Ventures よんくろう  

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