山岳部で得たこと

高校のときの部活は山岳部でした。
中学までは野球をしてましたが、高校に入ってまでやるつもりはさらさらなく、当時からスキーが好きだったので、冬にスキーができるということで山岳部に入りました。

もっとも、通常のゲレンデスキーとは違うスキーで、山岳部でのスキーは通常のスキー板の面に専用のシールを貼って上り坂でも滑らないようにしたものです。それでゲレンデではない原野・山中を進むわけですが、それはそれで楽しかった思い出です。

ちょうど今の時期、春休みの尾瀬ヶ原を進んでいって、大雪原の中ラグビーをしたとか。真冬の福島の安達太良山麓で雪洞を掘って泊まって調子に乗って指を凍傷しかけたとか。

それ以外にも、思い起こせば、初めての夏合宿で福島/山形の飯豊連峰に行った際に、夜空にこれでもかというぐらい星が出ていてびっくりしたことや、その夏合宿で計算してみたら1日1kgのペースで痩せていたとか、まあいろいろあります。(手っ取り早く痩せたければ完全自炊で山を縦走すればいい、と今でも思います。)

そんな数ある思い出のなか、今回は、歩荷(ぼっか)について語ります。

山岳部では山小屋に泊まるとかいう柔なことはせずに、食料・テント・寝袋全てを持っていくことになります。夏合宿は5日間あったので、持っていく荷物は相応な重量になります。

そのため、事前にトレーニングが欠かせないわけですが、それに最も効果的なものが歩荷(ぼっか)です。

これは、ザックに重い荷物を積んで山を登るというものです。100Lサイズのザックに25kg以上の荷物を背負って日帰りします。

荷物は頂上で中身を捨てられる水入りペットボトルが推奨されるのですが、同級生はダンベルをもってきて、途中へばって、上級生に荷物を持ってもらい減らしてもらおうというときに「おめーなんでダンベルをもってきてるんだよ」と言われてました。ダンベル平気っしょ、と思って結果へばる。青春ですね。

4月に入学して6月か7月の1日がこの歩荷の日でした。1年生のときは東京、奥多摩の川乗山に登った記憶があります。

まあ、きつかった。それまで25kgの重さ荷物を背負ってしかも山道を歩いたことなんてありません。とにかく重くてキツイ。山を歩いているときはだいたい1時間に一度くらい休憩(ピッチといいます)をするのですが、それが待ち遠しくてしょうがない。

ようやく山頂について荷物のペットボトルの水を捨てた後の軽さといったらなく、しばらく肩に跡が残っていました。

ただ、この歩荷を経たことで、自分の中の身体的なスイッチが切り替わったというか、このときを境にともかくも体力のステージが数段上がった実感があります。

思うに、あるときに、自分に負荷をかけるべき時期というものが存在します。自分にとって体力的なそのときはまさに高校1年生の夏でした。

いま、宿泊を伴う山行には行けてるんでしょうか。

社会人になった今、いくら独立自営しているとはいえ一週間丸々どこかの山に籠るというのは難しいので、山岳部ではいまとなってはもう得難い経験をした、と思います。

おしまい。


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