![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/73748817/rectangle_large_type_2_d5e3191f1f7f795773934eb68f170b0f.jpg?width=800)
個人事業主と法人とで異なる減価償却資産の会計処理
普段は法人(会社)をしているので、基本的に年にこの時期だけ確定申告をしていると、個人事業主の処理であれどうだったっけな、と思うことがあります。とくに、固定資産関係はうっかりすると間違えます。
そこで、固定資産関連で個人事業主(所得税)と法人(法人税)とで異なってくる処理についてまとめました。
〇少額の減価償却資産(取得価額10万円未満)の取扱い
個人→必要経費(任意に減価償却資産とは出来ない)(所得税法施行令138条)
法人→損金経理した場合、損金算入(あえて減価償却資産として計上してもOK)(法人税法施行令133条)
なお、少額減価償却資産というと、青色申告の特例にある、30万円未満の減価償却資産を指しますが、ここでの少額”の”減価償却資産とは、見出しにあるように取得価額が10万円未満の減価償却資産のことです。ややこしいですね。
〇一括償却資産
以前、記事を書いたことがあります。
償却費につき
個人→取得価額×1/3 (12月開業でも1/3)
法人→取得価額×当期の月数/36(12月設立だと1/36)
〇圧縮記帳(国庫補助金等を受領して資産を取得した場合の扱い)
個人→原則、補助金等を総収入金額としない(圧縮記帳が原則)(所得税法42条1項)が、それを確定申告書上明らかにしないと適用とならない(同3項)ため、結局任意。
法人→任意(損金とした場合、損金)
自治体から補助金を受けて何かの資産を取得するのって、けっこうあると思いますが、そのとき、どのような会計処理をするかについてです。
(その1)
もらった補助金を雑収入として事業所得の計算上の収入として計上
一方で買った減価償却資産は通常の減価償却計算を行う。
(その2)
もらった補助金と買ったものの差額を減価償却資産の取得価額とする。
120万円でモノを買って、2/3の80万円が補助された場合、40万円を取得価額とする、というものです。
所得税の規定上、(その2)が原則かと思いきや、そうするためには別途表をつけなさいとあるので、結果どっちでもよくなります。法人はどちらでもよいです。
結果、この点、個人と法人とで差はないです。
〇固定資産売却時
個人→譲渡所得
法人→通常の損益計算
この、個人事業主が使用していた資産を売却した場合に譲渡所得になるという点は、ともすると間違えます。事業所得であればついつい、固定資産売却損益として事業所得の計算に含めがちです。
ふつうのサラリーマンが、「普通の」クルマを持っていてそれを売却した場合、リクツはともあれ所得税の計算対象外となります。
これが個人事業主である場合、業務で使用している以上は所得税の計算対象となります。これが事業で使っていたから事業所得、というわけではなく、譲渡だから譲渡所得として取り扱われます。
譲渡所得は、土地、建物(つまり不動産)および株式等の譲渡と、それ以外の譲渡で計算方法が違ってきます。さらにここから、原則5年以上その資産を所有していたか否かで計算方法が異なります。
ともかく、普段は法人の決算、仕訳をしていることから、ここは意識しないと事業所得の計算としてしまうので注意が必要なところです。
本日は以上です。ご覧いただきありがとうございました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?