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税理士公認会計士による2022年9月11日実施ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)学科試験受験 (たぶん)合格体験記

はじめに

昨日2022年9月11日実施のFP1級学科試験についてはその感想等を速報版として書いたところですが、一晩明けてまだ余韻の残る今日のうちに、合格間違いなしと言える状況であることから、誰よりも早く(少なくともnote上にはいなかった)、そして気の早い合格体験記をここに記しておきます。長くなりましたが。

なお、FP1級の試験は午前中に基礎編(マークシート方式4肢1択:50問)、午後に応用編(単語や数値や数式を書く記述式:大問5問×中問3問)それぞれ2時間半で行われます。

受験の動機

先の2022年5月に実施されたFP2級の試験を受けてまして

税理士公認会計士の視点的にどんなもんだったかという記事も書いております。

FP2級はそれほど勉強せずともちょこっとやった程度で合格できたので、その勢いに乗じ、であれば1級も受けよう!というのが直接的な受験の動機です。

このように、受験の動機は「余勢を駆って」というのが正直なところですが、付随的に、特に社会保険分野において仕事柄密接にかかわることから、なにか適当な勉強機会がないかと思っており、さりとて社会保険労務士(社労士)試験まで受けるとなると大変だし、と考えたところ、試験としてFP1級はちょうどよかったというのもあります。

FPの形態はちょっと複雑であり、簿記のように3級→2級→1級の試験を順次受けていくというものに限らないのですが、FP1級学科試験は純粋な筆記試験であり、受験料(と問題集代)さえ払えば受験可能というのも良いです。

あ、受かれば名刺に書けるな、とはちょっと思いました。

大前提としてFP試験は金融機関勤務者向けの試験である

FP(ファイナンシャルプランナー)というと、よく雑誌で家計診断している人というイメージがあります。通信費が多いから格安プランを検討しましょうとか、こどもが小学校に行くようになったら奥さんも働くことを検討しましょうとか、そういったことですね。

では試験においてもそういった暮らしに密接する問題ー例えば、日本において4年生私立大学(文系)にこどもが通う場合いくらかかるか、だとか、実技試験においてはライフプラン表をゼロベースで書いてみる、だとかーを出すのかと思いきや、別にそういったことはありません。

逆に、法人税法別表4(簡易版)などがフツーに出て来ますが、およそ上記のFPのイメージにはそぐわない問題です。

この点、小題の通り、FP1級は金融機関勤務者向け試験である と理解するのが肝要です。なので、銀行や生命保険会社に勤めている人が必要になりそうな知識を網羅的に問うわけです。類似業種比準価額などはほぼ必ず問われますが、出来る金融マンはその知識が不可欠なんでしょう。

そして、多くの金融機関が昇進要件(のひとつ)にしているっぽいので、受験者の過半数は金融機関勤務の人だと思います。

そのため、基本的に平日は仕事をしていて合間に勉強が出来たりできなかったりで、休日も独身ならまだしも家族がいればそれを放っておいてというわけにもいかず、という受験生が多いものと思慮します。

FP1級の合格率はおおむね10%前後ですが、受験層はそういったボリュームゾーンと思われることから、覚えた知識が定着せずにすぐ抜けて、なかなか合格せずに何回も受験している人が多数いる、という現状ではないかと推測します。受験者層がどうとか、試験実施機関が公表しないのでわかりませんが。

勉強時間

勉強期間

開業したてであるということと、もとより夏場は業界的にも余裕のある時期なので、勉強時間を確保すること自体はさほど難しくない環境でした。というか、正直ちょっとヒマだから勉強しよって感じでもありました。独学でいける試験ですし。

勉強を開始したのが5月末なので、期間としては3カ月強です。もちろんこの間ずっと勉強だけしていたわけではなく、平日はなにかしていて、6月はまだ土日も普段通り過ごしていて時間のある時にちょこちょこ問題集をやり、7月は土日のどちらかと三連休は過去問を解き、8月になると火がついてきて世間が夏(お盆)休み中もほぼ試験勉強をしているという感じでした。

青春18きっぷで遠出して電車内ひたすら問題集を解く、という勉強もしていました。というか、車中で勉強するという名目で小旅行に出かけたというのが正しいかもしれません。

洗濯もの干しや料理しているときとかに見る(聞く)Youtubeも直前期はFP1級向けのものが占めました。

勉強時間

勉強としてはTACの問題集1周半くらいと公式に手に入れられる過去問9回分、またTACの市販予想模試3回分、計12回分を行いました。

勉強時間について、会計士試験のときからとくに記録する習慣がないので何時間かけたか不明ですが

TACの問題集
基礎編全323問 1問5分として1回転するのに1,615分≒30時間
応用編全問29問 見直し含め1問0.5時間として1回転するのに約15時間
問題集は問題によって何回か解き直しているので+20時間
本試験過去問及び予想模試は5時間+見直し時間で10時間×12=120時間
さらに応用編はもう一回転しているので+20時間

他、自分であれやこれや調べものしたり、マイノートを作ったりの時間を含め、トータルで、ながら勉強は除いて結局250時間ぐらいは費やしたでしょうか。うち半分近くが本試験過去問及び模試ですね。

勉強方法

利用教材

先に記したように使った教材は
・『TACの問題集(合格トレーニングFP1級)』
・『2022年9月試験をあてる TAC直前予想模試 FP技能士1級』
以上ふたつは購入。
・Web上で公式に入手可能な過去問
(2019年5月実施以降2022年5月実施まで9回分)
・FP1級受験Youtuberの先駆者であるほんださんのYoutube
です。他適宜過去問サイトを活用し、さらには特に日本年金機構のWebを都度見に行くという感じです。
テキスト・教科書の類は買って(使って)いません。

過去問ベースにともかく問題を解く

TACの問題集自体が過去問ベースで出来ており、法令改正による改題こそあれオリジナルな問題はない(予想模試には少しある)ので、ベースとなるのはやっぱり過去問です。

FP1級もそうですが、この手のマークシート式試験対策の個人的な鉄則として
教科書を頭から読むのは愚の骨頂。とりあえず過去問をやってみる。
というのがあります。

まず問題を解いて見て分からなかったところを、その都度解説を読むなり、さらに調べるなりして理解していくという方式です。頭からテキストを読んでいくのは勉強方法としては悪手だと思っています。何の印象も残らないです。

それよりは、「間違えた、なんでだろ」という経験を通じて覚えていくのが良いと思います。その結果テキストに戻るのはアリですが、FP1級であればテキストがなくても全然どうにかなります。過去問解説は充実した過去問サイトがあり、若干法令改正に未対応だったり説明がまだ不十分だというところがないではないですが、十分利用に値します。

最初のうちは応用編をある程度固める

まず応用編から手を付けるというのがFP1級試験の上での王道だと言われますが、確かにそうです。

特に始めたてだと応用編はまるでできない(といっても一応税理士なのでタックス分野と相続税分野と金融資産分野の一部は初見でも大体できる…はずなのにやっぱり初見だと間違える)状況ですが、応用編は計算パターンがほぼ固定化されているので、やればやるだけ得点の伸びを感じることが出来ます。

わたしも、FP1級を勉強したてのまずはじめに、直近の2022年5月の過去問に取り掛かり、基礎編はともかく応用編がまるでできなかった(難しい回ではあったものの)ため、まずはTACトレーニング問題集の応用編からやっていきました。そして、計算パターンをだいたい把握しました。用語穴埋めはとりあえず後回しでも良いです。

基礎編は選択問題なのでともすると沼に嵌まる

応用編の目途がある程度ついたら、基礎編に移ります。ここで過去問をしつつ問題集をやっていくわけですが、ここは下手をすると沼に嵌まります。つまり、問題集をやりこんでいくとこの選択肢は正解or不正解、というのが分かってくるのですが、文章だけを見ての条件反射的なものとなっていくことで思考を放棄しがちになる、という点です。

試験なので相当程度の暗記なり選択肢パターン習得というのは必要にはなってきて、それだけでも合格点に達するのは可能ではあるとは思います。ですが、殊に近年の試験ではFPに限らず宅建といったものにもみられる傾向のようですが、その文章パターン条件反射から離れた出題がされてきており、いつか限界が来ます。

このあたり、社労士試験の一般教養問題(労一、社一)にも通じるところがありますが、ちょっと試験から離れて身近な話題、例えば日経新聞のその手の記事を読んでおくとか、それこそ家に入ってくる○○共済募集チラシに目をやるとかに視野を広げておくことが、後々試験でも役立ってきます。
自分、そういうのやっとけばな・・・

わからないところは実際にやってみたり、徹底的に調べる

また、今回の9月本試験を受けて、金融分野は実際に経験をするのが手っ取り早いと感じました。先物や現物、あるいは投資信託の購入を実際取引するわけです。「習うより慣れよ」で、今回の金融分野の問題のうち半分は理解できたのではないかと思います。わたしは事情によりしておりませんが。

さらに、今回は、個人的に年金制度の配偶者関係のところの理解がどうにも出来ていなかったのでその制度的背景を調べ、note記事にもしましたが、それは数点の加算に結び付きました。

これはそこらのテキストにはそう書いていないところのようで、自分の理解の助けとなるところ大でした。

制度的にこうなってる問題は最後の最後にまとめる

リクツなしに決まっている制度というのがあります。まあ、良く調べれば理屈っぽいのもあるのかもしれませんが、ビジネス用語でいえば「キメ」の問題であり、そういったものは覚えるほかないものです。応用編の穴埋めとして良く問われるもので、今回の問題でいえば国民年金の届出期限(14日)とか、ですね。

そういう覚えるほかないものについては、あるものはテーマ別に「相続後の期限まとめ」とかにして直前一週間になってから自分なりにまとめて、手許メモにしてました。そして試験会場にはその手許メモしか持っていかなかったです。

TAC予想模試(あてる)は結果的にビミョーではあった

公認会計士試験の経験上、TACはちょっとクセのある出題をして模試はあえて難しくしているという印象なのですが、FP1級の市販模試(『2022年9月試験をあてるTAC直前予想模試FP技能士1級』)だと基礎編で多少初見の問題を出す程度で、エグさはなかったです。

「あてる」と銘打っていたものの、実際あたった、あるいはTAC模試をやっていたからこそ解けた、という問題は…あったかな…という印象です。

この手のものって、この予想模試で初めて見たものがドンピシャで出たー、というのでないと、ありがたみってそんなにわかないものなんですよね。

市販されている模試形式の問題集はTACではなくきんざいにもあるようで、わたしは買いませんでしたが、模試だけであればそちらでもいいかもしれません。一方、TAC模試にある直前法改正情報などは有用でした。東証市場再編をちゃんと見てればなあ…

あ、あと、TACの解答用紙をA4で印刷するとマークがやたら大きくなって、模試を解く際もいちおう塗っていたのですが、本番のマークはそんなに大きくなかったです。

おわりに

以上、2022年9月FP1級試験において自己採点した結果基礎編7割強、応用編9割程度、合わせて8割程度を獲得した税理士会計士による、若干イキった記事でした。ベースが税理士会計士としてあるので、参考になるのかならないのかわかりませんが、記録の意味もありここに記します。

おしまい。

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