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ストーブ ~日経新聞 こころの玉手箱風エッセイ~

土日祝はエッセイ風の記事を投稿することにしまして、本日は年末年始に書き溜めておいた、日経新聞「明日への話題」風、19字×35行(紙面上だと縦書き)を意識した文量のテキストがあるので、それを放出します。

なお、タイトル画像は「ストーブ」で検索してきて出てきたよさげなものをお借りしました。(実際に家にあるものとは違います)

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暖房器具はエアコンよりも石油ストーブ派である。しかも、写真のように、上にヤカンを乗せられるタイプが良い。ヤカンに水を入れて乗せておくと、適度に水蒸気を供給してくれるので、乾燥した関東平野の北端に住む者にとっては、ありがたいのである。湿度があることで体感温度も上がる。

これがエアコンであれば部屋を暖める副作用として乾燥が進むので加湿器が必要になるだろう。薬を飲む際に胃が荒れるからその対策に別の薬が処方される、といったような具合である。シンプルな生活を志向するうえで、モノは少ない方が良い。

ストーブに火をつける際に、本来であれば点火スイッチがあるのでそれを押せば点火するはずなのだが、火元周辺の燃え芯がすでになくなってしまっていて、それが機能していない。そのため、点火はマッチを擦ることになる。

別にマッチでせずとも点火用ライターでいいわけなのだが、マッチを擦るというのが良いのである。ライターの火とマッチの火とで、科学的には同じものかもしれないが、マッチの火は何とも言えぬ味わいがある。そして、ライターを押すよりマッチを擦る方が、より原始的な感じがして、それも良い。

このストーブは普段、独立して、執務部屋とした部屋においている。3畳程度の部屋なので、暖まるには問題ない。だが、一日家にいるようになって気づいたが、石油の減りは結構早い。厳密に計算はしていないが、もしかしたらエアコンの方が、電気代と機器代を全てひっくるめてのコストが低い可能性はあるかもしれない。

ではあるが、冬が来て、物置からこのストーブをごそごそと出し、灯油を買ってきて、寒い中赤いポリタンクから給油するという一連の動作に、季節を感じるのである。
ときにはヤカンの代わりに芋を置いて、焼きあがったそれを食べることができるのも、また良い。

そんなわけで、今後ともずっとこのタイプの石油ストーブを使い続けるつもりである。ただ、やっぱり昼間ずっと点けていると燃料代がけっこうバカにならないので、適宜コワーキングスペースに避難したい。

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