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よんのばいすう4-28 2021.4.28

数字のムコウ

3度目の緊急事態宣言が出て、いまや東京都知事は「東京に来ないでください、東京からも出ないでください」とおっしゃいますけど、そんなことを言いながら、オリンピックの関係者は"別腹"なんでしょうか。IOCのバッハ会長はWelcomeなんでしょうか。そんな矛盾することを平気でおっしゃているから、ほら、東京も今日は925人の新規感染者を数えています。900人を超えたのは、今年1月28日以来初めてだそうです。おそらく、早晩1000人台に駆け上がることでしょう。残念ながら、関西も感染者が減る気配はなく、1260人。受け入れ病院がなく、救急車の中で丸1日半手当を受けるしかなかった方が何人もいらっしゃるそうです。ということは、日本はほぼインド並み。医療は完全に崩壊しています。これが医療先進国と思われていた日本の姿なのかと思うと、本当に恐ろしいです。

2020年4月28日。つまり、1年前、世界中で新型コロナウイルスの感染者は約304万人。亡くなった人は約20万人でした。それが、1年たって326.5万人にまで増えています。感染者数にいたっては、1億4819万人。ワクチン接種をすればバラ色などということはなく、むしろ右往左往する人間をあざ笑うようにウイルスは変異を繰り返し、いまや高齢者から若い人をもターゲットにしだしていますね。

シャッターが閉まり、「テナント募集」の張り紙を掲げたお店が軒並み続く繁華街を歩いていると、心が辛くなります。3回目の緊急事態がいつ収束するか、希望を見出すことは難しくて、ただただ数字に怯えるばかりです。

そういうガランとした街を歩いていてふと思いました。戦争ってこうだったんじゃないかと。市井の者たちは、たとえ自分の息子たちが戦争に駆り出されていこうとも、お国のお役に立つならと喜んで送り出し、自分たちはまだそれほどの実感もなく普通の生活を送っていました。大本営発表のデマを信じ、「贅沢は敵だ」「欲しがりません勝つまでは」とのスローガンを口にしながら、金属供出にも協力したのです。どんどん戦況は悪化し、いよいよ大空襲、そして原爆投下でおびただしい犠牲を出してからようやく、「終戦」という美名のもとに戦争を終わりにするしかありませんでした。始めてしまったら、こうなることは目に見えていたのに。しかも、首謀者は誰一人責任を取らぬまま。

呪われた東京オリンピックは、まさしく、戦争時と同じ精神構造で日本人をがんじがらめにしています。治療を受けられずに人々が命を落とし、仕事も失って路頭に迷っている人がこんなにも世界に溢れているのに、本当にオリンピックが世界の平和の祭典だとしたら、今はやるべきではないと、幼稚園の子でもわかる論理が通用しません。ワクチンの接種率が世界的に見てもビリッケツなのに、アスリートに検査とワクチンを優先しようという驚きの流れをしれっと作っている日本トップのやり方には、お人よしの日本人もさすがに黙ってはおれません。なのに日本のトップたちは、この期に及んでも「開催ありき」でただ突き進むだけです。あろうことかIOCが率先してその首謀者になり下がっているのですから、もう何をかいわんやです。音楽の父と同じ名前のバッハのバカが、スポーツを食い物にし、人間が誇るべき文化芸術を壊滅へと導いています。自分たちだけがよければそれでいいのか。あなた達がめざしたグローバリズムとはこういうことだったのか。

思えば「コロナ禍」の「禍」は、「戦禍」の「禍」と同じでした。

「とても簡単なことだ。ものごとはね、心で見なくてはよく見えない。いちばんたいせつなことは、目に見えない」とはサン=テグジュペリの『星の王子様』の一節です。目に見えない新型コロナウィルスに翻弄されている私たち。でも、本当に大切なことって何なのでしょう。命令や数字、言葉のまやかしに踊らされることなく、その裏に隠された真実を見極める冷静な目というものを、今こそ持っておかなければと思うのです。


 

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