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自叙伝「#車いすの暴れん坊」#26 ピア・カウンセリングとは

ピア・カウンセリングは1970年代初め、アメリカで始まった自立生活運動の中でスタートした。

自立生活運動は、障害を持つ当事者自身が自己決定権や自己選択権を育て合い、支え合って、隔離されることなく、平等に社会参加していくことを目指している。ピア・カウンセリングとは、自立生活運動における仲間(ピア)への基本姿勢のようなものだ。ピア・カウンセリングでは、お互いに平等な立場で話を聞き合い、きめ細かなサポートによって、地域での自立生活を実現する手助けをする。ピア・カウンセリングの役割には、大きくわけるとふたつの側面がある。

① 精神的サポート
「ありのままのあなたでいいよ」というメッセージ。お互いを尊重しあう。
・自己信頼を回復するためのサポート
・権利擁護、意識確立のサポート
・施設や親元から独立するためのサポート
・性やセクシャリティについての悩みに対するサポート
・その他対人関係等、自立生活全般に必要な精神的サポート

② 自立のための情報提供
・住宅探し、情報提供と改造等の相談
・所得保障に関する相談、情報提供
・仕事、職業に関する相談、情報提供
。介助に関するさまざまな情報提供
・余暇、旅行、レジャー情報提供
・その他、自立生活に関する全般的情報提供および相談

以上のような相談に応じる障害者を、ピア・カウンセラーと呼んでいる。自立支援センターおおいたが提唱するピア・カウンセラーは、単なるアドバイザーではない。当事者のことをもっともよく理解しているのは、その人自身であるという人間信頼、自己信頼にのっとった立場に立っている。平等に、対等に、力と時間を使い、自立生活の実現のサポートをしている。

自立生活プログラム

自立生活プログラム(ILP)とは、障害者が自立生活に必要な心構えや技術を学ぶ場、つまり障害者と健常者が共に生きる場をつくるために、まず「障害者自身が力をつけていく場」だ。

施設や在宅の閉鎖的な場所で暮らしてきた障害者が、社会の中で自立生活をしていくときに、先輩の障害者から生活技能を学ぶためにつくられた、障害者文化の伝達の場ともいえる。

生活技能とは、対人関係のつくり方、介助者との接し方、住宅、性について、健康管理、トラブルの処理方法、金銭管理、調理、危機管理、社会資源の使い方、などだ。

各プログラムの内容は対象者の目標によって決める。具体的には、「介助者との関係の築き方」や「制度の使いこなし方」、「指示を出して好きな料理をつくる」、「フィールドトリップ(外出プログラム)」など、自立生活に必要なあらゆることがプログラムとして提供される。

プログラムの形態は、個人プログラム、グループプログラムの2種類がある。また、3~5回程度の短期プログラムと、12~15回で3か月以上かかる長期プログラムとがある。参加対象者の生活経験や年齢、障害の種類などを考慮してさまざまな内容のものが企画される。ILPのリーダーは障害をもつ当事者が担当するので、安心して相談、質問ができる。


ピア・カウンセリングの力

農協リハにいた頃、重度の頸椎損傷の青年がいた。高校3年のときに、川での水難事故で頸椎損傷になった。

俺らは比較的、なんとか頑張れば自分で自分のことができるようになったが、彼はなかなか頑張っても自分で自分の身のまわりのことができるようにはならなかった。

車いすを少しこぐのがやっとだ。病院から施設に入ることもなく、家族のいる実家に帰っていった。まだ俺が重度センターにいたとき、彼を訪ねていって、外に出よう、一人暮らしを始めようと誘ったのだが、彼は頑なに外に出ようとはしなかった。


そんなある日、半ば強引に彼をピア・カウンセリングに誘ってみた。その中で自分 の思っていることを相手に吐き出すことによって、自分がどうしていきたいかという のを見つめ直すことができたのだろう。

それまでは介助はほとんど、家族の介助だっ たのだが、ピア・カウンセリングに参加し、自立生活プログラムを受けていくうちに、どんどん気持ちが前向きに変わっていき、どんどんと外に出て行くようになった。

そ して自立支援センターおおいたで働きながら、今度は自分がピア・カウンセリングや 自立生活プログラムを通して、他の障害者の自立支援の応援ができるようになってい った。彼の劇的な変化は、俺にピア・カウンセリングや自立生活プログラムの持って いる圧倒的な力を感じさせてくれた。

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ユニバーサル別府


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