見出し画像

自叙伝「#車いすの暴れん坊」#30 障害者の能力に応じた障害者雇用

日本の場合、障害者就労は0か100なのだ。

簡単に言うと、まず、寝たきりの人が就労するというのは、今の段階では限りなく0に近いだろう。

もちろん特殊な能力があって、ベッドの上で意思伝達装置などを駆使してパソコンを操作し、健常者でもできないような仕事をするという人もいないではない。

かのホーキング博士などは、そういう特殊な能力のある人と言えよう。彼は身体を動かすことはほとんどできないが、頭脳という武器で、誰もなし得ないような宇宙の謎に挑んでいる。

日本の就労の場合は、最低賃金が決められ、そして勤務時間も決められ、それに当てはまらないものは就労とは見なされない。

だからよく言われる作業所というのは、あくまでも福祉的就労と呼ばれ、一般就労とは一線を画しているわけだ。

1日に8時間、週に5日働こうが、一般就労でない以上、最低賃金をクリアする必要はなく、作業所の工賃の全国水準は5千円から1万5千円くらいだろう。

この0と100というのが問題で、例えば健常者の80%の作業能力がある人が就職をしたいと思っても、企業としては100%でないわけだから雇用するのを躊躇するわけだ。

だからそういう人は福祉工場や作業所でしか仕事をすることができない。この20%の差がすごく大きい。

これを例えば、ドイツの保護雇用制度のように、働ける分だけ働いて、働けない部分は保護雇用制度で、まあ言わば障害年金のような形で、年金で払うようにすればもっと就労のチャンスは広がると思う。

例えば、ざっくり言うと、生活保護が15万円くらいだと仮定する。この場合に障害年金の1級であれば、8万円程度の年金が出る。

つまり、あと7万円あれば最低限の生活が送れるわけだ。この7万円がないために療護施設や訓練施設から出られないという障害者も多い。

例えば企業が一般的な給料を15万円支払っているとする。その半分の仕事ができる人に7万円払いますよということができるようにすれば、健常者の50%しか仕事ができない人も年金と合わせることによって、15万円の収入を得ることができる。

15万円の健常者の収入に対して20%しか仕事ができない人は、3万円の収入を得る。そしてその代わりに、年金を12万円にする。

もちろん、生活保護と同じ年金であれば、就労意欲がわかないというのであれば、これを17万円と考えて計算してもいいと思う。

要は働ける分だけを会社から報酬としてもらえるようにする。そうすれば働く障害者も自分の能力にあった仕事量をこなせばいいし、企業も能力以上の報酬を払う必要はない。

法定雇用率というのがあって、一定の従業員がいる会社(従業員50人以上の会社)は、全従業員の2%の障害者を雇用しなければならない。

だから特例子会社を作って、無理やりそこに障害者を集めてみたり、100%の能力がなくても、企業イメージを壊すことを嫌って就労させる。

しかし働く障害者も自分がそれだけ稼いでいないことが分かっているので、やりがいがなくなったり、企業としても利益に繋がらない従業員を置いておくことでギクシャクしたりする。

日本でも保護雇用制度を導入して、仕事の能力に対する対価を払うような制度があってもよいと思う。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?