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FAS(FDD)で役立っている監査法人での経験

本note記載理由
「FDDを行うにあたっては、監査法人での経験が重要なのか」というご質問をいただいたことが理由です。


結論から言って、「FDDを行うにあたり監査経験は有用ではあるが必須ではない」という立場ですので、FAS(FDD)の業務を望まれるのであれば、監査法人を経由せずにFASに進まれていいのではないかと考えています。

ただ一方で、その意思決定で問題ないのか不安に思われる点もあるかもしれませんので、FAS(FDD)で役立っていると感じている監査法人での経験をまとめてみました。

普段はnoteを書いてから数日置いて見直して公開というステップを踏むのですが、スピード感をもって回答した方が良いかもしれないので、一旦公開します。構成や誤字脱字等は今後修正するかもしれません。


留意点
・監査法人では現場責任者までの経験しかありません。ですので、例えば監査法人でマネージャーまで経験された方とは異なる意見になると思います。

・現状、FASの中でも主にFDDを実施しています。FDDはFAS業務の中で最も監査との親和性が高いとされる業務ですので、監査法人での経験が活きやすいと思われます。

・必ずしも監査法人で「のみ」得られる経験ではありません。あくまで私の実体験として「こういう経験は役に立っているよ」というものですので、監査法人を不必要に持ち上げるつもりはありません。(逆に貶めるつもりもありません。)


自己紹介

・会計士(2021年に登録予定)
・監査法人で約3年勤務
・2021年にFASに転職

①思考法

監査の基本的な思考法として、ブレークダウン思考があります(普遍的な言葉ではなく、勝手に言っています)。

監査の目的は、財務諸表(F/S)の適正性に対して意見を表明することですが、F/Sのままでは単位が大きすぎて適正性を検証できません。そこで、検証可能なレベルにまでブレークダウンして監査手続を実施していくことになります。

例えば、販管費に対して証憑突合する場合には、テストが可能になる「仕訳単位」までブレークダウンして証憑突合を実施します(単体F/S→組替後TB→組替前TB→仕訳とブレークダウンしている。)。

この思考はFDDでも十分に生きていると思います。例えば売上分析は、事業別、地域別、店舗別、製品別などの選択肢がありますが、一つ一つの分析をどの階層で行うべきかを考える際に無意識にブレークダウン思考を実施することになります。

(例えば売上→事業別→店舗別→製品別というブレークダウンなのか、売上→事業別・店舗別→製品別というブレークダウンなのかでは得られる情報が異なる。あたりまえですが)

俯瞰的に会社の事業を眺め、留意点や、Val・モデル作成目的のためにどの点をどのように深堀して検証していくか、という思考法は、監査のトップダウン型のリスクアプローチに通ずる部分もあり、個人的には役立っている考え方だと思います。

※上記理由は一旦記載したはいいものの、私の中でうまく言語化できていないので、何か違和感があればご指摘ください(なんかピンときていません)。


②会社資料への理解

監査とFDDでは目的が異なるのでそもそもやっていることが異なりますが、それでも監査とFDDの親和性が高いと言われる理由はこの点かと思います。FDDで見る資料は監査で見る資料とほぼ一緒ですので、大量の資料に目を通すのも比較的早く実施できるのではないかと思います。


③会計処理への理解

FDDでは、対象会社の会計処理エラーを修正する調整を行います。その際、正しい会計処理を把握することが前提になりますが、これは監査法人で常日頃行っていることかと思いますので、直接的に活きる部分かと思います。

私自身は、直近まで監査法人に在籍していたということで社内ミーティングでも具体的な会計処理について聞かれることもありました。


④プロマネ経験

監査法人でインチャージを経験し一定のプロマネを経験していたことで、自分自身が一スタッフとして働く際に注意すべき点も学ぶことができました。

例えばどの順番でタスクに取り組むべきか、どのような内容をどの頻度でプロマネとコミュニケーションをとるべきか、などは監査法人の現場責任者での経験が活きていると考えています。

なお、FASでは一般的にプロマネをマネージャー以上が行うことが一般的(少なくとも弊社では)ですので、プロマネ経験を比較的早く積めるという点では監査法人に優位性があるのかもしれません(その実情はさておき)。


⑤Excelスキル

基本的なExcelスキルについては監査法人での経験がそのまま生きます。ただ、「基本的な」Excelスキルに限定しているのはFAS入社後にExcelスキルについてキャッチアップが必要だったためです。

Excelを使った分析方法、パワークエリ、パワーピボットについては、概要程度はさらっと押さえておくことをお勧めします。


⑥働き方

監査法人とFASでは、(時間軸の違いはあるものの)PJチームを組成して業務に当たるという点で共通していると思われます。

例えばFDDは、(案件にもよりますが)受注し、チームを組成してから約1か月後にはチームも解散という感じで動きます。(表現が適切じゃない気もしますが一旦無視してください。)

その中で上司やチームメンバーはそれぞれ業務の進め方やコミュニケーション方法が異なる方と、一緒にやっていくことになるので、見知った顔とばかり業務を遂行できないという点で、事業会社とは違った気遣いや配慮が必要(もしくはストレスを抱えること)になると思います。

個人的にはあまり馬が合わないなと思う方であっても、1か月間で一旦離れることができるのは楽だったりするのですが、それでもチームメンバーの性格や業務の進め方を、案件初期の数日間で認識しないといけないのは大変だなと思うときもあります。


⑦労働時間耐性

たぶん役立っています。


おわりに

FDDを実施するにあたって、監査経験は必ずしも必須ではありません。ただ監査経験がFDD業務に役立つことは確かだと思います。一方でFASに転職して苦労していることもありますので、そちらも今後まとめてみようかと思います。

なにかご不明点やご指摘がありましたら、質問箱や引用リツイート等でご連絡ください。では。

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