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【過去の挑戦】動画メディアの立ち上げと事業譲渡



先日、上記のリリースが出ました。


ミレニアル世代のための動画メディア「McGuffin(マクガフィン)」は、2017年にオプトの新規事業として誕生しました。


その立ち上げからグロースの約3年間、私はこの新規事業の責任者として仲間たちと様々な挑戦をしてきました。


今回の事業譲渡にも勿論、色々な想いが込み上げてきます。


そして、このタイミングが一つのターニングポイントになるので、これまでの挑戦やそこから得た経験について書いてみたいと思います。


この事業では大きく3つの挑戦がありした。


1.動画フォーマットの探究と拡大への挑戦


2.「ミレニアル世代×ライフスタイル」という狭いターゲットに深くバーティカルに届けるという挑戦


3.ミレニアル世代の当事者たちによる新規事業立ち上げ&グロースへの挑戦


それぞれの挑戦をどう評価するか?は自分たちでは難しいですが、過去を振り返り、できるだけ客観的に、手応えのあったポイントと、課題の残った反省すべきポイントを考察していきたいと思います。

これまでMcGuffinに関わってくれた仲間や、これからも関わっていただく方々、そして私自身のこれからの糧になればと思います。



<手応えのあったポイント>


※看板シリーズのMellow Down Easyは100万回を超える視聴回数を記録


①ハイクォリティな動画にこだわったこと

そもそも「ハイクォリティ」の定義は様々ですが、ここではターゲットとなるミレニアル世代が見て直感的にカッコいいと思えるクォリティを追求したことです。その結果、まずそれを評価してくれたのが音楽業界でした。音楽事務所やアーティストがこのクォリティに興味を持っていただき、McGuffinに積極的に出演していただくきっかけとなりました。


②「自分たちが見たいもの」にこだわったこと

この世代からすると当時、テレビはつまらない。ユーチューバーは自分たちより年下が楽しむもの。ということで、自分たちが見たい人や見たいジャンルの動画がなかった。じゃあそれを自分たちで作ろう!という形でスタートしました。なので、特にキャスティングにはこだわり、まったくルートもない方々にも無邪気にオファーし、返事がないことも多々ありましたが、その熱量に感じてご出演いただくというケースも少なくありませんでした。また、その感覚は同世代の視聴者の反応にモロに跳ね返り、「こんなの見たかった!」「これ無料で見れるの!?」という喜びの声を多数いただいたことは非常に印象的でした。


※「Tokyo Chill Out」はセンパイたちの仕事やこだわりについてフィーチャーし、ミレニアル世代に熱いメッセージを送るシリーズ。


③「心が動くか?」にこだわったこと

この挑戦は深くエンゲージすることが重要だったので、情報洪水・大量消費の時代においていかにミレニアル世代の心に深く刺すか?McGuffinの動画を見て「心が動くか?」にこだわりました。これはマーケティングとマネタイズにおいても非常に重要なポイントでもありました。彼らに大きな影響力を与える人たちによる、台本なしのリアル&フリートークにより視聴回数ももちろんですが、視聴回数に対する高評価やコメント数の割合が非常に高い(≒エンゲージメントの高い)動画を世に出すことができたと思います。「McGuffin」という言葉の意味は「きっかけ」や「トリガー」という意味でもあります。


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※McGuffin公開収録イベントの様子


④リアルイベントやライブ配信、テレビメディアやなど多面展開

深いエンゲージメントだけでなく、どうリーチを拡大していくか?という挑戦も積極的に行いました。中でもリアルイベントやライブ配信は編集部が一から試行錯誤の上に仕上げることで、そのノウハウを広告ビジネスにも活かすことが出来たと思います。まだこの頃は出始めだったTikTokでも積極的に動画を配信するなど多くの実験的なチャレンジで最新の知見を得ることができました。テレビメディアとの実験的な協業や雑誌、Webメディアとのコラボも積極的に行い、うまく話が進まなかったものも含めて大きな財産となりました。


一方で、諸手を挙げて「これは成功した!」と言えるか?自分に問いかけた時、色々とモヤモヤしたものが残ります。

そのモヤモヤしているもの、課題が残った反省ポイントをまとめました。


<課題が残った反省すべきポイント>


①自らをアップデートし続けることができなかった

最も大きなポイントはこれだと思います。中でもPMF(Product Market Fit)の「顧客は誰か?」「その課題は何か?」「解決すべき仕事は何か?」をアップデートし続けることができず、マネタイズの源泉である広告タイアップを継続的に受注し続けることができませんでした。

また、ミレニアル世代も徐々に大人になっていった時に、次に来るZ世代をどう捉えるか?や、SNSや動画に代表される大量のコンテンツ消費に対してMcGuffinとしてどういう差別化、立ち位置を築くのか?は常に模索しながら今に至っているというのが現状かと思います。


②コミットメントとフォーカスが甘かった

当時、McGuffin以外にも新規サービスをいくつか市場投入していたこともあり、私自身のMcGuffinに対するコミットメントやリソースのかけ方は(決して少なくはないですが)甘かったと思います。もちろん、元々の立て付けとして「ミレニアル世代の当事者たちによる新規事業立ち上げ&グロースへの挑戦」ということもテーマではありましたが、事業責任者としてもっと大きな絵を描くことや、マネタイズに直結する案件開拓、グロースを加速するための投資などまだまだできたことはあるのでは?と反省すべきことが多いです。


③広い視点、違う視点、深い視点が不足していた

一つの事業を立ち上げ、グロースさせる過程では様々な視点からその事業を捉えることも重要です。推進の当事者たちは無意識のうちに近視眼的になりがちですが、顧客視点やエンドユーザーの視点、経営の視点やマネタイズの視点、市場トレンドの視点やディテールにこだわる視点など色々な視点がそれぞれ不足していたと感じます。結果として、設定した課題や仮説がなかなかアップデートされず、PMFが進まないというサイクルに陥ってしまうことがあったと思います。


④リーチとエンゲージメントの葛藤

マーケティングやメディア、コンテンツといった界隈では永遠のテーマともいえる「リーチ(≒広さ)」と「エンゲージメント(≒深さ)」。時代の流れは確実にエンゲージメントになっていると感じますが、ビジネスの世界ではまだまだリーチがモノを言うのも事実です。これはビジネスモデルやその意思決定プロセスによっても変わってきますが、ことMcGuffinを取り巻く環境においては、なかなか「バーティカルなエンゲージメント」だけで戦っていけるほど甘い市場ではない、ということなのかもしれません。いかにリーチを広げていけるか、認知度を高めていけるかが今後の大きな課題といえます。


まだ僅か4年ほどの軌跡ではありますが、こういった挑戦の歴史がありました。最後にもう一つ大切なことがあるとすれば、

とにかく、継続すること。継続できたこと。

があります。

大抵の新規事業は限られたリソースと資金で運営されます。そして市場投入後も日々の変化に常に対応する必要があり、会社の方針や戦略に合わせながら走るという視点も大切です。この4年の間にもMcGuffin以外に多くの動画メディアが生まれては消えていきました。私自身は2019年後半からはMcGuffinの運営から離れましたが、編集部メンバーを中心に運営を継続し、今回も事業クローズではなく譲渡という形でバトンを渡すことができたのは一つの大きな成果と言えるのではないでしょうか。


立ち上げから初期のグロースを一緒にやってきた仲間たち、事業譲渡という形でバトンを渡すべく奔走してくれた方々、これまでMcGuffinに関わっていただいた出演者やスタッフ、クライアントのみなさま、そしてこれからバトンを託し新しい形に発展していただくスマートメディアの皆さまに改めて感謝申し上げます。


これからもこのMcGuffinを「きっかけ」に、皆さんがそれぞれまた違う挑戦をして、飛躍していくことを願っています!



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