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75.匂いへの順応

ヒジュラ暦1441.4.23 (2019.12.20)

ひと月に数回、緑色のサラダを"わしわし”と食べたくなる。日本だと、だいたい水菜を買ってきて、お豆腐やツナ缶といっしょにひたすら食べる。これで、私の草食動物パートが落ち着きを取り戻す。

リヤドにいると、買い物に行く回数が少ないのもあって、新鮮な葉物野菜がが見つけられないことがある。あっても、独り身には量が多かったり、輸入物で高かったりと、不都合なことが多い。

そういう事情もあり、レストランに行く機会があればできるだけサラダを食べたいし、付け合わせの野菜なんかも積極的に食べている。こちらでよく出てくるサラダの一つに「タッブーレ」と呼ばれるパセリのサラダがある。

だいたい、アラブ系の料理を食べる機会があれば、サラダとしてこの「タッブーレ」に出会う機会は多い。

私はリヤドに来るまで、人生でそれほど「パセリ」を食べてこなかった。日本だと、「パセリ」って飾り的位置づけだったような。なんなら食べずに残すものというイメージすらあったのだが、こちらではよく食べる。日本で見るものと形状が少し違って、“イタリアンパセリ”と分類されるもののようだ。

で、これが残念ながら、苦手だった。私の中ではパセリ、セロリなどは「くさい野菜」カテゴリーだったのだ。何で、こんなものをメインの前に食べなきゃいけないんだ。パセリの匂いでせっかくの料理が台無しだ。そんなことを思いながら、いやいや、食べていた


あれから、数年経って先週の我が家の台所で撮った写真。

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一週間分のパセリを仕込んでいる(笑)この量でスーパーで60円ほどだ。面倒なのは、葉と茎を分ける作業なのだが、キッチンバサミで雑に分けてとりあえず冷凍する。冷蔵保存でも1週間ぐらいもつ。

これを、朝はスムージーの中に入れ、夜はタッブーレ風サラダを自分で作る。

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最近は、毎日作るのが面倒なので、2日分作っている。ちなみにサラダを作る時は冷蔵保存のものを使っている。茎も葉もいっしょに食べるのだが、これが冒頭にあげた水菜のサラダの食感とよく似ている。

”わしわし”なのだ。これで、私は落ち着ける(笑)

確かに今もパセリの匂いはする。パセリを仕込むと台所がパセリ臭くなる。それでも、あんまり気にならないのだ。私はパセリの匂いに慣れた。

ここでの生活も丸4年になる。私は、リヤドの匂いに慣れ始めている。人の家や、ちょっとした時に必ず出てくるアラビックコーヒー。

これも最初に飲んだときは、よくこんな薬みたいなものを飲んでるなと内心、"とんでもないとこに来てしまった”と思っていたが、今では、家にインスタントのアラビックコーヒーを常備していて、食後に飲むようになってしまった。人の家でも、そこのアラビックコーヒーを飲むのが楽しみになっている。

もう一つは、男性の香水だ。実はこれは今でも、苦手な時もあるのだが、最近は、"あ、いい香りだな”と思うことが増えている。匂いをうまく伝えられないのが残念だが、学生にしろ先生にしろ、けっこう香りをまとっていて、まず、「強い」。私からするとつけ過ぎの感じ。香りの種類は当初私が思ったのは「おじさん」の香水というイメージだ。だから、嫌だった。"なんて香りのセンスがないんだ”と(笑)

それが今では、男子学生や男性教員の残り香を”いいなぁ、この香り”と思うようになってきている。自分でも信じられない。

異文化に来た時に五感の中で「匂い(嗅覚)」への順応は時間がかかる方ではないかと思っている。視覚、味覚、聴覚は1年もすれば慣れるのだが、嗅覚は慣れるまで時間がかかる。触覚は…よくわからない。

いつもより、ちょっとよい茶葉や甘味をいただくのに使わせていただきます。よいインプットのおかげで、よいアウトプットができるはずです!