68. 今は夏か冬か?
ヒジュラ暦1441.1.28 (2019.9.27)
学生に、サウジアラビアには季節がいくつあるのか聞いてみると
「2つです、夏と冬です」「今は夏です」
と返ってくる。私もそう思っていた。リヤドは気候区分でいうと「砂漠気候」に属する。Wikipediaにはこんなふうに書いてある。
年間を通して降水量が少なく、日本で言う春と秋に当たる季節がないに等しい。
もう10月になろうとしているが、日中はまだ40℃を超えている。まだエアコンも使っている。確かに夏だ。
だけど…私は最近、リヤドにも四季があると思うようになった。学生は「今は夏だ」と言ったが、私はこの9月下旬から1か月ぐらいリヤドの「秋」だと思うようになった。この時期をリヤドで過ごすのは4回目になるが、この時期はその前の数週間とは、いろいろ違うことがあるのだ。
私が、この時期を秋だと思う理由。
1 . 朝が30℃を下回る。
確かに、9月下旬でも日中は40℃を超えるのだが、朝は30℃を下回るのがこのくらいの時期だ。私は毎日7時に家を出るのだけど、真夏だとこの時間帯が30℃ぐらいで、快適に自転車通勤できる限界の気温だ。
それがこの時期になると、25℃を少し超えるぐらい。日本で考えると、25℃も30℃も暑そうに聞こえるかもしれないが、そこは砂漠気候のリヤド。湿度も低いので25℃だと、ぐっと快適、心地いいぐらいになる。朝、家のドアを出た瞬間の空気の感じ。これが秋なのだ。
2. ネコの寝方が変わる。
これも、気温の関係なのだが、私が住んでいる団地には多くのネコが住んでいるが、夏はこんな感じで寝ている。日陰でお腹を出して寝ている。
秋になると、時間帯にもよるけど、日なたでも寝るようになるのだ。これがもう少し寒くなると、より丸くなって寝るようになる。
3. フレッシュデーツが出回る
サウジアラビアはデーツの名産地として有名なのだけど、デーツと言えば普通は干したものでこういう茶色のやつ。
で、このデーツの干される前の生のものが、スーパーに行くと出回っている。それが、この時期なのだ。少し下が茶色いくらいのやつが、やわらかくておいしい。これは季節ものだと思うので、これを見ると、あ~生デーツの時期か~と思うようになった。
4. 蚊が出始める
これは、日本からすると意外かもしれない。蚊というと夏の風物詩というか、夏に元気なイメージなのだけど、リヤドにいると夏は蚊をあまり見ない。ウナコーワも使わない。夏は蚊も暑すぎて、活動できないのだろう。それが、朝が涼しくなるこの時期ぐらいになると、蚊が出てくるのだ。
生き物(人間以外という意味で)を見ていると、気候と正確にリンクしているのがわかる。リヤドにいると、植物から季節を感じ取るのは、私にはできないのだけど、案外、郊外行けば、何か自然の変化が見られるのではないかと思う。ちなみに2月ぐらいになると郊外の砂漠で花が咲く。この頃は私に言わせれば「春」だ。
学生が季節をあまり感じないのはカレンダーの影響も大きいだろう。これは以前に書いたことだけど、こちらのヒジュラ暦(太陰暦)は毎年、11日ずつずれるので、今年の9月と3年後の9月では、太陽暦での1か月分の差が出てくる。
つまり、「〇月」と「気候」には関連がないのだ。ヒジュラ暦の8月は、夏の時もあれば冬の時もある。そんな感じなので、「季節」ってものを感じにくいのではないかと思っている。太陽暦は季節の変化と関連があるから、9月下旬は、毎年、似たような気候になる。だから、カレンダーと紐づけて、季節を考えることができる。
私はリヤドでも四季を感じられるようになった。「季節」というのは案外、主観的なもので日々の変化のグラデーションのどこで区切りをつけるかということなのかもしれない。
私は四季の中で「秋」が一番好きだ。
今年もリヤドに短い秋がやってきたようだ。
*Wikipediaの「年間を通して降水量が少なく、日本で言う春と秋に当たる季節がないに等しい」部分は「要出典」のマークがついている。
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