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Y: 68 オンラインシンポジウムに参加してみて

先日、「2021中東・北アフリカ日本語教育シンポジウム」に参加しました。このシンポジウムはオンライン開催で、今回は発表者として初めてオンラインイベントに参加しました。従来の一か所に人が集まってやるイベントと違う点があり、感じるところがあったので忘れないうちに書いておこうと思います。

今回、PadletというWeb掲示板サービスが使われていて、そこに発表者が事前に発表動画や資料を張り付けて、参加者はそれを事前に見ることができました(プレセッション)。掲示板には質問やコメントを記入することができます。本番(メインセッション)の時には、講演やワークショップとともに発表の場もあり、発表者はZoomで20分の持ち時間があり、5分程度で発表紹介、その後、質疑応答という流れでした。

参加者として、質問がしやすい

今回、これが私としては非常によかった。学会やシンポジウムで、人の発表を聞いて質問をしたいということがあるのだけど、これが意外と難しい。私の問題なのだけど、誰かの発表中に、ひとたび質問したいことが思いつくと、そこから、どう質問しようかと考え始めて、その後の発表が頭に入らないことが多い。そうすると、実は、その後に説明していたのにもかかわらず、質問してしまったりと残念なことをしてしまう。

今回、その心配が全くなくて、よかった。事前に発表動画を見られたので、質問を思いついたら、一度、止めて、また見て、なんなら、もう一回、該当箇所を見たりできて、質問をじっくり考えられるのはありがたかった。

質問のやり取りが可能になる(深められる)

一般的な質疑応答の時間では、限られた時間で自分だけが質問時間を占有することはできない。興味がある発表だと、質問1をした後、その答えを聞いてから質問2,3としたいことがあるのだが、それは、難しい。今回は、Padletがあるおかげで、発表前に質問1をPadletに書き込み、発表時の質疑応答でそれに答えをもらい、発表後にさらに質問2を書き込むことができ、それに発表者から答えをもらうということができた。これ、すごく満足度、高い♪

あと、これは発表者として見習いたいのだけど、素敵な発表者は事前に質問をしておくと、本番の発表の時に、それの答えのためにスライドを用意していたりする。これ、かっこいいからマネしたい♪

もちろん、発表者側の視点でも、事前質問はありがたい。本番の前に質問がわかれば、スライドは作らないとしても、それなりに調べたり、どう答えようか考えられる。

参加度のグラデーション

上に書いたように、今回は事前に発表動画を見られる状態になっていて、メインセッションではそれを踏まえての質疑応答というのが、開催者側の期待しているところだった。ただ、実際に私の発表動画の再生回数を見ると、メインセッション前の段階で20回程度の視聴、メインセッションでのZoom参加者は70名程度ということで、聴いている人はほぼ初見という状態になった。それもあり、発表ではもう一度発表をざっとする感じになり、質疑応答の時間はほとんどなくなってしまった。

いろいろ考えようがあるのだけど、よっぽど自分の興味がある発表じゃない限り、参加者は事前に発表動画を見てこないのは理解できる。また、私の発表前後にも他の発表があったので、自分の発表でZoomにいる全員が私の発表を聞きたいわけではなく、とりあえず会場にいるという人もいたと思う。ちなみに私の発表動画は27分もあって、2倍速で見てもらっても14分程度。あんまり、聴衆フレンドリーではなかった。

これは、オンラインと物理的な一か所開催のイベントとの違いだと思うのだけど、Zoomにいる人の前提(共有)条件が、オンラインだと違いが出てくる。イベントへの参加度も幅が出ている感じ。

今回は平日開催だったので、私は自分の仕事と時間帯がかぶる部分が多く、聴きたかった講演や発表を聞けなかった。当たり前なのだけど、オンライン開催になると、物理的な制約がなくなって参加はしやすくなるのだけど、一方でそのイベントのためだけに時間を取らない人も出てくるということだ。

私の場合、オンラインのおかげで発表できたのだけど、一方で職場の仕事もあったので、がっつり参加ということは難しかった。一か所開催だと、強制的に参加度が高められる(他のことはできない)のだけど、オンラインだと、参加へのハードルが低くなる分、参加者のイベントへの参加度の高低に幅が出る

事前に発表を聞いてない人が多いのと重なるのだけど、既にシンポジウムの中で言及されたことについて講演や発表の中で「さっきも、言ったんだけど…」みたいな形で参加度が高い人は繰り返しを避けるために、端折ることがあったのだけど、そのさっきを聞いていない人も案外いるのではないかと思ったので、発表者/話す側は同じことを繰り返してもいいのかもと思った。

一か所開催の時より時間は取られる

これは上の参加度のグラデーションとも関係あるけど、今回、カイロに出張しないぶん時間的に楽かなと思っていたが、自分が使った時間的には一か所開催よりオンラインの方が時間をかけたと思う。発表者として発表動画を事前に投稿する必要があったので、動き出しの時期がいつもより早かった。加えて、事前に他の人の発表動画を7,8 本見たがこの量の発表を通常の学会等で聞いたことはなかったし、事前質問をした場合は、それを聞きにZoomを見に行ったし、仕事をしながらだったので時間のやりくりは苦労した。これは、プレ・メイン・ポストセッションがあったからかもしれない。

その他

いろいろあるけど、
・物理的開催では会えないような人たちと会えたり、再会できて、それはとてもよかった。
・緊張しいの私としては、自宅のいつもの自分の机から発表できるのはかなりホーム感があってやりやすかった。資料なども机の上に広げていられるので、助かった。人とお話しする時も気楽。
ラジオ的に聞けるのもありがたかった。ポストセッションでの対談はお昼休みのご飯を食べながら聞けたのだけど、内容もおもしろくてよかった。
・他の人の質問、コメントが読めるのもありがたい。ここで勉強することも多い。

思いつくままに書いてみたけど、総じて、新しくて良いなと思った。上に書いたようなことも、参加者(私自身)の慣れとか、Webサービスがこなれてくると気にならなくなりそう。今回は良い経験をさせていただき感謝

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