表現者としての土台は……

宣伝会議「編集・ライター養成講座 上級コース 米光クラス」シーズン8が2017年03月25日(土)からスタートする。

受講生は、講義終了後も、Facebookグループ「米光講座」で交流していて、活動報告や仕事のやりとりをしあっている。

受講生に「いまどういうことやってるか書いてー」と呼びかけて書いてもらった。

その第七弾は、映像記者、ドキュメンタリー監督として活躍する岸田浩和。
ぼくの講座では、ライターや編集の枠はいまからどんどん拡がるから、「書く」ということに閉じこもらずに表現していけばいいという方針(米光一成×青柳美帆子『若手ライターはいかに生きるべきか』の後半でも、書く以外で活躍するライターの話をしています)。その最先端を行く岸田浩和が学んだ表現者としての土台とは?

シーズン2の岸田浩和です。

現在は、映像記者とドキュメンタリー監督をやっています。講座参加のきっかけは、友人からの罵倒でした。
「昔は一目置いていたが、しょうもないサラリーマンになってしまって、ガッカリした」と言われたことがショックで、36歳になった2010年春から編集ライター養成講座に通いました。学生の頃から、ルポライターやジャーナリストに憧れがあったことを思い出し、総合コースを経て、上級コース/米光講座に参加。

講座修了翌月、2011年3月に東日本大震災が発生し、被災地の取材を開始しました。当時は、会社員を続けながら、「東北まぐ」でライター業をスタートしました。東北取材の合間を縫って撮った、短編ドキュメンタリー「缶闘記」が、5ヶ国8箇所の映画際に入賞。以降、映像の仕事が来るようになり、2013年に独立して、映像制作の仕事をメインにやっています。

【主な仕事】

ーWebニュースの映像記事ー

「フクイチ」の今~水素爆発から6年、廃炉取材映像レポート/Yahoo!ニュース個人
Yahoo!ニュース編集部からの依頼で、福島第一原発の映像取材を行いました。

買われた記事/ワセダクロニクル
元朝日新聞特報部記者らが立ち上げた、調査報道メディアの取材チームに参加し、映像取材を担当しています。広告代理店と新聞社が関わる、ステマ問題の調査報道取材です。

「民主主義のない中国に衝撃与える」帰化して新宿区議選に出馬した李小牧さんに密着/弁護士ドットコムニュース
ハフィントンポストの記事で知った李小牧さんに興味を持ち、弁護士ドットコムニュースに取材企画を持ち込んで、記事にしました。この記事が名刺代わりになって、Webニュースの仕事が広がりました。

ー受賞作品ー

●ドキュメンタリー映画「Sakurada Zen Chef

閉店を決めた、京都の有名料亭の最後の100日間を追いかけた作品。NYC Food Film Festivalで最優秀短編賞と観客賞を受賞。
※松浦達也さんに取材頂いたエキレビ記事

ー広告映像ー
GoogleのWeb CMや、のんさんと輸入自転車メーカーのメイキングCMなど、関わった映像作品のポートフォリオです。広告の仕事は単価が高いので、

ー活動ー

映像制作者のためのナレッジ共有イベント「ビデオグラファーズナイト」「NextFilmmaker’s Summit」の共同主催
映像の仕事を始めた段階で、ノウハウや経験が少なくて人に聞きまくった体験を元に、若手映像制作者の情報交換のイベントを、毎月共同主催しています。今では、カメラや機材のメーカーがスポンサーになってくれて、機材を無償で貸してくれるようになりました。情報を発信するところに、人と情報とモノが集まることを、実感しています。

【講座について】
現在は、映像の仕事がメインになり、純粋な書き手ではありませんが、表現者としての土台は米光講座でたたき込まれた「観察者の視点」でした。主観を「こうだ!」と押しつける一方的な表現ではなく、ディテール(具体)を積み重ねて、読者に臨場感のあるメッセージを伝える方法を、文章・映像問わず、いまでも心がけています。

ライターをはじめた最初の頃は、仕事がどこにあるのかもわからなかったので、講座に来たゲストや、同期/先輩のつてを辿って、案件や人を紹介して貰い幅を広げていきました。
あきらめずに続けたことで、就きたかった仕事に近づくことが出来ました。筋トレのように、あとからじわじわ効いてくる、表現者としての基礎体力をここで鍛えました。

なによりも、ライター講座に行ったことで、ライターよりも映像が向いているとわかった事が、一番大きな成果でした。

岸田浩和

芽が出る人はどんな人か
文章力と同じ位、もしくはそれ以上に重要視されるもの
行き詰ったときにプロジェクトリーダーがやるべきこと
ライターとして独立する若くない若手
ライターデビューするために必要なのは
原稿料をあげるためにやるべきこと



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