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謝罪(創作漫才)


A:最近どうですか?謝罪してますか?

B:してないですよ。

A:いつも謝罪してるイメージがあったんですけど、違いましたか。

B:どんなイメージですか。悪いことなんてしてませんから、謝罪もしてないですよ。

A:え、でもこの前『浮気してごめんなさい』って電話してませんでしたか?

B:すみませんでした!ってなんであなたに謝らないといけないんですか。

A:浮気は関係ない人にも謝るものでしょ。
はい。『皆様には多大なご迷惑をおかけしまして申し訳ございませんでした』って言って。

B:皆様には多大なご迷惑をおかけしまして申し訳ございませんでした。(お辞儀)
って、やっぱり関係ない人たちに謝罪するのは意味が分からないです。

A:謝罪、謝罪の社会ですからね。とりあえず謝っとけばいいんですよ。

B:とりあえずって。

A:謝罪を要求してくる人は、許す気なんてないんですから。

B:え?許す気ないんですか?

A:ない。絶対に許さない。

B:絶対ですか。

A:まず謝れって言うでしょ、でも謝ったら、謝り方が悪いとか態度が悪いとか言い出すよね。

B:そうですか?それはよっぽど謝り方が悪かったか、態度が悪かったんじゃないですか?

A:いや謝れって言うから謝ってさ、態度に文句言うのは違うよね。こっちは謝り方とか指定されてませんけど。

B:そういう態度だからじゃない。

A:言葉だけじゃ足りないんですかね。

B:そうですね、誠意を持って謝るとか?

A:セイイヲモッテ?

B:何でカタコト。誠意、つまり気持ちが大事なんじゃない?

A:だったら最初から、誠意を持って謝れって言えば良い。謝れ、だけでは分からないです。

B:じゃ、誠意を持って謝れって言われたら、どういう風に謝るの?

A:誠意って何かね?

B:あれ?どこかで聞いたようなセリフ。

A:相手に伝わなければ、誠意を示したことにはならないんですよね。

B:まぁ、そうですね。

A:だとしたら、謝罪を受け取る側にも問題があると思いませんか?

B:まぁ、多少はあるかもしれませんね。

A:その人が何を持って誠意とするのかは分からないよね?お金かお金なのか?

B:いやそれは…

A:土下座か?土下座すればいいのか?

B:確かに、土下座しろって言う人たまにいますけど。

A:ということは、謝れって言う人が、納得する方法じゃないと許す気がないってことでしょ。

B:そういうことに…なるんですかね?

A:だから、謝る方も、とりあえず謝っとけばいいんですよ。謝る気がない人と、許す気がない人でお互い様です。

B:なるほど。なるほど?

A:この漫才も批判される可能性があるので、先に謝罪しておきます。

B:え?

A:この度は、漫才中に不適切な発言があったことを謝罪いたします。申し訳ございませんでした。

B:とりあえず謝罪。




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